再生可能エネルギー発電促進賦課金とは? 再生可能エネルギーを普及・拡大させるため電気を使用している全国民が負担している!

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、電気料金支払い時に使用した電気料金と一緒に請求されるものです。これは電気の使用量に応じ契約している小売電気事業者に関わらず、社会全体で再生可能エネルギーを普及・拡大させていくため、電気を使用している全国民が負担しています。今回は再生可能エネルギー発電促進賦課金について解説します。

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)によって電力会社等が買電に必要な費用を電気料金の一部として、電気の使用量に応じ契約している小売電気事業者に関わらず全国民に負担させるものです。

「再生可能エネルギー発電促進賦課金」は、法令に基づき、当年4月分から翌年3月分の買取りに要すると見込まれる費用を当年5月分から翌年4月分に支払います。

年度ごとに定められる「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」と、各家庭の「1ヵ月の電気使用量」とを乗じて算定しています。
電力料金の算定方法(税込み、従量制供給の場合)は以下の式によって求められます。

電力料金=基本料金+電力料金(燃料費調整額を含む)+再生可能エネルギー発電促進賦課金

また、再生可能エネルギー発電促進賦課金は以下の式によって求められます。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価(円/kWh)×1ヵ月の使用電力量(kWh)

電気を使用している国民に再生可能エネルギー発電促進賦課金を負担させる理由は、社会全体で再生可能エネルギーを普及・拡大させていくためです。

再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT)とは、2012年7月1日から開始された制度であり、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス等の再生可能エネルギーによって発電された電気を一定期間・固定価格で電力会社等が買い取ることを義務付けるものです。
この制度により、発電設備の高い建設コストも回収の見通しが立ちやすくなり、より再生可能エネルギー普及が進みます。

再生可能エネルギーの電気が普及すれば、日本のエネルギー自給率の向上に有効です。エネルギー自給率が向上すると、化石燃料への依存度の低下につながり、燃料価格の乱高下に伴う電気料金の変動を抑えるといった観点から、電気を利用している国民にとってもメリットがあるといえるでしょう。

なお、エネルギー多消費事業者については、再生可能エネルギー発電促進賦課金の減免制度があります。国が定める減免の要件や認定手続きに関する詳細は経済産業省資源エネルギー庁サイトに掲載されています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金減免制度とは

電力多消費事業者の国際競争力の維持・強化の観点から、一定の基準を満たす事業所は、経済産業大臣の認定を受けることにより、再生可能エネルギー発電促進賦課金減免制度の適用を受けることができます。また、減免措置の適用を受ける事業者の減免率は、事業の種類や電気の使用に係る原単位改善に向けた取組の状況が基準を満たすか否かで適用される減免率が異なります。

認定事業者に対して適用される減免率

認定事業者に対して適用される減免率は以下の通りです。

優良基準
満たす 満たさない
製造業など 8割 4割
非製造業など 4割 2割

農業・林業、漁業、鉱業・採石業・砂利採取業については製造業の減免率と同等です。
事業の種類は日本標準産業分類の細分類(4桁)を基に区分しています。
優良基準とは、電気の使用に係る原単位の改善に向けた取組の状況に係る基準のことです。
優良基準を直近2事業年度連続で満たさない場合は認定基準を満たしたことになりません。

減免認定要件

減免認定を受けるための要件は以下の通りです。
・製造業において電気の使用に係る原単位が平均の8倍を超える事業を行う者
・非製造業において電気の使用に係る原単位が平均の14倍を超える事業を行う者
・製造業、非製造業ともに5.6kWh/千円を超える必要あり
・申請事業所の申請事業における電気使用量が年間100万kWhを超えること
・申請事業における電気使用量が申請事業所の電気使用量の50%超を占めていること
・原単位の改善のための取組を行う者

原単位とは、一定量の製品を生産するのに必要な、原材料やエネルギーの量を表す単位のことです。原単位が小さいほど、企業などの生産が合理化されていることを意味します。
この場合、原単位は「売上高千円当たりの電気の使用量」を意味します。

減免制度の適用を受けるための流れ

減免制度の適用を受けるための流れは以下の通りです。

① 減免認定要件の確認(認定基準、及び原単位改善に係る認定基準及び優良基準を満たしているか確認)

② 減免認定申請書の作成(申請書は減免認定申請書作成支援システムで作成。様式は第1表から第4表まであり、第4表は共同受電形態を取る事業所のみ作成)

③ 減免認定申請書の提出(原則郵送にて正本1部を申請事業者の本社が所在する地域の経済産業局に提出。申請の受付期間は毎年11月の1ヶ月間であり、期間終了後は一切申請を受け付けることはできないので提出期限に注意。送付資料が昨年度と変更になっている可能性があるので、提出前にしっかりと確認し、提出漏れを防ぐ)

④経済産業局の審査及び認定通知書の交付(申請書の審査終了後、各経済産業局より申請者に対して減免認定通知書を送付)

