2022年4月に大手電力会社10社の内7社の電気料金が値上がりするなど、電気代は上昇し続けています。そうなると、再生可能エネルギーである太陽光によって電力を作り出し、「自家消費による節電」と「売電収入」が可能な太陽光発電の導入メリットは大いにあるでしょう。
しかし、自宅の屋根に太陽光パネル設置を検討した場合、初期費用の高さや設置条件などにより難しい場合があります。
そこで、自宅屋根設置より導入コストを抑えて簡単に太陽光発電を導入できる方法が「ソーラーカーポート」です。
車庫の屋根上部分を活用することで太陽光発電のメリットを得ることができるので、すでに自宅屋根に太陽光パネルを設置している方にもオススメです。
ソーラーカーポート導入費用の価格相場はどれくらいなのでしょうか。
今回は売電収入額や初期費用回収年算出など、具体的なシミュレーションも交えながらソーラーカーポート導入費用の価格相場について解説します。
ソーラーカーポートとは
ソーラーカーポートとは、カーポートの屋根上部分に太陽光パネルを設置・一体化することで、自宅の敷地を最大限に有効活用できる太陽光発電システムのことです。
ソーラーカーポート導入検討がおすすめな人
- 自宅の地形や屋根の形状によって太陽光パネルを置けない人
- こだわった自宅の景観を変えたくない人
- すでに太陽光発電を導入済みだが発電量を増やしたい人
ソーラーカーポートの主なメリット
- 住宅屋根設置よりも初期費用とメンテナンス費用を抑えることができ、発電効率を高める工夫がしやすい
- カーポートの機能に影響なく、太陽光発電による電気代節電と売電収入が可能であり、さらに発電機能をプラスしておくと電気自動車(EV車)の充電ができる
- 蓄電池と併用することで、雨天や夜間の充電量不足に対応でき、EV車も快適使用できる
ソーラーカーポートの主なデメリットと対処法
- 初期費用が高いので、ローン検討前に使用可能な助成金がないか確認し、毎月の電気代削減効果や売電収入をシミュレーションして初期費用回収期間を算出する
- 発電想定量が下回ると初期費用回収までにかかる期間が増えてしまうので、販売業者に現地調査を行ってもらい、日照量や地形、システムの劣化など影響しているポイントを確認してもらう
- 建ぺい率や容積率に影響するため、事前許可なく増築や希望デザインを行うと、完成後撤去になる可能性があるため、必ず購入前に都市計画課で許可が降りるか確認する
カーポートの価格相場は「種類」と「台数」によって異なる
カーポートの設置価格相場は、「台数」「種類」などによって値段が異なり、標準工事費用だけでなく、周辺環境やオプションの追加により加工費用や特別工事費用、その他周辺環境の整備費用が追加でかかるため、予算にあうものを選ぶようにしましょう。カーポートの種類と台数による設置価格相場は以下のとおりです。
駐車台数 | 低コスト重視タイプ | 強度重視タイプ | デザイン重視タイプ |
1台 | 12~25万 | 30~60万 | 30~60万 |
2台 | 22~40万 | 50~90万 | 100~200万 |
3台 | 48~65万 | 85~150万 | 150~220万 |
4台以上 | 50~100万 | 100~200万 | 200万~ |
設置方法によって異なるソーラーカーポートの種類
カーポートにソーラーパネルを設置する場合、設置方法によって種類が分かれます。
太陽光発電一体タイプ
1つ目は「太陽光発電一体タイプ」です。
太陽光発電一体タイプは、ソーラーパネルと屋根が一体になったソーラーカーポートです。あらかじめ太陽光パネル設置が前提となっているので、デザイン面と省スペース化が両立しており、余分なスペースがない平らな屋根が特徴的です。
屋根の端から端までパネルを設置できるため発電量が大きく、小さく限られた敷地でもできる限り多く発電したい方におすすめです。
ただし、デザインの選択肢が少なく、設置したい太陽光パネルメーカーがカーポートに対応していない可能性もあるので、収納したい車の台数や設置面積によって選択肢の幅が狭くなります。
後付けできる太陽光発電搭載タイプ
2つ目は「後付けができる太陽光発電搭載タイプ」です。
後付けができる太陽光発電搭載タイプは、すでに設置している市販のカーポートにソーラーパネルと発電システムの架台を利用して後付設置するソーラーカーポートです。
太陽光発電一体タイプよりも設置できるソーラーパネルメーカーが多いためはるかに選択肢が多く、安い機器を選べば導入コストを下げることもできます。住環境に合った自分好みの機器をそれぞれ選べる自由度の高さが魅力です。
ただし、ソーラーカーポートは太陽光パネルに耐えられる強度が求められるため、一般的にガルバリウム鋼板を使った折半屋根と、屋根からの圧に耐えられる太い柱や梁を設置します。
ポリカ樹脂など、カーポートの屋根素材によってはソーラーパネルの設置ができなくなりますのでご注意ください。
オーダーメイドタイプ
3つ目は「オーダーメイドタイプ」です。
