太陽光発電×エコキュートはCO2排出量&電気代の低減に貢献する?併用するメリットとデメリットを紹介!

地球規模でカーボンニュートラルが求められている中、太陽光発電のような自家発電自家消費スタイルがスタンダードになっていく可能性は高まりつつあります。太陽光発電で作られた電気を使って他の機器を動かすことができれば、発電時に二酸化炭素(CO2)を出さない環境に優しいエコを実現できます。たとえば、空気熱でお湯を沸かすことができる省エネなエコキュートと太陽光発電を併用すると、CO2排出量削減だけでなく、電気代低減にも貢献できます。今回は太陽光とエコキュートについて解説します。

エコキュートとは

エコキュートとは、再生可能エネルギーを活用した給湯機(電気温水器)のことです。エコキュートのメリット・デメリットは以下の通りです。

エコキュートのメリット

環境に優しい


ヒーターで加熱をするのではなく、大気熱をヒートポンプで圧縮するため環境に優しく、少ない電力でお湯を作り出すことが可能です。

電気代節約とピークシフトに貢献できる


エコキュートは設定によっては昼間の電力を使うこともありますが、一般的に割安な夜間電力を使用してお湯を沸かします。そのため、給湯にかかる電気代が安く、ランニングコストが経済的です。

また、昼間ではなく夜間に運転することで、昼間の電力需要を夜間の時間帯に移行させるピークシフトに貢献することができます。

有名なエアコンメーカーが多く製造している


エコキュートに使われているヒートポンプ技術はエアコンでも活用されている技術です。そのため、以下のようなエアコンで定評のある有名な電機メーカーが多く製造しています。

  • パナソニック
  • 三菱
  • ダイキン
  • 日立
  • 東芝など

エコキュートのデメリット

夜間の運転音が気になる


エコキュートは電気料金の安い夜間いお湯を作りますが、運転する際に40dbの低周波音が出ます。静かな図書館内程度の音ですが、設置場所が近隣住宅の寝室近くの場合、トラブルになる可能性があります。そうならないために、エコキュート設置には近隣住宅への配慮が求められます。

お湯切れの不安がある


エコキュートは貯湯タンクに貯まっているお湯に水を混ぜ、適温にしてからお風呂などに給湯します。しかし、貯湯タンク内にお湯が無くなってしまうと水しか出なくなってしまいます。

一度水になってしまうと温めるのに非常に時間がかかるので、電気代は高くなりますが昼間に沸き増しをしてお湯切れを防ぐ、または適切な容量のエコキュートを選ぶようにしましょう。

シャワーの水圧が弱い


エコキュートは貯湯式給湯器なので、直圧式のガス給湯器よりも水圧が弱くなります。

一般的な水道水の水圧は500KPa程度であり、貯湯タンク内の耐圧に耐えるため、エコキュートの場合、通常のエコキュートでは190KPa程度まで減圧、高圧力型のエコキュートでは290KPa~360KPa程度まで減圧されます。なので、ガス給湯器と比べ得るとエコキュートではシャワーの水圧が弱くなってしまいます。

飲用できない


エコキュートの貯湯タンク内のお湯は、毎日入れ替わっていますが飲料には適しておらず、各メーカーともエコキュートで作られたお湯は飲用不可としています。

お湯はタンク内に触れず高温に沸きあげられています。ほぼ滅菌状態にはなったものの長期で利用する場合、水道水の中に含まれる不純物がエコキュート貯湯タンク内に付着・沈殿している可能性があります。

エコキュートの仕組み

エコキュートの仕組みは大まかに説明すると、ヒートポンプ技術を使用して空気中の熱を取り込み、自然冷媒として二酸化炭素(CO2)に取り込ませ、夜間の内にお湯を沸かします。詳しい流れは下記の通りです。

  1. 大気熱をヒートポンプユニット内の※熱交換器の自然冷媒(CO2)に吸収させる
  2. 熱を持ったCO2をヒートポンプ内の圧縮機で圧縮し、約90℃の高温にする
  3. ヒートポンプ内の水側熱交換器を使用し、高温になったCO2の熱を水に伝えてお湯を作る
  4. 水側熱交換器で熱を奪われたCO2は膨張弁へ運ばれ低音になるを
  5. 再び空気中の熱を取り込んで、同じサイクルを繰り返しながらお湯を作って貯湯タンクに貯めていく
  6. 貯湯タンク内のお湯は高温なので、設定温度になるよう水を混ぜてからお風呂や台所、洗面などに給湯される

