太陽光ブレーカーは太陽光発電に必須な専用ブレーカー

一般的に、分電盤内部にはそれぞれの遮断器(ブレーカー)が取り付けられており、電気を各フロアや部屋へ分け、さらに各部屋などの複数回路に分ける働きをします。また、照明や機械、コンセントなど、目的によって電気分配も行います。
太陽光発電を運用する際は、「太陽光ブレーカー」という専用のブレーカーが必須となります。今回は太陽光とブレーカーについて解説します。

分電盤とは

分電盤とは、電力会社から供給される電力を、電灯・コンセント等の負荷に対し、適性かつ安全に供給するためのものです。金属やプラスチックのキャビネット内に必要な機械が収められているのが一般的です。室内の壁面に張り付けられたり、埋め込まれたりするのが主な設置方法となります。

太陽光発電設備を利用する場合、太陽光発電設備によって作られた再生可能エネルギーを配給します。分電盤の中にはアンペアブレーカー(サービスブレーカー)や漏電遮断器などが入っています。

ブレーカーとは

ブレーカー(遮断器)とは、分電盤内部にある、万が一のトラブルの際に電気の流れを遮断(break)するための装置です。過電流や漏電など防ぎ、火災などの危険を未然に回避することを目的として設置されています。各ブレーカーの役割は以下の通りです。

アンペアブレーカー

1つ目は「アンペアブレーカー」です。

アンペアブレーカーとは、一定以上の電気が流れた場合に自動的に電気が切断される仕組みであり、過電流による事故などを防ぐ働きをします。このブレーカーが落ちると、家全体の電気が止まることになります。たいだいの各家庭の契約アンペアによって色分けがされており、たとえば10Aは赤、15Aは茶、20Aは黄などとなっています。ただし、スマートメーターなどの電力量計の場合、アンペアブレーカーが設置されない可能性もあります。

契約ブレーカー

2つ目は「契約ブレーカー」です。

契約ブレーカーとは、電力会社との契約時に家庭で使用する電気の器具に応じてアンペア数を決める分電盤のリミッターです。サービスブレーカーとも呼ばれています。
使用可能な契約電力は、基本的に電気回路を開閉するスイッチ上部、周辺に記されており、この数値以上の電力が流れてしまった場合、自動的にスイッチが切れる仕組みになっています。ブレーカーが飛んでしまったときにスイッチを入れるのがこの契約ブレーカーです。
一般的に漏電遮断器と同じ遮断機と思われる場合が多いですが全くの別物です。

配線遮断機や漏電遮断器などが家内で使用している人の所有・管理物であるのに対し、契約ブレーカーは契約元の電力会社の所有・管理物です。不具合が生じた場合、メーカーから直接取り寄せる必要があり、自分で取りかえることはできない上に市販もされていません。その場合、電力会社に直接連絡して交換してもらいます。

漏電ブレーカー(漏電遮断器)

3つ目は「漏電ブレーカー(漏電遮断器)」です。

漏電ブレーカーは、建物内の配線や電気器具の漏電を素早く感知・遮断し、電気事故を未然に防ぎます。アースへの30mA以上の漏れ電流が検出されると遮断します。アースとは、電気を地面に流すために使用する線で、感電防止用に使われています。30mAと言う数値は人体が耐えうる事ができる最大電流値です。電気の量ではなく、漏電を検出したときにブレーカーが落ちる仕組みです。漏電ブレーカーが落ちた際も家全体の電気が止まります。

ブレーカーから出た電流と帰ってくる電流が等しくなるのが正常なのに対し、漏電すると、この出入り電流に差が生じます。漏電遮断器はこの差を感知して作動するシステムです。
そのため、アース線を接続していない場合、漏電が大地の方へ逃げないため電流に差ができません。差ができなければ漏電遮断器は発動しないため、感電の危険性が高まるのです。
ただし、人が感電すると身体の中を通って大地へ流れるため、アースと同じ役目を果たし、結果的に漏電遮断器は発動します。

たとえば、家庭内の配線や電気製品などで漏電が発生した場合、すぐに異常を感知して自動的に電気を切断してくれます。そのため、漏電による火災や感電事故などを未然に防ぐことができます。

安全ブレーカー(配線用遮断器)

4つ目は「安全ブレーカー(配線用遮断器)」です。

安全ブレーカー(配線用遮断器)は、分電盤から各部屋へ電気を送る分岐回路のそれぞれに取り付ける小型の分岐ブレーカーのことです。電気器具やコードの故障でショートしたときや、使いすぎて過電流が流れた場合に電気を自動的に遮断し、電線を保護します。
電気の容量は、全体だけでなく回路ごとにも決められており、それを超える電気が流れた場合、回路を遮断してトラブルを防ぎます。安全ブレーカーが落ちても、ほかの回路に影響はありません。

ブレーカーが落ちた時の対処法

ブレーカーが落ちてしまったということは、過電流など、何らかの異常が発生しているということです。そのため、ブレーカーを戻した瞬間に再び過大な電流が流れ、電化製品が故障してしまう可能性があります。

①アンペアブレーカー・漏電ブレーカー・安全ブレーカーの3つのスイッチ全てをオフ
②コンセントから全てのプラグを外す
③アンペアブレーカー、漏電ブレーカー、安全ブレーカーの順番でスイッチを戻す
④外したプラグを戻していく

