世界中で脱炭素化社会が求められる中、クリーンなエネルギーである再生可能エネルギーが注目を集めています。太陽光発電は固定価格買取制度や設備などが広く普及しているので、再生可能エネルギーの中でも一番馴染のあるエネルギーといえるでしょう。
太陽光発電設備で作った電気を電力会社に売って収益を得ることを太陽光発電投資といいます。太陽光発電投資は様々なメリットがありますが、その分デメリットもあり、対策を行わなければ失敗するリスクが高くなります。今回は太陽光発電投資を失敗しないための対策について解説します。
太陽光発電投資とは
太陽光発電投資とは、太陽光発電設備により発電した電気を電力会社に売電することで投資案件として運用することです。
不動産投資や株式投資などとの違いは、太陽光発電投資は固定価格買取制度(FIT制度)により安定した売電価格と売電期間が約束されている点です。
投資用太陽光発電設備は産業用のものであり、産業用太陽光発電は規模によって低圧(定格出力が50kW未満)と高圧(定格出力が50kW以上~2,000kW未満)の2種類に区分されます。
FIT制度を利用した電力会社による買取期間は20年間です。売電価格は電力会社と電力受給契約を結んだ年や規模によって異なりますが、経済状況がどうなってもこの20年間売電価格が変わらないので、ほぼシミュレーション通りに収益を得ることができます。
太陽光発電投資のメリット
太陽光発電投資のメリットは以下の通りです。
年利が実質7〜10%と高利回り
太陽光発電投資は実質年利7%〜10%と、利回りが高いです。
たとえば、1,000万円の運用で年利が10%だとすると、年間で100万の利益となり、10年間で回収することができ、その先の運用で得られる収益からプラスになっていく計算です。
ただし、太陽光発電は場所や天候によって発電量が左右されるなどリスクもあるので、発電量シミュレーションを行い、保険加入などして備えておきましょう。
専門知識がなくても始められる
太陽光発電投資には、業者が購入もしくは借り上げを行った土地に太陽光発電設備を設置し、区画ごとに販売する「土地付き太陽光」「分譲太陽光発電」などがあります。
「分譲太陽光発電」の場合、土地の選定や設備認定申請などの準備を業者が一括して行います。そのため、難しい管理をすることがなく、手続きに関する知識のない投資初心者でも、太陽光発電投資を始めることが可能です。
ローリスクで運用できる
太陽光発電投資は固定価格買取制度(FIT)により、20年間安定した売電価格が約束されているため、利回りのシミュレーションが大きく外れる可能性は低く、低めに見積もったシミュレーションでも基本上振れが期待できるといわれています。
また、元本割れや自然災害、盗難などのリスクはほぼ保険が適用されるため、ローリスクで運用できるといえるでしょう。
節税対策ができる
太陽光発電設備は償却資産なので、固定資産税を経費として計上可能です。
売電収入から経費を差し引いた所得には得税の納付が必要となります。つまり、太陽光発電投資で得た収入は税金がかかります。
しかし、太陽光発電投資では、中小企業経営強化税制に申請することで自家消費の太陽光発電設備の税額控除を受けることができます。
中小企業経営強化税制とは、特定の設備を導入した際に国から支援が受けられる制度のことです。
申請すると以下のような条件の場合、即時償却、またはは取得価額の10%(資本金3000万円超1億円以下の法人は7%)の税額控除を選択適用可能です。
申請に不安を覚えた場合は、税理士などの専門家に相談することをオススメします。
- 青色申告書を提出する個人事業主または中小企業者など
- 指定期間内に、中小企業等経営強化法の認定を受けた経営力向上計画に基づく一定設備を新規取得など指定事業用に供した場合
低価格から始められるサービスがある
太陽光発電投資を低価格から始められるサービスもあります。
たくさんの「ひとり」の想いを環境貢献につなげるプラットフォームである「change」の主要サービスである「watt store」では、いつでも、どこでも、誰でも簡単に、スマホやパソコンで太陽光発電所をはじめとする再エネ発電所を買うことができます。
watt storeを利用すれば以下の理由により低資金で太陽光発電投資を始めることが可能になります。
- 1W200円〜300円から欲しい分だけ買うことができるため、誰でもクリーンエネルギー活動に参加可能
- 20年間監視や定期メンテナンスをしてくれる
- アプリで毎日の発電量をいつでもチェック可能
- 毎月分配される売電収入はアプリやサイトからいつでも換金可能
融資を受けることでサラリーマンでも副業として実践できる
一般的な太陽光発電投資の初期投資費用は土地の購入や設備の用意などで1,000万円以上かかると言われていますが、金融機関などから融資を受けることで太陽光発電投資をフルローンで開始できるので、サラリーマンの副業として実践可能になるでしょう。
太陽光発電投資のデメリット
太陽光発電投資には以下のようなデメリットがあります。
売電単価が年々下がってきている