※熱交換器:液体や気体の熱エネルギーを温度の高い方から低い方へと移動させることで加熱や冷却を行う機械。

エコキュートと太陽熱発電を併用するメリット

エコキュートと太陽光発電を併用するメリットは以下の通りです。

光熱費が安くなる

太陽光発電は太陽光によって発電するので、夜間は発電できません。そのため、足りない電力は電力会社から購入する必要があります。
太陽光発電とエコキュートを併用すると、給湯にガスを使用しないためオール電化に切り替え可能です。

エコキュートは電気でお湯を作るためガス代がかからず、電気代が安い時間に動くので、ガス給湯器に比べて3分の1から4分の1程度に節約できます。

オール電化には夜間の電気料金が安いプランが用意されています。そのため、電気代の高くなる昼間は太陽光発電の電力を使い、電気代の安い夜間はエコキュートを使ってお湯を沸かすことで光熱費を安く抑えることができます。

また、HEMS(Home Energy Management System)に対応しています。エネルギーを可視化することで、使用しているエネルギーがわかりやすく、エネルギー節約管理が可能です。

環境にやさしい

太陽光発電は太陽光を、エコキュートは大気中の熱を、それぞれ再生可能エネルギーを使用して熱や電気を作り出すので、環境にやさしく、地球温暖化防止に貢献できます。

非常時にタンク内のお湯が使える

地震による災害など、非常時にエコキュートの貯湯タンク内にお湯が貯まっていれば、断水が発生したとしても備え付けの非常用水栓からお湯を取り出すことができます。

送電網が断線し、電力会社から電気が送られなくなっても太陽光発電による電力があるので、非常時でもお湯のある生活を送ることができます。

エコキュートと太陽熱発電を併用するデメリット

エコキュートと太陽熱発電を併用するデメリットは以下の通りです。

設置するための初期費用が高い

太陽光発電とエコキュートを同時に設置する場合、初期費用が高くなります。
エコキュートは石油給湯器などと比較すると初期費用が高くかかります。

太陽光発電設備も100万円~200万円程度かかります。使用し続ける事で電気代を節約し、売電収入によって初期費用回収する場合、収支がプラスになるまでに8~9年はかかるでしょう。

また、2020年における事業用太陽光発電(10kW以上)の平均設置費用は25.3万円/kwでした。ここから太陽光発電に必要な面積と初期費用を求めると以下のようになります。

容量(kW) 必要な面積(㎡) 設置費用(万円)
1 10~15 25.3
5 50~75 126.5
10 100~150 253
30 300~450 759
50 500~750 1,265
100 1,000~1,500 2,530

そのため、エコキュートと太陽光発電を同時に設置するとなった際、使用中のランニングコストと設置のためのイニシャルコストを含めたトータルコストを考えるようにしましょう。

オール電化への切り替えコストが発生する

太陽光発電とエコキュートを併用すると、給湯にガスを使用しないためオール電化に切り替え可能であり、光熱費を節約することができます。
しかし、オール電化にするためにはガスコンロをIHクッキングヒーターに切り替えるなどのコストが発生します。

エコキュートを導入する場合、以下の工事が必要です。

  • 基礎工事
  • 本体設置、配管、電線工事

今まで使用していた給湯器撤去なども合わせて、工事費は10万円前後はかかるでしょう。事前に最適な設置場所確保のための作業が必要となりますが、工事は2日程で終わります。

太陽光発電とエコキュートを導入してオール電化にする際の注意点

太陽光発電とエコキュートを導入してオール電化にする際の注意点は以下の通りです。

導入前に設置スペースを確認する

エコキュートも太陽光発電も、それなりに設置するスペースが必要となります。

太陽光発電は発電量によって必要な面積が異なりますが、一般的に1kWあたりに必要な面積は10~15㎡といわれています。必要な面積は「太陽光パネルの面積」と「全体を囲む外周の面積」を忘れないようにしましょう。以下の計算方式によって求めます。

