太陽光発電が加入対象の保険は主に3つ!増えつつある保険会社の再エネ取り組みとは?

太陽光発電はカーボンニュートラルへの取り組みにおいて欠かせないツールです。太陽光発電設備は野外に設置するので、自然災害が発生すると破損し、周囲の人を傷つける可能性もあります。そうなると補修費だけでなく賠償金も支払わなければいけなくなる可能性も出てきます。その際、困らないように事前に保険に加入しておきましょう。

太陽光発電設備が加入できる保険とは一体どんなものがあるのでしょうか。近年、保険業界から太陽光発電設備に関する保険商品も発売されています。今回は太陽光発電設備と保険について解説します。

カーボンニュートラルの取組は地球規模で進んでいる

地球規模で、2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロに削減するカーボンニュートラルの取り組みを加速させています。日本でも国内の大企業中心にカーボンニュートラル目標・宣言を掲げ、再生可能エネルギーを導入する発表が相次いでいます。

日本で自然エネルギーの大幅な拡大を実現していくためには以下のことが必要となります。

  • 国の目標の引き上げ
  • 導入障害となっている電力系統への接続制限や合理性のない様々な古い規制を見直し
  • 課題の解決をめざし電力制度や自然エネルギー政策、市場環境など、自然エネルギー財団による調査研究を実施

自然エネルギー財団によると、2021年度第1-4半期発電電力量の合計値と、再生可能エネルギーの内訳は以下のとおりです。

2021年度
電源構成
世界 日本 中国 インド アメリカ 欧州
石油 236TWh
1.1%
29TWh
3%
8TWh
0.1%
5TWh
0.3%
34TWh
0.8%
48TWh
1.3%
ガス 3,598TWh
16.8%
362TWh
37%
227TWh
2.8%
54TWh
3.3%
1,553TWh
36.9%
728TWh
19.8%
原子力 2,292TWh
10.7%
59TWh
6%
381TWh
4.7%
41TWh
2.5%
778TWh
18.5%
754TWh
20.5%
再エネ 6,618TWh
30.9%
215TWh
22%
2,336TWh
28.8%
341TWh
21%
888TWh
21.1%
1,555TWh
42.3%
その他 129TWh
0.5%
29TWh
3%
8TWh
0.1%
0TWh
0%
13TWh
0.3%
37TWh
1%
合計 21,417TWh 978TWh 8,111TWh 1,625TWh 4,208TWh 3,677TWh
2021年度
再エネ構成
世界 日本 中国 インド アメリカ 欧州
太陽光 921TWh
4.3%
88TWh
9%
324TWh
4%
67TWh
4.1%
151TWh
3.6%
191TWh
5.2%
風力 1,756TWh
8.2%
8TWh
0.8%
608TWh
8%
78TWh
4.8%
375TWh
8.9%
493TWh
13.4%
地熱 43TWh
0.2%
2TWh
0.2%
0TWh
0%
0TWh
0%
17TWh
0.4%
18TWh
0.5%
バイオ 557TWh
2.6%
29TWh
3%
138TWh
1.7%
29TWh
1.8%
59TWh
1.4%
213TWh
5.8%
水力 3,341TWh
15.6%
88TWh
9%
1,265TWh
15.6%
167TWh
10.3%
286TWh
6.8%
640TWh
17.4%
合計 6,618TWh
30.9%
215TWh
22%
2,336TWh
28.8%
341TWh
21%
888TWh
21.1%
1,555TWh
42.3%

 参照:自然エネルギー財団「国際エネルギー」(https://www.renewable-ei.org/statistics/international/?cat=quarterly)

企業の再エネ導入にあたっては、太陽光発電施設などを自社で整備、もしくはPPA事業者が電力需要家の敷地や屋根に太陽光発電設備を無償で設置し、発電された電力を需要家に有償提供するというケースが考えられます。

増加する自然災害と自然災害による保険金支払い

上記の表によると、日本で再生可能エネルギーとして多く導入されているのは水力発電と太陽光発電です。太陽光発電は、太陽光パネルやパワーコンディショナーなどを設置し、太陽光を電力へと変換するシステムです。太陽光パネルは外へ設置されるため、自然災害などによる破損やひび割れが発生します。