⑤小売電気事業者等への申し出(申請者は認定通知書を受け取った後、認定を受けた年度の2月1日までに電気の供給を受ける小売電気事業者等に申し出を行うことによって、認定を受けた翌年度分の賦課金が減額される。小売電気事業者等への申し出を行わない場合、減免制度の適用を受けられないので要注意)

⑥認定内容変更の申し出(申請者は認定通知書を受け取った後、認定通知書の記載の内容と変更が生じた場合、経済産業局に事前に申請しなければいけない。申出書の審査終了後、経済産業局より申請者に対して変更内容通知書を送付。その後、小売電気事業者等に申し出を行うことによって、賦課金が減額される)

減免制度の適用期間

減免制度の適用を受けることができる期間は、減免制度の適用を受ける年度の5月の定例検針分から翌年4月の定例検針分までです。つまり、4月の定例検針等が行われた日から翌年の4月の定例検針等が行われた日の前日までとなります。その期間に小売電気事業者等から供給を受けた電気が賦課金減免の対象にとなります。

減免認定を受けた事業所の公表

法令に基づき、減免認定を受けた事業者名や事業内容、電気使用量などの情報は公表されます。公表される内容は以下の通りです。

・認定事業の内容
・認定事業の原単位の算定基礎となる売上高及び電気使用量
・認定事業の原単位
・認定事業所に係る事業者の氏名又は名称及び住所、法人の場合にあっては代表者の氏名
・認定事業所の名称・所在地
・認定事業所における認定事業の電気使用量

減免制度適用例

減免制度が適用される例を紹介します。

●一般受電の場合
賦課金単価が2.95円/kWhの一般受電の場合、小売電気事業者などから電力多消費事業者へ100万kWhの電気の供給をした場合、賦課金の支払いは以下のように分かれます。

・減免制度適用外:295万円
・減免制度適応:59万円(ただし減免率が8割、かつ事業所が使用している電気全てが認定事業に使用されている場合)

●共同受電・テナント受電の場合
賦課金単価が2.95円/kWhの共同受電・テナント受電の場合、小売電気事業者などから小売事業者と直接契約者へ150万kWhの電気を供給した場合、賦課金の支払いは以下のように分かれます。

・減免制度適応外:443万円
・減免制度適応:207万円(電力多消費事業者に係る賦課金負担額のみ減免される)

さらに小売電気事業者と直接契約者から電力多消費事業者へ100万kWhの電力を供給した場合、賦課金の支払いは以下のように分かれます。

・減免制度適応外:295万円
・減免制度適応:59万円(ただし減免率が8割、かつ事業所が使用している電気全てが認定事業に使用されている場合)

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、毎年度、経済産業大臣によって定められ、毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用されています。再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は以下の式によって求められます。

「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」=「当該年度における電力会社等への交付金への見込み額の合計」÷「当該年度における電力会社等の想定供給電力量の合計」

上記を基本に、過年度における交付金総額と費用負担調整機関に納付された賦課金総額の差額を勘案して単価を算定します。

再生可能エネルギーの導入には地域間でばらつきが出る可能性があるため、地域間での負担を調整するための費用負担調整機関が設置し、「全国一律の単価」により各電力会社等が集めた賦課金を費用負担調整機関がいったん回収した上で、買取費用に応じて各電力会社等に交付金を交付する仕組みとなっています。

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は、各事業場やホームページ、または検針時に渡される「電気ご使用量のお知らせ」等への掲載によって知ることができます。

2021年5月分から2022年4月分までの「再生可能エネルギー発電促進賦課金単価」(従量制供給の場合・税込み)は以下の通りです。

発電促進賦課金単価(適応期間は2020年5月から)
2021年4月分 2021年5月から2022年4月分
2.98円/kWh 3.36円/kWh

その差は「+0.38円」です。単価は全電圧共通であり、定額制供給の場合も、従量制供給の場合に準じて負担となります。

家庭への影響額

ひと月の電気使用量が230kWの家庭の場合、以下のような影響を受けます。

2020年5月分~2021年4月分 2021年5月分~2022年4月分 差額
685円/月 772円/月 +87円/月

まとめ

再生可能エネルギー発電促進賦課金について解説してきました。以下、まとめになります。

・再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、FITにより電力会社等が買電に必要な費用を、電気料金の一部として電気を使用している全国民に負担させるもの
・経済産業大臣の認定を受けることにより、一定の基準を満たす事業所は再生可能エネルギー発電促進賦課金減免制度の適用を受けることができる
・再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は経済産業大臣によって定められ、毎年5月分から翌年の4月分の電気料金に適用される

再生可能エネルギー発電促進賦課金単価は年々増え続けています。しかし、設備費用のかかる再生可能エネルギーを社会的に普及させるためには、再生可能エネルギー発電促進賦課金は必要不可欠です。大量に電気を消費する事業所などは減免制度を利用して、再生可能エネルギー発電促進賦課金の支払いを減らすことを検討してみてはいかがでしょうか。

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