皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、「太陽光発電と他の発電との比較③」と題してお送りします。今回は、地熱発電との比較をしたいと思います。
地熱発電とは
簡単にいうと、できるだけ地表に近いところで高温になっている地域を特定し、その高温による熱(地熱)のエネルギーを利用して発電する仕組みのことです。高温の蒸気を作りだして、それを利用してタービンを回しています。この点、火力のみならず風力や原子力発電と同じ仕組みです。日本は温泉も多く、地表近くが高温になる地域が多い国です。また、火山が多いことでも有名です。これらのことは、地熱発電に有利にはたらきます。日本は、地熱発電に向いているのです。
地熱発電で高温の蒸気を作りだすためには、3つの方法があります。
①ドライスチーム発電
地中で発生した蒸気をそのままタービンの動力源として使う方法です。
②フラッシュサイクル発電
熱くなっている地下水をくみ上げて、低圧力タンクを用いて水を一気に沸騰させ(水)蒸気を発生させる方法です。圧力を低めると沸点が下がり、低い温度でも沸騰し気化する原理を利用しています。
③バイナリーサイクル発電
アンモニアなど沸点の低い液体を熱い地下水にさらして沸騰させ蒸気にする方法。
地熱発電と太陽光発電の比較
それでは、地熱発電のメリットとデメリットを、太陽光発電と比較しながら見てみましょう。
メリット①地熱はほぼ無尽蔵
地球が存在する限り、地熱は無尽蔵にあります。そもそも地球は6,000度の「核」とそれを取り巻く「マントル」、その外側の「地殻」、そして「地表」に至ります。つまり、地球の中心に近づけば近づくほど高熱が得られるのです。地表から2~3km掘り進めると200度程度の高温地帯が見つかることが多いようです。地熱が尽きるときは、地球もなくなるであろうときなので、私たち人間にとっては「無尽蔵」と言って良いのではないでしょうか。
なお、先に挙げた3つの方法いずれも地下水を前提としています。地下水がなくなれば、地熱発電もできなくなると言って良いでしょう。世界最古の地熱発電所であるイタリアの「バル・デル・ディアボロ地熱発電所」では、1911年から100年以上もイタリアの100万世帯に電気を送り続けています。まだ大きく問題化してはいませんが、もしかしたら将来的に地下水が枯渇する地域があるかもしれないことは念頭に置いた方が良いかもしれません。
対して、太陽のエネルギーを使って発電する太陽光発電も、星固有のエネルギーが源となっています。太陽光もまた「無尽蔵」と言えます。局所的に地下水が出なくなってしまったりするようなこともありません。太陽の寿命は理論上100億年と言われています。現在の太陽の年齢は約46億年ですので、あと50億年は大丈夫ということになります。
メリット②二酸化炭素排出量が極めて少ない
化石燃料を燃やして発電する火力発電は、二酸化炭素を多く排出します。それに比べて、地熱発電はその約20分の1程度しか排出しない、比較的クリーンな発電方法です。なお、アイスランドのヘトリスヘイジ地熱発電所では、なんと二酸化炭素の排出量がマイナスになるという結果が2017年に発表されています。地熱発電によって発生する熱エネルギーを使って大気中の二酸化炭素を回収し、水に溶かして地下の深層にある玄武岩の層に注入して、無害な物質に代えてしまうというものです。そのような工夫もあり、クリーンな再生可能エネルギーとして、その可能性が認知されているのです。
一方、太陽光発電も同じく、二酸化炭素の排出を抑えたクリーンな再生可能エネルギーとして幅広く認知されています。
メリット③天候や時間帯の影響を受けにくい
原子力に代わり、クリーンで安全な再生可能エネルギーに大きな注目が集まり、その導入に向けて舵を切っている国も多いのが現在の状況です。しかし、その再生可能エネルギーの多くは、天候や時間帯などの環境によって影響を受けるものが多いのもまた実情です。
例えば、風力発電。風が弱ければその分発電量は少なくなります。また逆に台風などの極端に風が強い日は、発電ができません。天候の影響を大きく受けてしまうと言ってよいでしょう。
太陽光発電も例外ではありません。再生可能エネルギーの一番手と言っていい太陽光発電ですが、当然ながら日照が十分でない環境においては、なかなか期待通りの発電をすることが難しいです。曇りの日、夜間などは発電ができませんので、蓄電地などを使っての蓄電システムを持たなければ、安定・継続の電力供給はできません。
それに対して地熱発電は、天候などの影響を受けない地中の地熱エネルギーを常時利用可能であり、必要とされるときに発電ができるメリットは大きいと言えましょう。
デメリット①導入に費用と時間がかかる
地熱発電所の建設には、何年もかけて地質調査や地盤調査をする必要があります。実際に地中の様子を調べるためには、地中に穴を掘る「ボーリング」という作業が必要になります。一気に広い範囲の地中を調べることができれば良いのですが、一か所一か所穴を掘って調べる必要があります。もちろん、ボーリングをする前にあたりをつけるために事前調査をしますが、それにしても調査には長い時間がかかります。当然、費用もそれだけかかります。
この点太陽光発電は、費用も時間も抑えられます。個人レベルでポンと出せる額ではありませんが、地熱発電に比べればそこまでではありません。
デメリット②自然破壊につながる可能性がある
地熱発電はクリーンなイメージのある再生可能エネルギーの1つですが、国立公園などの自然保護区域に指定されている場合が多くあります。そこに地熱発電所を建設するとなると、守るべき自然を破壊して建設することになります。
太陽光発電は、設置場所が地熱の有無に左右されるなどの条件がありません。特に、今後は住宅用が増える傾向にあります。多少の造成などは必要ですが、自然を切り開いての設置工事は、あまり多くないのではないでしょうか。
デメリット③観光産業からの懸念
最後に、環境産業からの懸念の声が、地熱発電所を建設する際には上がることがあります。地熱エネルギーが多く埋蔵されていると思われる地域は、元々温泉が多いのは想像しやすいのではないでしょうか。温泉が多いということは、観光地化している場合が多いです。つまり、地熱発電に向いている地域は、すでに観光地として栄えている可能性が高いのです。
その場合、地熱発電により高温の地下水(当然、温泉も含みます)も汲み上げるなどすると、温泉のお湯が枯渇してしまうなどの問題が発生しかねません。また、地熱発電は大規模な設備を「建築」するものであり、観光地の景観に関する問題も発生することも考えられます。これらにより、観光業が発達している地域からの反発を受ける可能性が低くはないといえます。実際、地熱発電所の建設が計画されたところ、観光業を主体とした地域からの反発があり、建設が取りやめになった例もあります。
それに対して、太陽光発電は、観光資源に与える影響はわずかです。強いて言えば、太陽光モジュールの設置方法に気を付けないと景観を損ねる、ぐらいでしょうか。
地熱発電は、二酸化炭素の排出量が少なく、環境に左右されない電力源です。しかし、その建設のための費用や時間、周囲への影響を考えると、なかなかメインの発電方法とはなりにくいのではないでしょうか。現に、日本における地熱発電の割合は、昔に比べて低くなっています。太陽光との比較で見てきましたが、太陽光に軍配が上がりそうです。