電気自動車の急速充電は、オススメできない!?

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今回は、「電気自動車の急速充電は、オススメできない!?」と題してお送りします。

電気自動車の充電方法

電気自動車(EV)の充電方法には、普通充電急速充電があります。

普通充電設備」は家庭用にも使われる100Vコンセントまたは200Vコンセントを使用します。100Vだと1時間でおよそ10km程度走行できる充電が可能で、200Vだと30分でおよそ10km程度走行できます(車種や充電設備により多少の変動があります)。

一般的な戸建住宅・マンション、商業ビル、屋外駐車場等の、主に屋内に設置可能なものです。

駐車場などの屋外向けとしてポール型普通充電器(200V)もあります。こちらはケーブル無し(コンセント型)タイプと、ケーブル付きタイプの2種類があります。ケーブル無しタイプの充電器においては、どのコンセントが設置されているかによって、充電できる車種が限られる場合があります。

ケーブル無しタイプで充電する場合は、車両側に付属器としてケーブルが用意されています。


急速充電設備」は現在日本では、道の駅ガソリンスタンド高速自動車国道のSAカーディーラー商業施設などへの設置が進められています。いずれの場合も、急速充電は緊急時(バッテリー残量がほとんど無い場合)、業務用で車両を頻繁に利用する場合を想定したものです。

充電器には大容量/中容量の2つのタイプに分かれています。製造しているメーカーにもよりますが、大容量タイプが40kW/50Kw(電池がほぼ空に近い状態から80%まで充電するのに15分~30分程度)で、中容量タイプが20Kw(同じく80%まで充電するのに30分~1時間程度)です。

急速充電のリスク①「過充電」

上記のように、急速充電の時間的基準については、「80%充電まで約30分」といったような書き方をします。なお、普通充電は「満充電(100%)まで6時間」という表示になります。この2つを見比べると「?」となるかもしれません。急速充電はなぜか80%までしか表示されないことに、疑問を抱く方は多いのではないでしょうか。30分で80%充電できるのであれば、37分30秒で満充電(100%)いくのではないでしょうか。

 実は、80%や90%で充電を終了するよう制御されている急速充電器がほとんどなのです。つまり急速充電では、満充電にならないのではなく、あえて満充電にせず、制御で満充電になる前に止めているのです。なぜなら、充電に伴うリスク「過充電による劣化」を避ける必要があるからです。

そもそも、2000年代になり電気自動車が走り始めたころ、満充電まで充電する急速充電器も存在していたのです。そのときは、「いったん80~90%充電した時点で停止します。満充電にしたいときは再び充電ボタンを押してください」という利用法でした。しかし、その後満充電まではまた30分かかる、といったものでした。

大容量だったり、残量が少なくなったバッテリーは短時間に大量の電力が入っていきます。充電が進むと、しだいに電力は入っていかなくなるのです。

普通充電と急速充電を身近な例に例えると、コップに蛇口から水を入れることに似ています。

ゆっくり水を注げば、コップの口までぎりぎりに水を注ぐことができます。しかし、蛇口を一杯に開けて勢いよく水を流した場合、コップから水をあふれさせないようにしようとすると、口までいっぱいになる前に水を止めなければあふれさせてしまう恐れがあります。

考え方は電気の充電も同様です。一気に急速充電で満充電を実現しようとすれば、もしかすると水があふれて(=過充電して)しまい、過充電による発熱から劣化という結果を招いたり、発熱が過ぎると発火の恐れもあります。

このようなリスクが、急速充電にはあるので、制御がなされているのです。そして、電気自動車の日常的な方法としては、急速充電はふさわしくないということがお分かりだと思います。

急速充電のリスク②「電気料金」

急速充電には500Vというような高電圧を利用しなければなりません。それにより、電気契約は事業所で使う電気と同様の扱いとなり、基本電力量などが高くなります。また、充電器自体の値段も高くなります。

EVに充電するだけなのに、高電圧の電力契約をしたり、高価な充電器を設置したりすることは、経済的にも、工事の手間においても、デメリットが多いです。

普通充電の方がオススメ!

一方の普通充電についてです。家庭用の普通充電と言えば100Vというイメージが大きいかもしれません。しかし、各家庭には100Vと200Vの電気が配線されており、利用しようと思えばいつでも200Vの電気を使えるようになっています。

 たとえば、10畳以上の広さの居間などに設置する空調機(エアコン)は、200Vのものを使ったほうが電気代は安上がりになることが知られています。

200Vの充電コンセントをEV用に設けることは、家の外に設置するなどの工事が必要だとしても、それほど特殊なことではありません。

電気自動車を満充電にする方法としては、先ほど述べた急速充電ではなく、普通充電でゆっくり満タンにする方法を採るしかありません。電気自動車に搭載されるリチウムイオンバッテリーの劣化を抑え、しかも満充電にすることができ、なおかつ設置工事や電気代などの負担のない方法として、200Vの普通充電があります。

睡眠や食事など、ある程度の時間は滞在することになる家では、30分で充電を終える必要性はほとんどないのではないでしょうか

電気自動車を取り巻く環境

今、電気自動車には追い風が吹いていると言っても過言ではありません。

政府が「2030年ガソリン車禁止」を打ち出した訳」
(2020年12月8日東洋経済オンライン)
https://toyokeizai.net/articles/-/394007

政府が進める「2050年カーボンニュートラル」の一環で、2030年代前半にもガソリン車が禁止される。これは、政府の正式発表ではありませんが、経済産業省等の施策がメディアの知られるところになりニュースになったという事情とのこと。

いずれにしても、世界の潮流は、電気自動車の利用を後押ししている方向に流れています。1990年に施行されたアメリカ・カリフォルニア州ZEV法(ゼロ・エミッション・ヴィークル規制法)では、「2035年までにICE(内燃機関車)新車販売禁止」となっています。さらに、中国のNEV(新エネルギー車)政策、そしてCO2規制を念頭においたヨーロッパ各国でも電動車へのシフトを推し進める政策があります。

日本は、経済産業省が2018年に産学官の有識者による意見を取りまとめた自動車新時代戦略会議でその方向性が明らかになっています。それによると、2030年は従来車(ガソリン車、ディーゼル車)が市場全体の30~50%で、残りの50~70%が次世代車となっています。ただし、これはあくまで達成目標にすぎません。

次世代車とは、ハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車、燃料電池自動車、クリーンディーゼル自動車、天然ガス自動車などのこと。 地球温暖化の原因となるCO2の排出が少ない、又は全く排出しないなどの環境にやさしい自動車です。

2018年に策定されたこの達成目標から、いきなり今回の2030年前半にガソリン車禁止へという急な方向転換には、環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行なう投資「ESG投資」が背景にあります。より投資がなされるところに、国の政策もシフトしているのです。

ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)の頭文字です。

このような流れから、電気自動車は今後覇権を握っていくことになります。その前提として、電気自動車の安定的な使用が大事になってきます。そのため、急速充電ではなく通常充電ができる環境を作っておくことは、もはや必須と言えるでしょう。

ネミーグループのPVレンジャーではEV自動車用の充電器設置工事も可能です。ご検討の際は、是非ご相談ください。

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