再生可能エネルギーとは? 地球資源の一部を使った枯渇しないエネルギー!

日本のエネルギー供給のうち、石油や石炭、天然ガスなどの化石燃料がその8割近くを占めており、そのほとんどを海外からの輸入に頼っています。エネルギー源としてメインである石油・石炭・天然ガスなどの化石燃料は、限りあるエネルギー資源です。化石燃料は地球温暖化の原因である二酸化炭素(CO2)を排出し、各国で環境に対する対策が行われています。地球環境に優しいエネルギーへのニーズが高まり、日本も様々な再生可能エネルギー事業を展開しています。今回は再生可能エネルギーについて解説しています。

再生可能エネルギー

再生可能エネルギーとは、石油や石炭、天然ガスといった有限な資源である化石エネルギーとは違い、太陽光や風力、地熱といった地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのことです。その大きな特徴は以下のようになります。

・枯渇しない
・どこにでも存在する
・CO2を排出しない(増加させない)

再生可能エネルギーは、一度利用しても比較的短期間に再生が可能であり、資源が枯渇せず繰り返し利用できる環境に優しいエネルギー源です。

主な再生可能エネルギーの種類

主な再生可能エネルギーの種類は以下の通りです。

太陽光発電

1つ目は「太陽光発電」です。

太陽光発電は、シリコン半導体などに光が当たると電気が発生する現象を利用し、太陽の光エネルギーを太陽電池(半導体素子)により直接電気に変換する発電方法です。

太陽光発電のメリット・デメリット

太陽光発電のメリットは以下の通りです。
・エネルギー源が太陽光であるため、基本的に設置する地域に制限がなく、導入しやすいシステム
・屋根、壁などの未使用スペースに設置できるため、新たに用地を用意する必要がない
・送電設備のない山岳部や農地などの遠隔地の電源として活用できる
・災害時に貴重な非常用電源として使うことができる

太陽光発電のデメリットは、気候条件により発電出力が左右されることです。導入コストは次第に下がってはいますが、今後の更なる導入拡大のために低コストに向けた技術開発が重要になってきます。

太陽光発電の事例紹介

太陽光発電の事例を紹介します。

●Fujisawaサスティナブル・スマートタウン(Fujisawa SST)(神奈川県藤沢市)
・パナソニックを中心に19社1協会により推進中の街づくりプロジェクト
・住宅地区(低層・中高層)、生活支援地区、福祉・健康・教育地区に配置
・太陽光発電システムとリチウムイオン蓄電池に加え、エネファーム、HEMSなどが各住戸に設置
・街区全体で再生可能エネルギー利用率30%以上、CO2排出量70%削減(1990年比)を目指す

風力発電

2つ目は「風力発電」です。

風力発電は、風のエネルギーを電気エネルギーに変える再生可能エネルギーです。
欧米諸国に比べると導入が遅れているものの、2000年以降導入件数は急増し、2016年には2,203基、累積設備容量は335.7万kWまで増加しました。

風力発電のメリット・デメリット

風力発電のメリットは以下の通りです。
・大規模に発電できれば発電コストが火力並みなので、経済性も確保できる可能性のあるエネルギー源
・風車の高さやブレード(羽根)によって異なるが、高効率で電気エネルギーに変換できる
・風さえあれば夜間でも発電できる
・大きな導入ポテンシャルを持つ洋上風力発電も検討・計画されている

風力発電のデメリットは、導入可能な適地が限定的なことです。また、系統制約、環境アセスメントの迅速化、地元調整等の開発段階での高い調整コストなどの課題もあります。

風力発電の事例紹介

風力発電の事例を紹介します。

●新青山高原風力発電所
・2017年2月に運転を開始した国内最大級のウィンドファーム
・発電出力が8万キロワット
・室生赤目国定公園内に立地
・美しい自然景観への配慮、地域との共存を図りながら運転を行っている
・事業地内には「風のめぐみの館」を設置し、再生可能エネルギーの教育や情報発信にも取り組んでいる

水力発電

3つ目は「水力発電」です。

水力発電は、純国産の再生可能エネルギーです。水資源に恵まれた日本では、発電への利用も昔から盛んであり、国内でまかなうことができる貴重なエネルギー源になっています。

水力発電のメリット・デメリット

水力発電のメリットは以下の通りになります。
・自然条件によらず一定量の電力を安定的に供給可能
・一度発電所を作れば、その後数十年にわたり長期的な発電可能
・発電時に二酸化炭素を排出しない
・長い発電の歴史を通じて数多くの成熟した技術力

