太陽光のセカンダリー市場とは?買い手のメリット・デメリットと高額売却ポイント!

日本において、太陽光発電は2012年の固定価格買取制度(FIT)の登場により急速に普及していきました。太陽光発電に投資して利益を出すために、全量売電を行う目的で購入した人は少なくありません。

しかし、FITの買取価格が入札制度となり年々減少していくなど、そのメリットは失われつつあります。そのため、2022年は太陽光発電設備や売電権利を売買する太陽光発電のセカンダリー市場が新設の太陽光発電所がなくなることで増えるだろうと予測されています。今回は太陽光発電所のセカンダリー市場について解説します。

太陽光発電のセカンダリー市場とは

セカンダリー(secondary)とは「第2の、二番目の、次の」という意味であり、太陽光発電において「すでに稼働している設備」を指します。

つまり、太陽光発電のセカンダリー市場とは、すでに稼動済みで、実績が出ている中古の太陽光発電所を売買する市場のことです。セカンダリーは新規案件と違い、過去の発電量・売電量とキャッシュアウト(運用管理・保守点検など)の実績データがわかるため、売電収入を得るまでに生じるトラブルと、その対応に追われるリスクなど、設備稼働直後に起きるトラブルを回避できます。

近年、太陽光発電のセカンダリー市場取引案件が増加しており、矢野経済研究所の「2020年度版太陽光発電設備運用・セカンダリー現状と将来展望」の調査データによると、まだまだ増えていくと予測されています。

太陽光発電のセカンダリー市場規模の調査結果は以下の通りです。

  • 2017年:発電出力ベース300MW
  • 2021年:発電出力ベース1,200MWと予測

(稼働中の太陽光発電所の取引が成約価格は、出力1MW当たり概ね3億円~5億円)


太陽光発電のセカンダリー市場が広がっていった背景

太陽光発電のセカンダリー市場が広がっていったのは何故なのでしょうか。その背景は以下の通りです。

FITのメリットが低くなった

1つ目は「FITのメリットが低くなった」からです。固定価格買取制度(FIT)により、安定収益が保証され、投資目的で新規太陽光発電所を設立する動きが拡大していきましたが、FIT価格は年々安くなっていったため、新規事業認定を受けた発電所が得られる利益は徐々に少なくなっています。そのため、買取価格が高かった時期に事業認定を受けた中古の太陽光発電所を買い取りたいと考える投資家が増えていきました。

また、2020年の制度変更により、投資用として人気の高かった低圧太陽光発電(10kw以上50kW未満)が全量売電の対象外となったことで、既に事業認定を受けた発電所の需要を高める大きな一つの要因となっています。

ただし、自家消費用件の低圧発電所及びソーラシェアリング(営農型太陽光発電)に限っては低圧発電所でも売電が可能です。

事業会社による再エネ意識が高まった

2つ目は「事業会社による再エネ意識が高まった」からです。従来、セカンダリー市場における買い手はファンドや金融系投資化が中心でした。しかし、SDGsやESG投資に関する世界的な流れにより、再生可能エネルギーを確保したいと考える事業会社も買い手として参加し始めました。現在、多くの事業会社において、太陽光発電設備を自社のビルや工場の空き地などに設置し、自社で消費する電力を再生可能エネルギーによって賄う取り組みが行われています。

減価償却目的で購入した投資家が現金化のため売却する

3つ目は「減価償却目的で購入した投資家が現金化のため売却する」からです。事業用の太陽光発電所には減価償却が適用されるため、減価償却費の計上目的で太陽光発電所を購入する場合があります。その後売却し現金化することが多く、セカンダリー市場で売りに出される発電所が増加する要因の一つとなっています

太陽光発電所を事業環境資金確保のため売却する会社と、低リスク資産と捉えた投資家が増えつつある

4つ目は「太陽光発電所を事業環境資金確保のため売却する会社と、低リスク資産と捉えた投資家が増えつつある」からです。2020年に新型コロナウイルスが世界中で蔓延し、太陽光発電所を所有する民間企業の中には影響を大きく受け、事業環境が厳しくなった所もあります。そのため、経営資源集中や資金確保のため太陽光発電所の売却を検討する所も出ました。

また、それと同時に、既存の金融商品や投資案件だけでは不安になった投資家が、FITによる安定した売電収入とコロナ禍での電力需要増加により、太陽光発電所を低リスク資産と捉えて新たな投資先として選ぶ傾向が増えつつあります。

 


買い手にとって太陽光発電所のセカンダリー市場の 「メリット」

買い手にとって太陽光発電所のセカンダリー市場のメリットは次の通りです。

中古購入なので収益予想などがしやすく、すぐに発電・売電開始ができる

1つ目は「中古購入なので収益予想などがしやすく、すぐに発電・売電開始ができる」ことです。新規建設時の発電量のシミュレーションによる収益予想は、業者によってばらつきがあり、本当にこの量を発電できるかは実際稼働してみないとわからないというのが現状です。