破損してしまった太陽光パネルは廃棄しなければいけませんが、受け入れ先が少なく、リサイクルの方法もそれほど浸透していないため設備が放置されたり、不法投棄されているケースも多々あります。

また、破損した太陽光パネルが飛び散って、近くに住む人に被害が及ぶ可能性もあります。太陽光パネルの廃棄について下記の記事にて詳しく記載していますので、併せて御覧ください。

併せて読みたい

 

自然災害リスクに対する備えに必要な「保険加入」

いざ自然災害が発生し、太陽光パネルなど設備が壊れた場合、設備の補修費以外に近隣被害に対する賠償金など際限なく損失が発生する可能性があります。そういったリスクに備えるため、火災保険などの保険に加入しておく必要があります。

太陽光発電設備にはメーカー保証が付きます。無料のメーカー保証は、災害や事故による故障は補償の対象外です。

有償保証なら適用範囲内の自然災害による故障や事故に該当すれば補償を受けることができます。有償保証がある販売会社は保険会社と連携しているので、自然災害が原因で起きたトラブルも補償の対象です。適用範囲の一例は以下のとおりです。

  • 落雷、火災、破裂、爆発
  • 水災、風災(台風、暴風雨、豪雨による洪水・融雪洪水・高潮・土砂崩れなど)
  • 雹災、雪災(豪雪・雪崩など)
  • 建物外部からの落下、飛来、衝突、倒壊など

保険料を節約しようと、メーカー保証だけで十分と考える方もいるかもしれません。しかし、太陽光発電に関するトラブルはメーカー保証の対象外になることが多いです。そのため保険に加入すると、投資額を取り返せないまま大損失を抱えて撤退を余儀なくされる下記のようなケースを回避できます。

  • 台風で太陽光パネルが吹き飛んで破損したため通行人に怪我を負わせた
  • 水害や落雷により太陽光発電設備が故障した
  • 過去にない積雪により重みに耐えきれずパネルが歪んでしまったなど

保険に加入する際は、適正価格より高額なコストを負担しないよう、保険料に対してシビアな判断基準を持つように心がけ、需要な保険は補償範囲が保険会社によって異なるため、かけた費用に対して効果を得られない状態にならないよう、概要と価格だけはなく補償範囲の詳細まで入念にチェックしましょう。

蓄電池を対象とした保険

太陽光発電設備と併設すると再生エネルギーによる電力の自給自足を手助けする蓄電池を対象とした保険もあります。蓄電池の保険に関しては下記のリンクにて詳しく解説していますので併せてお読みください。

併せて読みたい

 

太陽光発電設備において加入できる保険

太陽光発電設備において加入できる保険は以下のとおりです。。

火災保険

1つ目は「火災保険」です。

火災保険とは、一戸建てなどの「建物」と建物の中にある家具や汁器などの「動産」を対象とした保険です。

火災保険は「保険の対象」ごとに加入する仕組みとなっています。そのため、火事が発生して家が焼け崩れても「建物」だけに保険をかけていた場合、中の家具などの「動産」被害の保険金は受け取ることができません。太陽光発電設備は建築の一部または家財となるので、火災保険加入の際には動産も保険対象として申し込むのを忘れないようにしましょう。

住宅用火災保険の補償範囲を広げたのが住宅総合保険です。補償内容には、動産総合保険の内容が含まれており、以下のような項目が加わります。

  • 天災(地震・津波・噴火他)
  • 故意による損害(契約者や被保険者によるものなど)など

賠償責任保険

2つ目は「賠償責任保険」です。

賠償責任保険とは、運営する太陽光発電所が他者に損害を与えたときに補償を受けられる保険のことです。最悪の事態に遭遇した際の損害を軽減し、自身の事業と損害を与えてしまった相手を守る重要な役割を果たします。

休業補償保険

3つ目は「休業補償保険」です。

休業補償保険とは、数日や数週間単位で売電が稼働停止すれば非常に大きな売電収入を損失することになるので、その損失を補償する保険のことです。以下の2種類が存在し、加入することで売電ができない期間に保険会社から補償を受けられ、金銭的な損失の拡大を回避できます。