住環境に合わせた完全オーダーメイドなので、自由に素材や色調を設定でき、特殊な構造の屋根にも対応可能なので、満足いくデザインが可能なソーラーカーポートです。
上記タイプと比べると、自由度が高く幅広いデザインや商品の選択肢があるので、コストや強度ではなく、予算をしっかりかけたこだわりの強いデザインを実現できるでしょう。
ただし、その分費用が高くなるためこだわりたい部分を明確にして絞るようにしましょう。
また、どの程度の強度なら問題なく設置できるかなど、設置エリアの気候状況を考慮しつつ専門家と相談することもオススメです。
ソーラーパネルをカーポートに設置する費用の価格相場
ソーラーカーポートの設置費用価格相場は、以下の条件によって異なります。
- 設置方法によって異なるソーラーカーポートの種類
- 駐車したい車の台数
- ソーラーパネルのkW数
- 工事費用など
カーポートの屋根の勾配が急だったり、道が狭いなどの場合、設置時に追加費用が求められる可能性があります。
そのため、ソーラーパネルなどの材料費以外にも、工事費用を含めたトータルコストをよく確認しておきましょう。
太陽光発電一体タイプと後付けできる太陽光発電搭載タイプの価格相場は以下のとおりです。
太陽光発電一体タイプ | 後付けできる太陽光発電搭載タイプ | |
2台 | 約180万円~240万円 | 約200万円~230万円 |
3台 | 約250万円~約300万円 | 約270万円~約300万円 |
4台以降 | 約300万円~380万円 | 約400万円~約460万円 |
ソーラーカーポートの初期費用回収期間シミュレーション
ソーラーカーポートの売電収入は固定価格買取制度(FIT制度)が適応期間であるかないかで大きく異なります。10kW未満の場合、2022年度の固定価格買取制度(FIT制度)は「10年間適応」であり、「1kWhあたり17円」です。
FIT期間終了後の11年目以降は、太陽光発電の余剰電力は契約している電力会社によって買取単価が異なります。
FIT期間とFIT期間終了後の年間売電価格はいくらになるのでしょうか。
FIT期間とFIT期間終了後の年間売電価格シミュレーション
FIT期間とFIT期間終了後の年間売電価格を、具体的に以下のような条件でシミュレーションします。
- 大阪府岸和田市に住む4人家族(父、母、子ども2人)
- 関西電力(買取単価8円/kWh)と契約しており、月の電気代は1万円相当、太陽光によって発電した電力の内、86%を売電している
- 物件の設置方位角が南15°で傾斜角が10°
- システム容量5.3kWの車2台分ソーラーカーポート
国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO日射量データベース閲覧システム」によると、物件の設置方位角が南15°で傾斜角が10°の場合、月平均斜面日射量(kWh/㎡・day)は以下の通りになります。
月 | 月平均斜面日射量(kWh/㎡・day) |
1月 | 2.85 |
2月 | 3.38 |
3月 | 4.37 |
4月 | 4.98 |
5月 | 5.53 |
6月 | 4.72 |
7月 | 5.32 |
8月 | 5.61 |
9月 | 4.23 |
10月 | 3.62 |
11月 | 2.84 |
12月 | 2.39 |
引用元:国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「NEDO日射量データベース閲覧システム」(https://www.nedo.go.jp/library/ZZFF_100041.html)
各月の発電量は、「システム容量×日数×月平均斜面日数量×損失係数」で計算します。損失係数とは、気温上昇で太陽光パネルの発電能力が下がったり、発電した電気を変圧器に送電するうちに無くなってしまう分を考慮した数値のことです。
NEDO技術開発機構太陽光発電導入ガイドブックにある73%で見積もることが多いのですが、損失係数を甘く設定したシミュレーションで提案する業者も多いのでご注意ください。
- システム容量:4.6kW(5.3kWの内86%を売電に使用)
- 損失係数:73%
月 | 日 | 月平均斜面日射量
(kWh/㎡・day) |
月間発電量(kWh) |
1 | 31 | 2.85 | 296.7 |
2 | 28 | 3.38 | 317.8 |
3 | 31 | 4.37 | 454.9 |
4 | 30 | 4.98 | 501.7 |
5 | 31 | 5.53 | 575.7 |
6 | 30 | 4.72 | 475.5 |
7 | 31 | 5.32 | 553.8 |
8 | 31 | 5.61 | 584.0 |
9 | 30 | 4.23 | 426.1 |
10 | 31 | 3.62 | 376.8 |
11 | 30 | 2.84 | 286.1 |
12 | 31 | 2.39 | 248.8 |
最後に買取価格×月間発電量の式を入力し、月間売電額を計算します。
