太陽光発電投資信託とは?少額から始めて地球環境貢献ができるハイリターンな投資信託

投資信託と聞くと、不動産投資信託や商品信託などが思い浮かびます。様々な信託がありますが、「太陽光発電投資信託」というのもあります。

太陽光発電信託とは、投資用太陽光発電設備の発電・売電事業に対して企業が投資のための会社を設立して投資家を募集し、売電収入から出資者に分配金が支払う仕組みです。

太陽光発電投資を事業者として行う場合、土地付きの太陽光発電所を自社で建設、購入する必要がありました。太陽光発電は初期費用でおおよそ2,000万円かかってしまいます。しかし、太陽光発電投資信託では、初期費用を出資者で分配するので、ひと口10万円など、少額から投資に参加できます。今回はこの太陽光発電投資信託について解説します。

太陽光発電投資信託の種類

代表的な太陽光発電投資信託は4つのタイプに分類されます。

①太陽光発電所へ投資して分配利益を得る

②太陽光発電所の建設費用を融資して、返済利息で利益を得る

③市民投資信託

④上場インフラ投資信託

太陽光発電所へ投資して分配利益を得る

最も多いタイプの太陽光発電投資信託です。少額から投資ができて、想定利回りが高く設定されているのが特徴であり、税引き前で7~9%のものが多いようです。投資対象となる太陽光発電設備は2パターンあります。

①すでに設置されている中古

②新しく設置

新しく設置する場合、完成後の売電開始となるため、分配開始日まで時間がかかってしまいます。既に設置されている中古の場合、発電を既に開始しているため分配の開始が新設よりも早くなる事があります。そのため、早く償還を求める場合は、中古を選択するのがいいでしょう。ただし新設の場合、生産性向上設備投資促進税制を活用して、出資金額50%償却を受けられる可能性もあるので、自分のニーズに合ったものを選びましょう。

運用期間はFIT適用期間である20年のものや、10~15年のものもあります。他にも5年程度で発電所を売却して、早めに元本を返還する目的のものもあります。つまり、太陽光発電投資信託は他の投資信託にあるような、無期限のものはほぼないと言えるでしょう。

そのため、安定して収入を得たい人は償還まで長期間のものを、ある程度早く回収したい人は償還まで短期間のものを選ぶことをおすすめします。

太陽光発電所の建設費用を融資して返済利息で利益を得る

太陽光発電を設置したい事業者に対して、初期費用を融資して返済利息を分配利益として得る方法です。クラウドファンディングで販売している事が多いようです。

このタイプで注意しなければいけないのは、貸金業法の規制によって投資信託の募集の際に融資先の企業の名前が分からないことです。借り先の企業名が伏せられているため、投資信託販売会社の信用度の高さが重要といえるでしょう。

貸した金額に対する利息の返還が利益となるため、早めに利益を回収したい方に向いている投資信託タイプだといえます。

市民ファンド

地元の市民を中心に全国からも投資信託への出資者を募り、太陽光発電などの再生可能エネルギー事業に投資して、事業の収益から出資者に利益分配をする仕組みを市民ファンドといいます。

募集する目的として、再生可能エネルギーの普及、エネルギーの地産地消、地元の雇用促進、市民への利益分配などが多いようです。収益の一部を地元へ還元しているものもあり、他のタイプの投資信託と比較して利回りは若干低い傾向にあるといえるでしょう。

上場インフラファンド

2015年の4月に再生可能エネルギー発電設備を投資対象として『インフラファンド市場』が東証に開設されました。

上場企業としての安心感と、上場で得た資金で規模の大きな発電設備に投資できることがメリットとなってくることでしょう。

太陽光発電投資信託の仕組み

太陽光発電投資信託は、間接的に太陽光発電投資に関われる投資商品です。太陽光発電投資とは、2012年から始まった固定価格買取制度(FIT)により、10kW以上の太陽光発電で発電した電力は20年間同じ単価で電力会社に売る事が可能になりました。買取には2つの方法があります。