導入したい容量×1kWあたりの必要面積+外周の面積

たとえば30kWの太陽光発電導入時に、1kWあたりの必要面積が10㎡の場合、300㎡になります。

30kW×10㎡=300㎡

300㎡だと縦10m×横30mなどが当てはまります。

メンテナンス用などの通路を1m幅設置した場合、縦12m×横32mとなり、必要な土地面積は384㎡となります。

発電量(kW) 年間発電量(kWh) 必要な面積(㎡)
10 10,000~12,000 130~180
30 30,000~36,000 295~400
50 50,000~60,000 490~700
80 80,000~96,000 700~930
100 100,000~120,000 940-1340

また、エコキュートの場合ヒートポンプユニットと貯湯タンクで構成されており、貯湯タンクを設置するためのコンクリート基礎などが必要となります。

エコキュートの種類 必要なコンクリート基礎の大きさ
一般的な角形の370Lタイプや460Lタイプ 600~700㎜×680~795㎜程度
薄型タイプ 50㎜×1,100㎜程度

太陽光発電もエコキュートも、設置スペースを考える時は設置後の事も考えましょう。もし隣に新しく家が建った場合、古くなった設備交換をしようとすると既存機器を撤去するために高額な費用が発生する場合があります。

設備に必要な面積基準は変動するので、余裕のあるスペースがあるか確認しておきましょう。

月々の光熱費などを考慮した上で導入検討する

ガス代が元々安い場合、エコキュートを導入しても光熱費削減のメリットを受けにくい可能性があります。

非常時に水が使えるというメリットはありますが、コストを重要視する場合月々の光熱費や自分の生活スタイルを見つめなおした上で導入検討しましょう。

電力会社の時間帯設定を確認し電気使用時間帯を工夫する

オール電化向けプランを活用する場合、使用時間帯によって電気代が異なります。時間帯の設定は各電力会社によって異なるため、事前に確認しておき、電気を使う時間帯を工夫するようにしておきましょう。

おひさまエコキュート

太陽光発電と連携しているエコキュートとして「おひさまエコキュート」を紹介します。

「パナソニックおひさまエコキュート」は東京電力エナジーパートナー株式会社と一般財団法人電力中央研究所によって共同開発され、2022年4月20日に発売開始しました。

東京電力エナジーパートナーが2022年2月から開始している「くらし上手」という新電気料金プランに対応しており、どの時間もほぼ同じ料金となっています。

また、専用スマートフォンアプリ「スマホでおふろ」に対応しています。無線LAN搭載の壁付けリモコンがあるので、自宅にインターネット環境があれば以下の事がスマートフォンから操作可能です。

  • ふろ予約
  • ふろ自動などの遠隔操作
  • エラー通知などの各種情報の確認など

さらに、災害警報・注意報発令時に、タンク内が常にお湯で満水になるよう、自動でお湯の沸き上げを続ける「エマージェンシー沸き上げ」は2022年7月からサービス開始予定です。

その他にも様々な機能があり、CO2排出量削減、給湯光熱費抑制と地球にも家計にもやさしい給湯機といえるでしょう。

まとめ

太陽光発電とエコキュートについて解説してきました。以下まとめになります。

  • エコキュートと太陽光発電の併用で、CO2削減だけでなく、電気代低減にも貢献可能
  • エコキュートと太陽熱発電の併用を行うと、初期費用の高さや設置スペースの確保、オール電化への切り替えコストなどデメリットがあるが、光熱費削減、災害時にタンク内のお湯使用可能などメリットもある
  • おひさまエコキュートは、くらし上手プランを使うと昼と夜の時間帯関係なくほぼ同じ料金になっている

太陽光発電とエコキュートを併用することでオール電化に切り替えることが可能となり、電気代の高くなる昼間は太陽光発電の電力を使い、電気代の安い夜間はエコキュートを使ってお湯を沸かすことで光熱費を安く抑えることができます。

初期導入費の高さや設置場所確保などデメリットもありますが、太陽光と大気熱という再生可能エネルギーを使用する太陽光発電×エコキュートを、ぜひこの機会に検討してみてはいかがでしょうか。

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