- 買取価格:FIT価格17円/kWh、卒FIT後価格8円/kWh
月 | 日 | 月平均斜面日射量
(kWh/㎡・day) |
各月発電量(kWh) | FIT価格
17円/kWh(円) |
卒FIT後価格
8円/kWh(円) |
1 | 31 | 2.85 | 296.7 | 5,044 | 2,373 |
2 | 28 | 3.38 | 317.8 | 5,403 | 2,542 |
3 | 31 | 4.37 | 454.9 | 7,733 | 3,639 |
4 | 30 | 4.98 | 501.7 | 8,529 | 4,013 |
5 | 31 | 5.53 | 575.7 | 9,786 | 4,605 |
6 | 30 | 4.72 | 475.5 | 8,083 | 3,804 |
7 | 31 | 5.32 | 553.8 | 9,415 | 4,430 |
8 | 31 | 5.61 | 584.0 | 9,928 | 4,672 |
9 | 30 | 4.23 | 426.1 | 7,244 | 3,409 |
10 | 31 | 3.62 | 376.8 | 6,406 | 3,015 |
11 | 30 | 2.84 | 286.1 | 4,864 | 2,289 |
12 | 31 | 2.39 | 248.8 | 4,230 | 1,990 |
FIT期間とFIT期間終了後の年間売電収入は以下の通りになります。
期間 | 売電単価 | 年間売電収入 |
FIT期間(10年間) | 17円/kWh | 86,664円 |
FIT期間終了後(11年目~) | 8円/kWh | 40,783円 |
初期費用回収にかかる年数
上記のモデルケースの場合、回収にかかる年数はどれくらいなのでしょうか。以下のような条件を想定してシミュレーションします。
- 初期費用:100万円
- 10年ローン(返済期間10年、金利2.5%)
最終的な利息額は、元金(借入金額)×金利(年利)÷365×借入日数(返済日数)の計算式で求めることができます。
1,000,000円×2.5%÷365×3,650日(10年)=250,000円
- 1年分の利息額:25,000円(1,000,000円×2.5%)
- 1日当たりの利息額:約69円(25,000円÷365日)
- 最終的な利息額:250,000円
返済総額は1,250,000円(1,000,000円+250,000円)ということがわかります。
- 年間返済額:125,000円(1,250,000円÷10年)
- 月々返済額:10,417円(125,000円÷12ヵ月)
FIT期間適応10年間の売電収入は866,640円なので、11年目以降の返済額は383,360円(1,250,000円-866,640円)です。
11年目以降の年間売電収入は40,783円なので、残り9. 4年かかります。
よって、約19年で初期費用回収可能と予測できるでしょう。
理想のソーラーカーポートを実現には個人で悩むよりプロに相談しよう
ソーラーカーポートは自宅屋根に太陽光パネルを設置するよりも安く手軽に導入できます。しかし、種類や駐車する車の大きさや台数などにより、求めるものは個人によって異なります。
売電収入でできる限り負担なく回収できる初期導入費用と、自分の求める性能を両立させるには専門知識と経験が必要となり、個人では難しいでしょう。その場合、プロに相談するのが一番早く確実な解決方法といえます。
ネミー株式会社の「ソーラーカーポート」は次のような理由でお客様から選ばれています。
- 耐風・積雪などの耐久性が高くて雨漏りの心配不要な他社にはない88折半屋根
- 太陽光発電業界年間設置件数No.1のハンファQcells社製太陽光パネル使用
- 一貫体制なので提案から施工まで最短1ヶ月で設置可能と短納期
さらに、多数の組み合わせパターンから様々なレイアウト可能な自由設計により、お客様のこだわりを諦めることなく実現できるでしょう。
ソーラーカーポート導入に迷っている方は、一度ぜひネミー株式会社へご相談ください。
まとめ
ソーラーカーポートの種類やメリット・デメリットなどの基礎知識や具体例を使った費用価格相場シミュレーションなどを解説してきました。以下まとめになります。
- ソーラーカーポートとは、自宅の敷地を最大限に有効活用できる太陽光発電システム
- 太陽光パネルとカーポートがすでにくっついているタイプと後付けタイプがあり、年間売電収入額は、FIT期間とFIT期間終了後では倍ほど違う
- ソーラーカーポートは初期費用を10年~20年で取り戻せる可能性が高いため、カーポートの屋根の上を有効活用したい人や、すでに太陽光発電を導入している人におすすめ
ソーラーカーポートの初期費用は、FIT期間とそれ以降の売電収入によって、時間はかかりますが回収することができるでしょう。ソーラーカーポートはメリットもデメリットも多いです。導入の際には、ソーラーカーポートの基礎知識や価格相場を調べ、売電収入のシミュレーションをしっかり行ってから検討するようにしましょう。