しかし、中古の場合、過去の実績データの数値を元に実際に近い収益予想などが可能です。

また、太陽光発電所を新設には設置や申請などに数か月かかりますが、中古購入の場合、すぐに発電・売電開始が可能になります。

金融機関などの融資が受けやすくなる

2つ目は「金融機関などの融資が受けやすくなる」ことです。太陽光発電所は新規・中古関係なく高価格商品なため、購入にあたって金融機関などから融資を受ける場合があります。中古の場合、過去の稼働実績に基づいた明確な収益予想ができるため、融資を受けやすくなる傾向があります。

 


買い手にとって太陽光発電所のセカンダリー市場の「デメリット」

買い手にとって太陽光発電所のセカンダリー市場のデメリットは次の通りです。

FITの固定買取価格が高いものほど、残存年数が少ない

1つ目は「FITの固定買取価格が高いものほど残存年数が少ない」ことです。FITの固定価格期間は10kW以上のものは20年と期限付きです。事業認定を受けた時期が早いほど買取価格は高くなりますが、その分FITを利用した売電可能な残存年数は短くなります。FITでの買取が終了した場合、売電価格は大幅に下がるため、購入する際は買取価格と残存年数のバランスを比較しながら検討しましょう。

立地条件やメンテナンス状態により発電効率が低下しているものもある

2つ目は「立地条件やメンテナンス状態により発電効率が低下しているものもある」ことです。太陽光発電所は自然環境の影響を受けやすいため、保守や管理の手間が大変です。

取引されている発電所の中には、地盤や立地に問題があったり、経年劣化や定期的なメンテナンス不足により発電効率が低下していたりするものもあります。そのため、稼働実績や立地条件、メンテナンス状態などを確認しながら慎重に選びましょう。


太陽光発電所のセカンダリー市場で高額買取のための査定チェックポイント

現在太陽光発電所を持っている人の中には、将来売却を考えている人もいるかもしれません。太陽光発電所のセカンダリー市場で高額買取のための査定チェックポイントは次の通りです。

売電実績・FITの残存年数のデータ・契約書類などの必要書類準備

1つ目は「売電実績・FITの残存年数のデータ・契約書類などの必要書類準備」です。書類などで過去の実績データを明確に、わかりやすくしておくことで評価が高くなります。

また、買い手はFITによる買取金額が現在の新規購入よりも少しでも高かった中古の太陽光発電設備を求めています。

また、経済産業省の認定書、電力会社との受給契約書、土地の権利書、設備等の保証書、発電実績がわかる資料や契約書などの書類がそろっているかどうかも売却価格に影響します。損害賠償条項、表明保証などの金融機関系の契約書内容が売り手に受け入れられない可能性があるからです。

そのため、過去の実績データとFITの残存年数は明確化するため書類・データ化し、契約書など必要書類を揃える準備しておきましょう。

立地条件

2つ目は「立地条件」ことです。太陽光発電設備は太陽光エネルギーによって発電するため、十分な日光を浴びなければ電気を作り出すことは難しいです。そのため、近隣の建物の陰に隠れる場所へ設置されておらず十分に発電できる環境とハザードMAPで引っかかるなどの災害リスクがないかなど、立地条件に注意しましょう。

設備の部材

3つ目は「部材や付帯設備」です。倒産により長期保証がない太陽光パネルではなく、信頼性の高いメーカーの部材を使用していると、故障が発生したとしても対応がしやすく、部材も見つかりやすいため評価が高くなる傾向にあります。

また、監視カメラなどの付帯設備があると、売却価格が高くなる傾向があります。

高い評価を得るために、発電所に信頼性の高いメーカーの部材を使っているか確認・証明できるようにしておきましょう。

定期的メンテナンスの有無

4つ目は「定期的メンテナンスの有無」です。定期的なメンテナンスが行われていないと、周辺雑草や雨風の影響で太陽光パネルの発電効率が下がってしまい、買取評価が下がります。

大規模発電所の場合、排水関係の不備、引抜き強度の問題、架台の洗掘などが大規模に発生していることが多く、そのメンテナンスコストの算出で売買金額が下がる可能性があります。

そうならないために、信頼できる実績ありの施工業者に依頼して、定期的メンテナンスを行いましょう。


まとめ

太陽光発電所のセカンダリー市場について解説してきました。以下まとめになります。

  • 太陽光発電のセカンダリー市場とは、すでに稼動済みで、実績が出ている中古の太陽光発電所を売買する市場のこと
  • 事業による再エネ意識の高まり、FITの買取価格設定が高い中古購入で収益を得たい投資家と売却による経営資金を得たい会社が増えつつあることはセカンダリー市場が拡大しつつある要因の一つ
  • 高額買取してもらうためには、定期的なメンテナンスを行い、立地条件や設備部材、過去の実績データ、契約書内容などを明確にデータ化し書類にして揃えておく

太陽光発電所のセカンダリー市場は中古のものを取引しているので、過去の実績データから収益予想がしやすく、金融機関の融資が受けやすくなり、すぐに発電・売電が開始できます。

しかし、中にはメンテナンス状態や立地条件が悪いため発電効率が低いものもあります。太陽光発電所は新規でも中古でも高い買い物です。購入時にはしっかりとデータや書類を確認し、それが信頼できるものなのかどうか実際現場を見に行ってみるのもいいかもしれません。

セカンダリー市場に参入する場合は、徹底的な調査と慎重さを持ち合わせて行動するようにしましょう。

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