皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、太陽光発電システムで発電した電気を買ってくれる量の制限「出力制御」についてお伝えします。
出力制御とは、簡単に言うと「電力会社が、場合に応じて、発電事業者に対して発電量を控えるよう要請すること」です。
なぜそのようなことが必要になるのでしょうか。
同時同量の原則
平常時、家庭で作られる電力は蓄電池がなければ貯めることはできません。蓄電池が無い状態で太陽光発電システムを設置しているご家庭では、発電した電力を都度消費しています。
電力が貯められないということで、使う電力(電力消費量)と、作る電力(供給電力量)を一致させなければなりません。これを「同時同量の原則」といいます。使う電力と作る電力のバランスが崩れると、大規模な停電が発生する可能性があります。
そこで、電力会社は、電力の需要と供給のバランスを保ち、安定した電力を供給するようにしています。このバランスを保つことは、電力会社の重要な役割のひとつです。
九電ショック!
一方で、太陽光発電が知られるようになった当時は、太陽光発電事業者(太陽光発電システムを設置している各ご家庭)は増えるばかりでした。特に、2012年7月以降に固定価格買取制度(FIT制度)が始まり、急激に太陽光発電システムが普及しました。
「再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT制度)」とはどのようなものですか。
再生可能エネルギー源(太陽光、風力、水力、地熱、バイオマス)を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。
電気事業者が買い取りに要した費用は、使用電力に比例した再エネ賦課金によってまかなうこととしており、電気料金の一部として、国民の皆様にご負担をお願いすることとなっております。
(資源エネルギー庁HPより)
「自ら発電すれば、買い取ってもらうことができる」と考えた方は多く、特に日射量が多いとされている九州においては、太陽光発電システムを設置して売電収入を得ようと、とりあえず発電できる権利だけ確保してそのまま保持している方が多くでてきました。
それらの方々の発電量をすべて合算すると、もしかしたら消費電力とのバランスが取れなくなるかもしれないと考えた九州電力は、2014年9月に「確保された発電予定の権利を認め続けると、需要を供給が上回る」と公式発表をし、太陽光発電システムと電力会社とをつなぎ、電力会社に電気を送ることができるようになる「系統接続」の申込みについて回答を保留することを発表しました。太陽光はほぼ無限ですが、発電に関しては制限がかかったのです。
これが「九電ショック」というものです。
この後、九州電力に続き、北海道電力、東北電力、四国電力、沖縄電力も、新規の系統継続に対する回答を保留すると表明しました。
出力制御とそのルール
これでは太陽光発電が普及しないことになるので、再生可能エネルギーの利用を進める国側は対策に乗り出します。それは、「出力制御を行うことで、再生可能エネルギーである太陽光発電と風力発電の系統接続を認める」という法改正でした。
つまり、消費電力を供給電力が上回りそうになったら電力会社の方でコントロールして、各太陽光発電システムの発電の出力を抑制するということを条件に、新たな太陽光発電システムの設置、そして系統接続を許可するというものでした。
では、どのようなルールで出力制限を行うか、以下の3つのルールがあります。
30日ルール(旧ルール)
電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても、 供給電力が需用電力を上回る場合、500kW以上の発電設備に対し、 年間30日(1時間でも出力制御したら一日とカウント)を上限に、 電力会社が供給電力量を抑制するよう要請できるルールです。
360時間ルール
電力会社が自社の発電設備の出力を抑制しても、 供給電力が需用電力を上回る場合、、年間で360時間を上限に、 電力会社が供給電力量を抑制するよう要請できるルールです。ただし、関西電力、中部電力、東京電力管内では50kW未満の発電設備に限り出力制御の対象外となります。
指定ルール
国から指定を受けた電力会社が接続申し込みが接続可能量を超えた場合、 それ以降に接続を申し込んだ発電設備を対象に、上限時間なく電力会社が出力を抑制するよう要請できるルールのことをいいます。この指定を受けている電力会社は、北海道電力、東北電力、北陸電力、中国電力、四国電力、九州電力、沖縄電力です。
資源エネルギー庁が平成27年1月に発表した「太陽光に対する出力制御ルールの適用関係」には、以下のようにまとめられています(この表での現行ルールは30日ルール)。
太陽光発電は、太陽光がほぼ無限に得られるエネルギー源であることと、電力の需給のバランスを取る必要がある「同時同量の原則」という2つにより、出力制御というルールが定められ、現在運用されています。
一部出力制御の対象にならない太陽光発電事業者の範囲はあるものの、発電した電力を電力会社に買い取ってもらう価格(FIT価格)が年々落ちている傾向から考えると、売電収入と蓄電池併設による消費電力の削減という二本柱でいくのが、これからの太陽光発電との良い付き合い方かもしれません。