ブレーカーが頻繁に落ちる原因の大半は電気の使い過ぎです。家電の消費電力が契約しているアンペア数の容量よりも多い状態ですので、電力会社の契約プランを変更することで解決できる可能性があります。また、配線劣化も考えられますので、火事などの深刻なトラブルに発展する前に屋内配線の点検を行いましょう。

太陽光ブレーカー

太陽光発電で作られた電力は直流のため、接続箱とパワーコンディショナを介して、家電に対応した交流電流に変換しなければいけません。
交流電流に変換された電力は、分電盤で住宅内や電気会社の電力網へ送電されます。

太陽光発電を運用する際は「太陽光ブレーカー」という専用のブレーカーが必須です。太陽光ブレーカーは分電盤のボックス内に配置されており、内部に連携用の開閉器が備わっているため、2つの役割を切り替えながら行い、問題を検知したときに電気を遮断します。
太陽光ブレーカーを設置して初めて、太陽光発電で作った電気を家の中に取り込んだり、余った電気を電気会社に送って買電したりすることが可能になります。

家を建てると同時に太陽光発電を導入する場合、太陽光ブレーカーを選択すると一般的なブレーカーと一体化できるため、手間がかかりません。
しかし、既存の家に太陽光発電を導入する場合、従来のブレーカーは基本的に太陽光発電のシステムには対応していないため、新たに太陽光ブレーカーを設置する必要があります。

もし太陽光発電システムに対応しているブレーカーがない場合、システム導入を依頼している業者が適切なブレーカーを選んで取りつけてくれるでしょう。しかし、万が一、太陽光ブレーカーが設置されていないとシステム自体利用できず、漏電が発生しても電流が遮断されずに火災の原因になる可能性があります。そのため、太陽光発電システム導入の際には太陽光ブレーカーの設置の有無を業者に対してしっかりと確認しておきましょう。

太陽光ブレーカーが落ちる原因

太陽光発電システムを導入して、突然太陽光ブレーカーが落ちてしまう原因は以下の通りです。

電力の使い過ぎ

1つ目は「電力の使い過ぎ」です。

最も多い原因は電力の使い過ぎです。ブレーカーにはそれぞれ設定容量があるため、使用する電力はそれを下回ってはいけません。しかし、電子レンジやドライヤー、電気ストーブなどはかなりの電力を必要としますので、同時使用すると認定容量オーバーになってしまう可能性があります。

主幹ブレーカーの容量不足

2つ目は「主幹ブレーカーの容量不足」です。

電気をあまり使用していないのに太陽光ブレーカーが落ちる場合、容量の設定を間違っている可能性があります。その場合、業者に容量設定の確認をしてもらいましょう。
ブレーカーには主幹ブレーカーと系統ブレーカーがあり、正常に機能するには主幹ブレーカーが系統ブレーカーの総容量を上回っていなければいけません。そのため、もし逆転してしまうと過積載状態になってブレーカーが落ちてしまいます。これは、太陽光モジュールを増設した際に、主幹ブレーカーの容量を増設し忘れ、容量不足になってしまう場合が多いです。

高温や湿気の影響による漏電

3つ目は「高温や湿気の影響による漏電」です。

太陽光ブレーカー自体に問題がない場合、高温や湿度が原因かもしれません。
内部温度の上昇はブレーカーの落ちる現象としてよく知られており、高湿度は漏電に繋がる可能性があるため、漏電を感知して電流を遮断しようとブレーカーが落ちてしまうからです。

解決策

太陽光ブレーカーの不要動作を防ぎ、安定した電流を確保するためには、ブレーカーの設置方法や設置場所、配線方法などが適切であるかどうか確認しましょう。

太陽光ブレーカーを高温多湿な場所に設置すると落ちる可能性が高くなりますので、風通しが良く湿気のこもらない、かつ直射日光の当たらない場所が良いでしょう。

そのうえでブレーカーの周辺で雨漏りが起きているかどうかはこまめにチェックするなど、温度管理や湿度管理を徹底しましょう。

また、太陽光ブレーカーの定期的メンテナンス実行と漏電対策について業者に相談することは非常に有効な手段といえるでしょう。

まとめ

太陽光とブレーカーについて解説してきました。以下、まとめになります。

・ブレーカー(遮断器)とは、分電盤内部にある、万が一のトラブルの際に電気の流れを遮断(break)するための装置
・太陽光ブレーカーを設置して初めて、太陽光発電で作った電気を家の中に取り込んだり、余った電気を電気会社に送って買電したりすることが可能になる
・太陽光ブレーカーは高温多湿に弱いため、風通りの良く直射日光の当たらない場所に設置を行い、定期的なメンテナンスが必要

太陽光発電で作った電力を売電したり、家庭内の電化製品に配給したりするには専用の太陽光ブレーカーが必要です。新しく家を建設すると同時に太陽光発電導入を行う際は、必ず太陽光ブレーカーを選択し、一般の分電盤と一体化させることで手間がはぶけます。
漏電は火災につながる可能性があります。大事故になる前に原因対策を行った上で、定期的にメンテナンスを行ってみてはいかがでしょうか。

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