2012年のFIT開始当初は40円でスタートした売電価格ですが、2022年度の10kW以上50kW未満の売電単価は11円と、3分の1以下になっています。
売電単価が下がった理由は太陽光発電の価値が下がったからではなく、太陽光発電設備の値段が年々下がっていき、昔よりも購入・設置しやすくなり、売電する設備の数が増えていったからといわれています。
全量売電できない
太陽光発電は、2020年度から全量売電ではなく、基本的に3割は自家消費することが義務付けられました。50kWもの太陽光発電設備の発電量を3割も消費できる施設は工場などがない限りほぼ不可能といえます。そのため、実質的に使用されていない安い土地に野立ての太陽光発電を設置して全量売電するということができなくなりました。
太陽光発電特有のリスクがある
太陽光発電設備は、屋外に設置するので自然災害による故障などの特有のリスクがあります。
- 季節や天候:発電量が季節や天候によって左右される
- 台風・水害:強風による架台の崩壊や太陽電池モジュールの飛散、想定以上の雨量により地盤が緩み発電所崩壊の危険があるため、メーカーが指定する施工方法や設置場所を守ることが必要
- 落雷:パワコンの故障を引き起こし、修理までの間は売電収入にロスが生じ続けるのでSPDの設置が増えつつある
- 積雪:雪の質によっては日射量が多くても発電量が見込めない、モジュールや架台が積雪の重みに耐えられず破損するため対策が必要
- 出力制御:出力制御中は出力が抑えられるため、その分売電量が減る、管轄の電力会社や規模等の諸条件によってルールが異なるため確認が必要
- 修理費:積み上げてきた投資利益を減らすことになるので、保険に入るなどの対策が必要
太陽光発電投資に失敗しないための対策
太陽光発電投資に失敗しないための対策は以下の通りです。
2019年度以前の全量売電できる案件を買う
全量売電は2020年以降できなくなってしまったため、2019年度以前のFIT制度による売電単価の権利を取得しており、あとは設置工事をするだけという物件のみが可能となります。2019年のFIT制度による売電単価は14円ですが、全量売電が可能なので2020年以降の物件よりも充分投資対効果を得られるのではないでしょうか。
太陽光発電投資の中古物件に関する記事も併せて読むと、よりわかりやすいでしょう。
近年ではセカンダリー取引も近年徐々に市場が活性化しています。特に他への投資に向けて現金が必要な事業者や太陽光発電設備の償却期間を終えた事業者が売りに出しています。
セカンダリー取引とは、既に稼働している太陽光発電所を対象とした取引で、適用されるFIT価格や部材・施工業者の信頼性、設備の詳細がわかる書類が揃っていることや、充実したメンテナンス体制などが評価の対象となります。
太陽光発電のセカンダリー市場についてまとめていますので、併せて読むとさらにイメージしやすくなると思われます。
セカンダリー取引では、全量売電が可能な最後の年である2019年度の売電単価14円よりも、もっと高かった時期の中古物件が売りに出されている可能性があります。
中古物件はシミュレーションされた予想発電量ではなく、実績として発電量を計算することができ、実際にできあがった現地現物を確認することができます。そのため、FIT適応年数の残り期間と売電収入、そして売り出し価格を精査して割に合うようであれば中古物件の購入は、新規物件を買うよりも失敗するリスクが低くなります。
ただし、個人案件は法人と異なり売りに出す事情が様々であるため、購入検討の際は手放す理由をしっかりと探りましょう。
完全自家消費物件として新規太陽光発電設備物件を購入する
この方法は法人限定になりますが、自家消費3割が可能ならば新規の太陽光発電設備投資がオススメです。
現在、屋根に設置した太陽光発電設備で発電した電気を、昼間に電気をたくさん消費する工場などで100%自家消費するのが主流になってきています。発電した電気を全て自家消費するので、送電網への負担もなく、電気ロスもありません。また、高騰し続ける電気代を電力会社から購入する機会が減ります。脱炭素社会への貢献に繋がるため、企業としての評価も上がるとして導入が進んでいます。
まとめ
太陽光発電投資を失敗しないための対策について解説してきました。以下まとめになります。
- 太陽光発電投資は固定価格買取制度(FIT制度)により20年間の売電価格が約束されているので、売電収益シミュレーションが大きく外れない
- 太陽光発電投資は他の投資に比べて利回りが高く、専門知識がなくてもサービスを利用すれば安く気軽に始めることができるなどメリットが多い
- 2020年以降の太陽光発電投資物件では全量売電ができない、盗難や自然災害などのリスクに対して、中古物件購入や保険加入などのリスク対策を立ててうまく運用する
太陽光発電投資はたくさんのメリットがある反面、デメリットも多く、失敗するリスクが高くなります。しかし、しっかりとリスク対策を行えば、うまく運用できる可能性が高くなり、失敗しなくなるでしょう。ぜひこの機会に太陽光発電投資を検討してみてはいかがでしょうか。