水力発電のデメリットは以下の通りです。
・事業の開始前に河川流況の長期にわたる調査が必要
・開発初期におけるリスクが大きい
・環境への影響の理解や水利権の調整など地域住民等の理解促進が不可欠
・未開発地点は奥地かつ小規模なため、開発済み地点とくらべてコストが高い

水力発電の事例紹介

水力発電の事例を紹介します。

●小鷹水力発電所(鹿児島県薩摩川内市)
・最大出力28kW
・国内では導入実績の少ないらせん水車を用いた小水力発電所
・低落差で高効率な発電が特徴
・農業用水路などの低落差地点への水力発電の普及促進に貢献

バイオマス

4つ目は「バイオマス」です。

バイオマス(動植物に由来する有機物)とは、動植物などから生まれた生物資源の総称であり、この生物資源を直接燃焼したり、ガス化したりなどして発電することをバイオマス発電といいます。

バイオマスのメリット・デメリット

バイオマスのメリットは以下の通りです。
・バイオマス資源は光合成によりCO2を吸収して成長する
・「京都議定書」における取扱上、CO2を排出しないものとされている
・廃棄物の再利用や減少につながり、循環型社会構築に大きく寄与
・家畜排泄物、稲ワラ、林地残材など、国内の農産漁村に存在するバイオマス資源を利活用することで農山漁村の活性化に繋がる
・家畜排泄物や生ゴミなどを資源として活用することで、地域環境の改善に貢献

バイオマスのデメリットは、資源が広い地域に分散しているため、収集・運搬・管理にコストがかかる小規模分散型の設備になりがちということです。

バイオマスの事例紹介

バイオマスの事例を紹介します。

●グリーン発電大分
・出力5,700kW
・林業や製材業などの木材産業が主要な産業となっている日田市にある
・林地残材や未利用間伐材、製材課程で発生する木くずを利用した発電所
・発電所に隣接する園芸ハウスに排温水を安価で提供
・低コスト・低炭素化農業の実現及び活性化

地中熱利用

5つ目は「地中熱利用」です。

地中熱とは、浅い地盤中に存在する低温の熱エネルギーであり、日本中いたる所で利用可能です。
地中の温度は地下10~15mの深さになると、年間を通して温度の変化が見られなくなるため、夏場は外気温度よりも地中温度が低く、冬場は外気温度よりも地中温度が高くなります。地中熱利用とは、この温度差を利用して効率的な冷暖房等を行います。

地中熱利用のメリット・デメリット

地中熱利用のメリットは以下の通りです。
・空気熱源ヒートポンプ(エアコン)が利用できない外気温-15℃以下の環境でも利用可能
・放熱用室外機がなく、稼働時騒音が非常に小さい
・地中熱交換器は密閉式なので、環境汚染の心配がない
・冷暖房に熱を屋外に放出しないため、ヒートアイランド現象の元になりにくい

地中熱利用のデメリットは、初期費用が高く、設備費用の回収期間が長いことです。

地中熱利用事例

地中熱利用の事例を紹介します。

●鈴廣かまぼこ惠水工場(鈴廣かまぼこ株式会社)
・鈴廣 かまぼこの里に、新たに惠水工場への地中熱利用による空調設備を導入した
・既設のガス焚冷温水発生器からの燃料転換
・同工場内事務所(1,500m²)および製品包装作業所(500m²)の空調を賄う

温度差熱利用

6つ目は「温度差熱利用」です。

温度差熱利用は地下水、河川水、下水などの水源を熱源としたエネルギーであり、地域熱供給源として期待されています。
夏場は水温の方が温度は低く、冬場は水温の方が温度は高いです。この水の持つ熱をヒートポンプを用いて利用したものが温度差熱利用であり、全国で広まりつつあります。

温度差熱利用のメリット・デメリット

温度差熱利用のメリットは以下の通りです。
・燃料を燃やす必要がないため、クリーンなエネルギー
・熱源と消費地が近い
・温度差エネルギーは民生用の冷暖房に対応できるため、新しい都市型エネルギーとして注目されている
・温度差エネルギーは寒冷地の融雪用熱源や、温室栽培などでも利用可能

温度差熱利用のデメリットは、建設工事の規模が大きいためイニシャルコストが高く、地元の地方公共団体などとの連携が必要となることです。

温度差熱利用の事例紹介

温度差熱利用の事例を紹介します。

●東温市ふるさと交流館さくらの湯
泉温40℃の特性を活かし、浴槽で使用したろ過済みの温泉水を夜間にヒートポンプシステムを稼動させて温水タンクに蓄熱し、浴槽水等の加温の熱利用をしている。