  • 自然災害などのトラブルを対象とした休業補償
  • 出力抑制(出力制御)による損失を対象とした休業補償

自然災害による再生可能エネルギーに関する保険商品

自然災害による太陽光発電設備への被害に対する安全面の不安や環境への影響などを巡る地域の懸念があると、事業の継続性や企業のブランド力に大きな影響を与えます。そのため、保険業界は再生可能エネルギーに関する保険商品の開発を進めています。その内、太陽光発電設備に関する保険商品を3つ紹介します。

太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品

1つ目は「太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品」です。

2021年9月、東京海上日動火災保険では、契約者と被保険者を次のように対象とした太陽光発電設備の廃棄費用や賠償リスクを補償する商品を販売することを発表しました。

  • 契約者:一般社団法人の太陽光発電協会(JPEA)
  • 被保険者:再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)による認定事業者

この保険商品では次のものを補償する保険制度の構築として業界初とされています。

  • 廃棄費用の外部積立前や積立中における廃棄費用
  • 太陽光発電設備の所有・使用・管理等や急増するサイバーリスクに備える賠償責任リスクなど

再生可能エネルギーの卸売事業者向けの保険商品

2つ目は「再生可能エネルギーの卸売事業者向けの保険商品」です。

損害保険ジャパンは、東京電力ベンチャーズの協力のもと再生可能エネルギーの卸売事業者向けの保険提供を開始したと2021年11月4日に発表しました。この商品は以下のことを目的としています。

  • 電力の需要家の課題を解決
  • ERAB(Energy Resource Aggregation Business)市場の健全な発展と普及の後押し
  • 脱炭素社会実現への貢献など

ERABは、VPPやDRを用いて、一般送配電事業者、小売電気事業者、需要家、再生可能エネルギー発電事業者といった取引先に対し、調整力、インバランス回避、電力料金削減、出力抑制回避などの各種サービスを提供する事業のことです。

VPP 事業では、家庭や事業所の太陽光や蓄電池などの発電設備をまとめて制御する新事業者(アグリゲーター)が要請された電力需給調整力を提供できなかった場合、追加費用の支払いが生じます。

この保険商品は電力供給の需給調整に失敗したアグリゲーターに対して、損害保険ジャパンが東京電力ベンチャーズと提携して発電量などのデータを取得し、以下のような不測の事由に起因して発生した追加費用を補償するというものです。

  • 自然災害や電気的機械的事故などによる設備への損壊
  • サイバー攻撃
  • 取引先の倒産など

PPA事業者向け近隣被災者への見舞金保険商品

3つ目は「PPA事業者向け近隣被災者への見舞金保険商品」です。

三井住友海上火災保険とあいおいニッセイ同和損害保険は、PPA事業者向け近隣被災者への見舞金保険の販売を2022年2月21日から開始しました。

この保険商品はPPAモデル事業を支援するものであり、PPA事業者が設置した太陽光発電設備が自然災害により飛散し、近隣の建物などを損壊させた場合、PPA事業者が支出した見舞金などの費用を補償します。

まとめ

太陽光発電と保険について解説してきました。以下まとめになります。

  • 太陽光発電設備は外に設置するため、太陽光パネルが災害によって破損すると、修理費だけでなく近隣住宅へ飛び散った場合に賠償金を支払わねばならないので、いざという時のために保険加入はオススメ
  • 太陽光発電設備を対象とした保険は「火災保険」「動産総合保険」「賠償責任保険」「休業補償保険」
  • 太陽光発電設備などの再生可能エネルギー支援を目的とした保険商品が次々と保険会社から出てきている

カーボンニュートラルは地球規模の問題であり、再生可能エネルギーを電力にする取り組みにとって太陽光発電設備は欠かせないものとなっていくでしょう。その流れを組んで再生可能エネルギー支援を目的とした保険商品はこれからどんどん開発されていき、そのうち太陽光発電専用の保険商品も出てくるかもしれません。

太陽光発電設備は10年以上運用するので、保険に入っておけばいざという時に備えることができます。ぜひこの機会に太陽光発電設備の保険を検討してみてはいかがでしょうか。

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