皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、「土地がある!太陽光発電システムを設置しよう!」となったときに、気を付けるべき点を2点お伝えします。
土地の地目
まず大事なことは、原則的に、農地には太陽光発電システムは設置できないということです。農地は国策で保護されており制約が課されています。具体的には、土地の不動産登記簿に「田」「畑」といった記載があると、それは農地です。
それ以外の「雑種地」「原野」「山林」「宅地」などは、太陽光発電システムを設置することが可能です。
「田」「畑」や「宅地」などは、地目という土地の用途による区分です。
地目は、土地の現状を公示する不動産登記簿に表示されています。赤色で囲ってある部分が地目です。この土地は宅地なので、太陽光発電システムを設置することができます。
では、地目が田や畑の土地は、永久に太陽光発電システムを設置できないのかというと、そうではありません。農地を農地以外の目的で使用する農地転用の届出を出せば、設置できます。ただし、転用が認められない場合があるので注意が必要です。
農地転用とは、「農地を農地以外のもの」にすることをいいます。
そもそも農地とは、「耕作の目的に供される土地」です(農地法2条1項)。
この”耕作の目的に供される”という言葉の範疇では、休耕地など、「現に耕作が行われていなくとも、耕作しようと思えばできる土地」も農地に含まれることになります。
逆に、「かつて農地として利用されていた土地」についても、耕作放棄地と認定された土地については農地とはされません。
原則として農地であるか否かは現状をもとに判断されますが、農地の登記謄本の地目は田や畑と記載されているのが一般的です。
そして、この農地の使用目的を耕作以外にすることが農地転用となります。(農地転用とは – 関連法・手続きまとめ 「農地・遊休地活用」より)
低圧敷地分割の禁止
「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則」という経済産業省令により、平成26年から低圧太陽光発電設備(10kW以上50kW未満)を設置するとき、隣接地等で同一名義の設備設置者が申請しても認可されなくなりました。
第5条1項2号
特段の理由がないのに一の場所において複数の再生可能エネルギー発電設備を設置しようとするもの
でないこと。
なお、認可されない=電力会社が電気を買わないということなので設置自体はできます。しかし、土地に直接設置(野立て:のだて)することを考えている場合、多くは売電収入を見込んでいるので、設置する意味がなくなってしまいます。
発電した電力を自分で消費する用途で設置するのであれば別ですが、その場合は家屋に太陽光発電システムを組み込むことが多く、野立てにはあまり見られません。
電力会社への売電について取り決めをしている改正FIT法には、この分割についての審査基準が次のように設けられています。
- 同一の地番又は地権者が同一(申請日の1年前まで遡って同一の場合も含む)の一団の土地において他の認定事業計画がないこと
- 隣接の地番で設置事業者又は保守点検及び維持管理の責任者が同一の他の認定事業計画がないこと
簡単に説明すると、
- 1つの土地に複数の太陽光発電システムを設置すること
- 複数の土地にまたがって太陽光発電システムを設置すること
ができないということになります。
2つある土地の1つを別人名義にすれば良いのではないかと思うかもしれません。しかし、申請日の1年前まで遡って同一の場合も含むので、いざ設置しようと決めた段階で土地の名義変更をしても、それが太陽光発電システムの認定申請からさかのぼって1年以内であれば、低圧敷地分割と判断されてしまい、認定は承認されません。
なぜこのような基準があるのかというと、高圧の太陽光発電システムを分割して複数の低圧システムにすることで、設置に伴ういくつかの手続を回避できてしまうからです。
低圧と高圧の違いについては、このブログのこちらの記事に記載があります。引用してご説明します。
太陽光発電システムは、電気事業法上「低圧」「高圧」に分けられます。
- 低圧:発電出力が50kW未満のもの
- 高圧:発電出力が50kW以上のもの
発電出力とは?
太陽光発電システムの能力を示す数値。
この値が大きいほど、同じ日照条件でより多くの電気を発電できます。
発電出力が大きければ大きいほど、より多くの電気を使えるようになります。
(中略)
低圧のメリット(⇔高圧のデメリット)
- 設置費用が抑えられる(⇔高くなる)
- 様々な手続(※)が不要になる(⇔手続が煩雑)
高圧に必要な手続
- 管轄消防署等への保安規定の届出
- 電気主任技術者の選任
- 変圧器(キュービクル)の設置
以上、太陽光発電システムを設置する土地について、気を付けなければいけない「地目」と「低圧敷地分割の禁止」についてお話をしました。
実は、他にも気を付けるべき点はありますので、次回も引き続き同じテーマでお伝えしたいと思います。