太陽熱利用

7つ目は「太陽熱利用」です。

太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集め、熱媒体を暖め給湯や冷暖房などに活用するシステムです。
太陽熱利用は機器の構成が単純なため導入の歴史が古く、実績があります。

太陽熱利用のメリット・デメリット

太陽熱利用のメリットは以下の通りです。
・システムのエネルギー源は太陽エネルギーなので、導入コストは永久的に無料
・簡単なシステムであるため、特別な知識や操作が必要ない
・一般事務所だけでなく給湯利用の多い介護施設などでも手軽に導入可能

太陽熱利用のデメリットは天候に左右されることです。

太陽熱利用の事例紹介

太陽熱利用の事例を紹介します。

●豊国工業
・本社ビルに太陽熱や風力発電などを積極的に取り入れたエコオフィス
・床面積1,100m2の4階建てオフィスに真空管式太陽熱集熱器を1,144本設置
・太陽熱利用を冷暖房及び給湯に使用
・必要な熱の約65%を太陽熱で賄っている

雪氷熱利用

8つ目は「雪氷熱利用」です。

雪氷熱利用とは、冬の間に降った雪や、冷たい外気を使って凍らせた氷を保管し、冷熱が必要となる時季に利用します。寒冷地の気象特性を活用するため、利用地域は限定されますが、資源は豊富にあることから注目されています。

雪氷熱利用のメリット・デメリット

雪氷熱利用のメリットは以下の通りです。
・除雪などで膨大な費用がかかっていた雪を保管、利用することができる
・雪氷熱の積極利用により企業イメージアップと商品の付加価値向上に寄与
・寒冷地なら資源が豊富

雪氷熱利用のデメリットは、寒冷地という利用地域が限定されていることです。

雪氷熱利用の事例紹介

雪氷熱利用の事例を紹介します。

●雪蔵工房(JAびばい)
・国内最大となる3,600tの貯雪量を誇る玄米貯蔵施設
・全空気式雪冷房により庫内を温度5℃、湿度70%の低温環境で常に新米の食味を提供
・運転停止や温度調整も可能
・消費電力は従来に比べ1/2以下

地熱発電

9つ目は「地熱発電」です。

地熱発電は、火山国である日本の恵です。本格的な地熱発電所は1966年に運転開始し、現在では東北や九州を中心に、安定して発電できる純国産エネルギーとして注目を集めています。
現在、地熱発電は「バイナリー方式」のものに限られています。
バイナリー方式とは、地熱流体の温度が低く、十分な蒸気が得られない時などに、地熱流体で沸点の低い媒体を加熱し、媒体蒸気でタービンを回して発電することです。

地熱発電のメリット・デメリット

地熱発電のメリットは以下の通りです。
・発電に使った高温の蒸気・熱水は、農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房などに再利用可能
・地下の地熱エネルギーを使うため、化石燃料のように枯渇する心配のない持続可能な再生可能エネルギー
・坑井(深さは1,000~3,000m)から天然の蒸気を噴出させるため、昼夜を問わぬ安定した発電が可能

地熱発電のデメリットは、立地地区は公園や温泉などの施設が点在する地域と重なるため、地元関係者との調整が必要なことです。課題として地熱直接利用の開発も挙げられます。

地熱発電の事例紹介

地熱発電の事例を紹介します。

●八丁原地熱発電所
・出力110,000kW
・バイナリー発電設備
・国内最大規模の地熱発電所
・阿蘇くじゅう国立公園特別地域の一画にある
・発電所の運転や計器の監視などは約2km離れた大岳発電所から実行され、通常は無人運転

その他の再生可能エネルギー

10つ目は「その他の再生可能エネルギー」です。
その中の1つを紹介します。

空気熱

空気熱とは、ヒートポンプを利用することにより、空気から熱を吸収することによる温熱供給や、熱を捨てることによる冷熱供給ができる再生可能エネルギー源です。主に給湯器や空調用エアコンなどに使われます。

まとめ

再生可能エネルギーとは何かについて解説してきました。以下、まとめになります。

・再生可能エネルギーとは、有限資源の化石エネルギーと違い、地球資源の一部など自然界に常に存在するエネルギーのこと
・再生可能エネルギーの大きな特徴は「枯渇しない」「どこにでも存在する」「CO2を排出しない(増加させない)」
・再生可能エネルギーの種類は「太陽光」「風力」「水力」「バイオマス」「地熱」「地中熱」「温度差熱」「太陽熱」「雪氷熱」「その他」

再生可能エネルギーは地球にある資源を使うため環境に優しく、CO2も排出されないとされています。今後の地球のためにも化石燃料だけではなく、再生可能エネルギーを一般家庭でも使えるよう研究が進むかもしれません。

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