皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、調達価格をテーマにお届けします。
調達価格が下がる!(かも)
まずはじめに、売電価格(厳密にいうと「調達価格」)を2020年度より下げるという提案がされていることを前もって申し上げます。調達価格等算定委員会が今月4日に発表した「令和2年度の調達価格等に関する意見(案)」によると、次のように提案されています。【10kW未満】 24円→21円(/kWh)
【10kW以上50kW未満】 14円→13円(/kWh)
【50kW以上250kW未満】 14円→12円(/kWh)
まだ下がるのか!?とお思いかと。
なぜこうなるのかを、調達価格等算定委員会の意見案をもとにひもといていきます。
再生可能エネルギーを取り巻く状況
現在の世界における日本の再生可能エネルギー事情は、このようになっています。
我が国では、平成30 年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、初めて再生可能エネルギーを主力電源化していく方向性が掲げられた。この方向性を実現するためには、再エネコストを他の電源と比較して競争力ある水準まで低減させ、自立化を図っていくことが必要である。
つまり、こういうことです。
- 再生可能エネルギーをこれからの日本のメインの発電源としたい
- そのためにはコストを他の電源と同程度に低く抑えたい
どれくらいコストがかかっているのでしょうか。委員会はこのように続けます。
現在、我が国の再エネコストは海外と比べても高い状況にあり、FIT 制度における買取費用総額は既に約3.6 兆円にまで増大している。世界では技術革新などによって低コストでの再生可能エネルギーの導入が進展している中で、世界の状況を日本においても実現し、再生可能エネルギーの円滑な大量導入を推進していくことが求められている。
つまり、コストがかさんでいるということですね。
3.6兆円ってどのくらいのインパクト?
では、この3.6兆円という額はどれくらいのものなのでしょうか。
ところで、再生可能エネルギー界隈には、賦課金
という制度があります。再生可能エネルギーに関する費用のうち、国民が負担する分のことです。
「再生可能エネルギー発電促進賦課金」とは、「再生可能エネルギーの固定価格買取制度」によって電力会社等が買取りに要した費用を、電気のご使用量に応じて、電気料金の一部として、電気をご使用になるお客さまにご負担いただくものです。
(関西電力HPより)
簡単に言えば、「電力会社による買い取りは、私たちのお財布から」ということになります。
では、どれくらいお財布から出ていっているのでしょうか。太陽光発電が始まった2012年度と2019年度を比べてみましょう。FIT制度による買い取り総額が3.6兆円の現在、賦課金は2.4兆円だとのことです。
2012年度 賦課金 0.22円/kWh
2019年度 賦課金 2.95円/kWh
(経済産業省HP「再生可能エネルギー政策の再構築に向けた当面の対応」より)
なんと13倍です。
1か月の電力消費が300kWhの一般的な家庭の電気料金に換算すると、2012年度には1か月あたり66円だったのが、2019年度には885円になっています。
ここまで国民に費用負担をさせてはいけない!と、調達価格を下げて負担を軽減しようとしてるわけですね。
次回も、調達価格に関して、算定委員会の意見案にもとづいて引き続きお届けいたします。