蓄電池もAIで制御する時代!

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今回は、「蓄電池もAIで制御する時代!」と題してお送りします。

東京電力が乗り出した

東京電力が、蓄電池のAIによる制御に乗り出しています。

東京電力ホールディングスは月内にも、人工知能(AI)が蓄電池を制御する家庭向けシステムを発売する。蓄電池の充放電を効率化することで、太陽光発電の自家消費を2割増やし、電気料金を年1万円以上削減する。2050年に温暖化ガス排出を実質ゼロにする政府の目標を受け、再生可能エネルギーの普及を後押しする。本業の電力小売りの成長が見込めないなか、新規事業として育成する狙いもある。
(2021年1月23日:日経新聞)

自家消費型発電の要請

昨今、国は自家消費型太陽光発電を推進しています。2019年11月の「地域活用要件について」(資源エネルギー庁)では、下記の議論がされています。

自家消費・地域消費については、自家消費は系統への逆潮流が低減するという観点、地域消費は上位系統への潮流が低減するという観点から、系統負荷を軽減させる効果があるものであり、さらに、災害時のレジリエンス強化にも資するものである。
また、レジリエンスについては、昨年発生した北海道胆振東部地震・今年発生した台風15号・台風19号等により、広範にわたり停電等の被害が発生しており、その強化がより一層重要となっている。

東京電力等の電力会社への負担の軽減と、災害が発生した際に電力会社に頼らず地域が自力で電力を賄えるという2点で、小規模太陽光発電の導入を進めるメリットがあるということになります。

ただし、小規模太陽光発電については下記の懸念点があるとも指摘されています。

小規模事業用太陽光発電は、地域でのトラブル大規模設備を意図的に小さく分割することによる安全規制の適用逃れ系統運用における優遇の悪用などが発生し、地域における信頼が揺らぎつつある

「意図的に小さく分割することによる安全規制の適用逃れ」とは、具体的には、本来高圧として設置しなければいけない規模の設備を、小規模単位の低圧として分割することを指します。低圧の太陽光発電設備は、電力会社への系統接続検討申込が不要で接続にかかる時間が短いのです。

また、標識や柵などの設置義務違反として指導された134件のうちその71%にあたり94件が小規模太陽光発電案件という結果も出ています。

さらに、過積載という状態にある小規模太陽光発電案件が多いのも報告されています。過積載というのは、パワーコンディショナの対応可能な出力を太陽光モジュールの出力が超えている状態です。小規模太陽光発電案件のうち、なんと8割が過積載で、その平均的な過積載率は136%となっています。

これらの実態から、「小規模太陽光発電はこれからのエネルギー政策として推せる」「だが、地域の理解を求める上で問題がある」ということがいえます。

そこで、資源エネルギー庁では、次のようにまとめています。

小規模事業用太陽光発電事業が、地域において信頼を獲得し、長期安定的に事業運営を進めるためには、全量売電を前提とした野立て型設備ではなく、需給が近接した形(自家消費)を前提とした屋根置き設備等の支援に重点化しながら、地域に密着した形での事業実施を求めることが必要である。

需給が近接、つまり自宅の屋根に太陽光モジュールを設置して発電した電気を自らが使う「自家消費型」しているのであれば、より多く売電して儲けようとする野立て型の太陽光発電システムに比べて、過積載をする可能性は減ります。また、家庭で使うレベルの発電規模であれば、そもそも高圧を分割して複数の低圧へすることもなくなるので、地域の理解を得られやすいとも考えられます。

蓄電池ニーズの高まり

この自家発電型の太陽光発電システムに欠かせないのが、蓄電池です。というのも、太陽光発電システムは、太陽光がエネルギー源であるため、天気が悪ければ発電量は下がり、また夜間は発電ができなくなってしまいます。そこで、発電できるときに余剰電力を貯めておける蓄電池のニーズが高まってきているのです。

また、余剰電力の買い取り制度に関連する動きも、自家消費型太陽光発電システムと蓄電池の需要の高まりを後押ししています。

2009年に開始した余剰電力の買い取り制度をとりまく状況は、2019年から徐々に買い取り契約の終了を迎える住宅があらわれています。毎年10万~20万件の買い取り契約終了案件が発生すると見られており、「せっかく設置した太陽光発電を、今後どう生かすか」が焦点になってきています。

さらに、蓄電池は、災害時のレジリエンス強化に関してはほぼ必須といってよいでしょう。太陽光発電と蓄電池を組み合わせて「レジリエンス」を謳って住宅用太陽光発電システムを販売する会社も出てきています。

これからは、導入/運用費用が注目される?

すでに、太陽光発電システムは蓄電池無しには考えられないといっても良いような状況に突入しつつあります。導入することを前提とすると、気になるのはその導入費用とランニングコスト(運用費用)。そのランニングコストに注目し、できるだけ電気代の支出を抑えられるAI機能を搭載した蓄電池が登場し始めています。

例えば、電気代が高い日中はできるだけ太陽光発電システムにより発電した電気で家庭内の電力をまかないつつ蓄電池へ電力を貯めて、電気代が安い夜間は蓄電池に貯めた電気を使いつつ、不足分を電力会社から電気を調達する、といった「賢い電気の使い方」ができるようになる蓄電池です。

「今は昼間で、とても晴れているから蓄電池にも電気を貯めていこう」「曇ってほとんど発電ができなさそうだけど、まだ電気代は高いから蓄電池から電気を使おう」といった操作を人力でしていたら、おそらく家事や仕事に支障が出ることでしょう。

AIを使うことで、人間では分析が難しいかった過去の使用量や天候情報などから発電予測を行うことが可能になります。さらに、AIお得意の学習機能を活かし、「いつ充電し、いつ放電するか」を効果的にコントロールしていきます。

典型的なAI付き蓄電池ができる機能は、およそ次のようなものになります。

各家庭のライフスタイルによる電力消費パターンを把握。天気予報と合わせて、各家庭の翌日の需要予測、太陽光発電量予測、電気単価に応じて、翌日の蓄電システムの充放電計画を立てる。
天候状況の変化、実際の使用状況と予測の差異を検知し、タイムリーに充放電の指示を出し、充放電計画を自動補正。
これを繰り返して、各住宅ごとに電力の需要傾向を学習していき、使えば使うほど、予測精度が向上。

このAI機能を使うことで、できるだけ電気代のかからない「電気の使い方」を行うことが可能になっていきます。今までは、太陽光発電システムを導入するかどうかが焦点という意識があったと思います。

前半で書いたとおり、太陽光発電システムの導入はすでに国策として推進されているので、「導入した上で、どのように使っていくか」を考える段階にすでに移ってきているのではないでしょうか。

太陽光業界が売電利益一辺倒だったときと比べて、今後は売電価格よりも電気料金の方が高くなるときが来ると言われています。そうであれば、同じ電気の量を売電するなら、発電した電気を確保しておき自家消費して電気代の節約をした方が良いということになります。これからの来るべきときのために、「賢い電気の使い方」ができるよう、蓄電池購入の検討をお勧めします。

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