①余剰買取:屋根のソーラーパネルで発電し、建物内で発電した電力を使用し、余れば買い取ってもらう

②全量買取:空いた土地に太陽光パネルを設置し、発電した電力全てを買い取ってもらう

太陽光発電投資は②の方法を取っており、空いた土地に太陽光発電パネルを設置し、そこで発電した電力を全て電力会社に20年間同じ単価で買い取ってもらい、お金を得るというビジネスモデルです。

太陽光発電投資は初期費用が高い

太陽光発電投資の初期費用は莫大な額であり、以下の要素で合算されます。

・ソーラーパネルを設置する土地の取得費

・設備費(太陽光発電パネル、パワコン、ケーブル、架台、フェンスなど)

・設計や業者のサービス料金

・連系負担金

・工事費

・メンテナンスや保険費用

たとえば、500坪の遊休地を購入し、年間売電収入220万円くらいの太陽光発電所を作りたい場合、上記の費用を合算すると初期費用は2,200万円ぐらいの初期費用がかかります。投資回収するのに10年、残り10年が丸々利益となり、トータルで10%ほどの利回りになるでしょう。

このように、標準的な太陽光発電所を作りたい場合、土地の広さにもよりますが大体1,000~2,000万円はかかるため、どうしても太陽光投資を踏みとどまってしまう投資家は多いようです。

太陽光発電投資信託は初期費用の高いハードルに有効

太陽光発電投資は初期費用が高いため、安易に手が出せない方にとって、太陽光発電投資信託は手軽に始める事ができます。

太陽光発電投資信託は以下のような流れになっています。

  • 出資者が投資信託営業者に出資することで、初期費用が集まる
  • 投資信託営業者が太陽光発電事業を運営・電力会社に売電
  • 電力会社が売電収入を投資信託営業者に支払う
  • 営業者は出資者に投資金額の配分に応じて分配金を支払う(リターン還元)

太陽光発電投資信託は、皆で初期費用を支払うという形なので、初期費用が高いというハードルにとても有効です。また、実務の部分を営業者に全て任せる事ができるため、難しい事は丸投げにして、投資金額に応じた分配金を受け取ることができます。取り組みやすいのではないでしょうか。

太陽光発電投資信託のメリット

太陽光発電投資信託のメリットは主に4つです。

①資金が少なくても投資ができる

②市場からの影響が少なく、リスクが少ない投資

③比較的高く安定的な利回り

④運営の手間がかからない

①資金が少なくても投資ができる

太陽光発電投資信託は、ひと口10万円ほどの定額から出資する事が可能です。また、複数の太陽光発電プロジェクトに分散して投資する事もでき、リスクを細分化できるのも魅力的です。

②市場からの影響が少なく、リスクが少ない投資

FITにより20年間同じ価格の電力買取が保証されているので、大きな資産破損リスクは少なく、太陽光が当たっている限り安定的に売電されます。

③比較的高く安定的な利回り

利回りが5%からと比較的高く、安定的です。

④運営の手間がかからない

太陽光発電投資信託の太陽光発電の運営などは全て営業者が行います。そのため、出資者は投資をするだけでリターンを得る事が可能です。

⑤環境問題に貢献できる

CO2排出量削減などの脱炭素社会や再生可能エネルギーの普及は、地球規模で執り行わなければいけない問題です。太陽光発電投資信託に出資する事は、太陽光発電増加につながります。そのため太陽光発電投資信託は、分配金を得ながら社会的貢献ができる貴重な投資方法だと言えるでしょう。

太陽光発電投資信託のデメリット

太陽光発電投資信託では発電所をしっかり選定する事で、デメリットをなくす、下げる対応をしているところが多いです。そのため、太陽光発電投資信託はデメリットに対して「保障」として対応しているケースが多いようです。太陽光発電投資信託のデメリットは4つです。

  • 日照や天候によって発電量が変動する

②災害による発電所破損リスクがある

③出力抑制で売電ができない時がある

④盗難被害

①日照や天候によって発電量が変動する

太陽光発電投資信託は、太陽光によって発電されるため、曇りや雨、季節などによる日照時間が短い場合、発電量・売電量が下がってしまいます。

②災害による発電所破損リスクがある

地震、台風、水害など、日本は天災が多く発生します。それにより発電所が破損するリスクは大いにあるでしょう。

③出力抑制で売電できない時がある

消費される電力(需要)と生み出される電力(供給)のバランスが崩れたとき、「電気の周波数が乱れる」といった現象が起こります。大きな周波数の乱れは大規模な停電を招きます。これを未然に防ぐために行われる措置を出力抑制といいます。出力抑制が実行されている間、制限の対象となっている太陽光発電設備は発電しても電力を売る事ができないため、収入を得られません。

