太陽光発電、普及の流れに乗っていいの?

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ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。

今回は、「太陽光発電、普及の流れに乗っていいの?」と題してお送りします。

太陽光発電所が日本で一番多い都道府県は?

突然ですが、日本で一番太陽光発電所(太陽光発電システム)の設置件数が多い都道府県はどこだと思いますか?

日射量が多そうな南の方でしょうか。それとも、平地が多そうなところでしょうか。

じつは、南でもなく、平地が多いというイメージもない、愛知県

が、日本で一番太陽光発電システムの設置件数が多いのです(過去のデータで恐縮ですが、2010年の統計です)

件数の算定基準としては、住宅用太陽光発電補助金交付申込受付件数がベースとなっています。この補助金の交付を行っていた「太陽光発電普及拡大センター(J-PEC)」という機関がありました。この機関は、一般社団法人 太陽光発電協会 (JPEA)の内部機関として、2013年まで補助金の交付業務を行っていました。

その調査によれば、2010年度(2010年4月~2011年3月)の愛知県の申込受付件数は、15,838件。2位の埼玉県10,975件で、1万件を上回っているのはこの2県のみでなのです。なお、3位は東京都で8,978件。東京都は導入件数が多いイメージがあった方にとっては意外ですね。

同じ統計データを見ると、2010年度から2013年度まで常に愛知県が申込受付件数は1位。そして埼玉県がずっと2位です。この結果は、太陽光発電システムを設置するには、「持ち家である」「戸建て」であるという2つの条件(必須ではありませんが、借家のマンションの専有部分に太陽光発電システムを設置する方はいらっしゃらないと思います)があることとあわせて考えると納得がいくのです。

というのも、愛知も埼玉どちらも「戸建ての持ち家」の絶対数が比較的上位にきているからです。さらに、市区町村の補助金の充実度合いも高いのです。

普及率は?

次に、普及率を考えてみたいと思います。いくら戸建ての持ち家の数が多くても、そのうちどれくらいのご家庭が太陽光発電システムを設置したか。極端な話、1万棟の戸建て持ち家のあるA町で1,000棟に太陽光発電システムを設置した場合と、戸建て持ち家が1,000棟しかないB町のうち500棟が太陽光発電システムを設置した場合とでは、普及率はどちらが高いでしょうか。

お分かりのとおり、A町では普及率は10%にすぎませんが、B町では50%と、B町の方が普及率が高いということになります。

そのような計算でみてみると、実はまったく違った結果が出てくるのです。

計算結果は、こちらのページの数字を参考にしました。

太陽光発電の設置件数が一番多いのは愛知県、しかし普及率では……(「太陽生活ドットコム」より)

まずは、日射量が日本一の山梨県が普及率が高めとなります。そして何より普及率が群を抜いているのは、佐賀県、熊本県、宮崎県などの九州地方です。こちらは、ご覧のみなさまの予想とあまり違いはないのではないでしょうか。

なお、申込受付件数では愛知県がトップをキープしていましたが、普及率では宮崎県がダントツの一位です。

さらに別の観点からみてみます。太陽光モジュールの設置(普及率)で見てみると、佐賀県がトップで北海道が最下位です。この情報だけで考えると、北よりも南の方が太陽光発電システムを設置するのに適していると考えがちです。

たしかに、全体的な傾向はそうかもしれませんが、気温の高低差、特に高温となる地域では気温が原因で太陽光モジュールに不具合が発生してしまう可能性が高いのです。逆に、積雪量が多い地域であっても高温となるリスクがないため結果的に発電効率が良くなるということもあります。

全国的な普及率は、上がっている?下がっている?

それでは、全国的に見て太陽光発電システムの普及率は上昇しているのか、下降しているのか、どちらでしょうか。そもそも、太陽光発電の普及に大きな影響を与えていたFIT(固定価格買取制度)が、国による電気の買い上げ価格をどんどん下げていくにつれ、太陽光業界の先行きはどうなんだろうという思惑が巷に広がっていた感があります。

実際、メガソーラーで大量に発電し、その電力を国に買い取ってもらうことで収益を得るというビジネスモデルは下火になってきています。ただその代わりに、自家消費モデルという新たな太陽光発電システムの形が現れました。使う分だけ発電し、それでも余れば蓄電池に貯めて使う。省エネ・創エネという観点から、太陽光発電は勢いをもりかえしてきています。そのための導入の補助金も各種設定されてきており、国として太陽光発電の普及を後押ししています。

実際の数字でみてみましょう。前出の太陽光発電協会(JPEA)から、2030年までに日本の太陽光発電の普及量の目標を100GWにするという発表がありました(同協会発表資料「JPEA PV OUTLOOK 2030 2030年に向けた確かな歩み」より)。さらに、同協会が2020年5月に発表した資料(「JPEA ビジョン・PV OUTLOOK 2050感染症の危機を乗越え、あたらしい社会へ『太陽光発電の主⼒電源化への道筋』」より)においては、導入量について次のとおり述べられています。

まず、日本における2019年末時点での累積導入量は63GWとなっています。この数字は、中国(204.7GW)、アメリカ(75.9GW)についで第3位となっています。また、2019年の年間導入量についても、中国(30.1GW)、アメリカ(13.3GW)、インド(9.9GW)についで4位7.0GWとなっています。普及の流れは上向いているというのが、太陽光発電協会の見立てです。

太陽光発電に関する「2050年計画」

同協会では、2050年を見据えての計画をすでに前出の資料で発表しています。その中では、こんな未来予想図が描かれています。

  • 2032年 新築建築の30%以上に普及可能なZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)/ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)」
  • 2033年 ⼩都市(⼈⼝10万⼈未満)における100%再⽣エネルギーのスマートシティ化を実現する、スマートグリッド制御システム
  • 2048年 宇宙太陽光発電システム

特に「宇宙太陽光発電システム」なんて、SFの世界の話のような気がしますが、これらの目標に向けて様々な施策がとられていくことでしょう。

さらに、日本は「人口オーナス期」に入っています。高度経済成長期は「人口ボーナス期」といい、勝手に人口が増えていくのでひとりでに景気も良くなる時期とお考えください。「人口オーナス期」とはその逆で、人口が減っていくのを止められず、それに伴って景気も下向きになる時期です。そして、人口オーナス期に入ったら、人口ボーナス期に戻ることはできないのです。オーナス期に突入した国は、オーナス期ならではの暮らし方を考えなければなりません。

同発表資料では、「今後は⾮住宅建物・農業関連への導⼊が重要となる」とされています。まさに、人口が減る=(実質的に稼働する)住宅の絶対数が減るという今後の流れをくんだものとなっています。今後建築される住宅については、より多くの世帯で太陽光発電システムを導入するようにし、それだけにはとどまらず、人口に影響されないビルや商業施設・工場などの非住宅建物への導入、さらには農地の上に太陽光モジュールを設置する営農型太陽光発電システムの導入などが考えられます。

太陽光発電を含む「再生可能エネルギー」の利用を総力戦で推し進めようという、国を挙げての流れとなっています。この流れは確実なものですので、導入の機会があれば乗っておくのがおすすめです!

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