また、地域によっては発電量が抑制されている場合があります。たとえば九州電力管内の場合、「電力の消費量より供給量が多い」と発電量が抑制されます。

④盗難被害

傾向として、送電ケーブルの中には銅を含んでいるものが最も盗まれやすいです。その次に太陽光パネル、架台、パワコン、などの周辺機器が盗難対象となっています。盗難されると、金銭的被害だけでなく、売電できない期間の機会損失、修理や警察対応など時間的コストが発生するため、自然災害並みに深刻なリスクと言えるでしょう。

太陽光発電投資信託を選ぶ3つのポイント

太陽光発電投資信託もたくさんの業者によって運営されているため、運営方法や商品内容によって差異があり、どれを選ぶかが投資の成功に直結すると言ってもいいでしょう。

太陽光発電投資信託を選ぶポイントは以下になります。

①日照変化、出力抑制の影響による売電収入減少リスクを踏まえ、シミュレーションより発電量が下がった時に補償をしてくれる設計を商品にされているか

②火災や水害などの自然災害による発電所破損リスクに対する保証はあるか

③発電所の立地選びで日照、災害リスクが低い所をきちんと選んでいるか

最低限、この3つの太陽光発電投資リスクに対してきちんと対応した商品設計をしている投資信託を選び、手堅い資産運用をしましょう。

太陽光発電投資信託の将来性

太陽光発電投資信託は安定性が高く、投資として非常に優秀です。しかし、2021年の買取価格は12円/1kW程であり、FITが始まった当初の40円/1kWから大幅に下がっています。

このまま買取価格が下がっていき、更にFIT制度がなくなってしまったら太陽光発電投資信託の将来性はどうなるのか不安になるかもしれません。しかし、そんな心配はいりません。何故なら以下の理由で将来性が高いと言えるからです。

太陽光発電設備の部材価格や費用が低減している

太陽光発電という市場の広がり、生産量の増加につれて、ソーラーパネルやパワーコンディショナなどの太陽光発電設備の部材価格は年々安くなってきています。設置費用も低減しており、2012年当初の設置費用から40~50%程下がっていると言えるでしょう。部材価格や費用が低減する事で、電力買取価格低下分をカバーできるかもしれません。

発電効率は上昇している

太陽光発電設備は価格低下だけでなく、発電効率も上がってきています。太陽光発電市場が広がっていく中で、多数のパネルメーカーが技術力を競い合う事で発電効率を上げてきたのです。

投資回収期間が変わらない

設置費用低減、発電効率上昇により、投資の回収期間は10年程だと言われています。この投資回収期間はFIT開始時の2012年当時と変わりません。これから増々設備も安く、性能も向上していくので、投資回収期間は少しずつ短くなるかもしれないので、今が太陽光設備投資信託に手を出すチャンスなのではないでしょうか。

まとめ

太陽光発電投資信託について解説してきました。以下、まとめとなります。

・ひと口10万円からと少額で出資可能、比較的高く安定的な利回り

・売電量が天候や災害に左右されるため、その場合、分配金が減る可能性がある

・運営の手間は営業者に全て任せ、出資する事で環境問題にも貢献できる

買取価格が低下していても、技術力向上とコスト低減により、太陽光発電投資信託は十分投資として有力であり、将来性が高いといえるでしょう。しかし、太陽光発電投資信託はFITに依存しているため、出資者は必ず資源エネルギー庁の固定価格買取制度ニュースや動向に目を光らせておく必要があります。

太陽光発電投資信託もたくさんの業者によって運営されているため、運営方法や商品内容によって差異があり、どれを選ぶかが投資の成功に直結するでしょう。太陽光発電投資のリスクに対して対応済みの商品設計をしている投資信託を選び、手堅い資産運用をするのがよいでしょう。

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