太陽光発電は太陽さえあればエネルギーを作り出せる再生可能エネルギーです。エネルギー資源を輸入に頼っている日本において、化石燃料に頼らず自国でエネルギーを生み出すことができるので、脱炭素化社会に向けて非常に重要なエネルギーといえるでしょう。しかし、太陽光発電は今からでも充分購入する価値のある財産にもかかわらず、初期投資が高いためか、それほど普及率が伸びません。中には止めた方がいい、設置して後悔しているという意見も少なくはありません。何故そんな意見が出てしまうのでしょうか。今回は太陽光発電をつけてよかったと思えるメリットについて解説します。
太陽光発電は止めた方がいいと言われる主な理由
太陽光発電は止めた方がいいと言われる主な理由は以下の通りです。
売電価格が安くなって元が取れない
1つ目は「売電価格が安くなって元が取れない」です。
固定価格買取制度(FIT)開始直後の2012年、住宅用太陽光発電の売電価格は42円/kWhでした。しかしその価格は年々低下し、2021年には19円/kWhと半額以下の価格になりました。
年度(年) | 2012 | 2013 | 2014 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 | 2020 | 2021 |
買取価格
(/kWh) |
42円 | 38円 | 37円 | 33円 | 31円 | 28円 | 26円 | 24円 | 21円 | 19円 |
そのため、売電価格だけ着目する人は「売電による利益が少なくなって元が取れない」と判断するでしょう。
業者の選び方で失敗
2つ目は「業者の選び方で失敗」です。
一般家庭では、自宅の屋根に太陽光パネルを設置する場合が多いので、安全に工事を行うために業者側に専門知識と技術が求められます。
ベテランの職人に施工を任せる業者であれば、設置中・設置後のトラブルはほぼ起こりませんが、未熟な業者に当たってしまうと雨漏りなどの不具合が生じる可能性があります。
定期的なメンテナンスが必要
3つ目は「定期的なメンテナンスが必要」です。
経済産業省は発電量の低下や機器類の故障がないかを確認するため、4年に一度の定期点検を推奨しています。
また、パワーコンディショナーは15年前後で交換する必要があるとされています。
太陽光発電を20年間設置して、経済産業省が推奨する通りに定期点検を行い、パワーコンディショナーを1度交換したとすると、約30万円のランニングコストがかかる計算となります。
そのため、設置費用だけでなくメンテナンス費用も必要と聞くと、売電利益が減って損になると思う人もいるでしょう。
太陽光発電で得をした人と損をした人の違い
太陽光発電で得をした人と損をした人の違いは以下の通りです。
複数の業者の相見積もりを行った
1つ目は「複数の業者の相見積もりを行った」ことです。
太陽光発電の施工業者はたくさん存在しますが、良心的な優良業者もいれば、売れればよいという考えの悪徳業者もいます。
1社だけしか見積もりを取らずに決めてしまうと、その金額が適正なのか、その対応が適切なのかがわかりません。
適正な価格と内容で契約するためにも、実績や口コミなどをよく調べ、必ず複数の業者の見積もりを取って比較するようにしましょう。
事前に太陽光発電について勉強していた
2つ目は「事前に太陽光発電について勉強していた」ことです。
たくさんある太陽光発電設備の中で、自分の使い方にはどのメーカーの製品が合っているのか、自分の住んでいる地域にはどんなパネルが適しているのかなど、ある程度事前に太陽光発電の知識を仕入れておきましょう。
太陽光発電の知識がないまま購入を進めると、初期費用が高すぎて採算が取れないケースや、天候条件などに恵まれず発電量が少なくなってしまうケースに陥ってしまう可能性があります。
実際にかかった費用を何年で回収できるかは設置環境によって変わってきますので、これから太陽光発電を導入する場合は、シミュレーションが可能な施工業者に採算が取れるかを確認しておきましょう。
購入前に知識があれば、業者の説明に疑問を感じたらすぐに質問でき、設備に関する希望も伝えられますので、「こんなはずではなかった」と後悔する事態を回避することができるでしょう。
設置費用の内訳
太陽光発電の知識として、設置費用の内訳を知っておくと何がどれくらい掛かっているのかがわかります。
太陽光発電は様々な機器の組み合わせで構成されています。調達価格等算定委員会「令和3年度以降の調達価格等に関する意見(案)」による設置費用の内訳は以下の通りです。
太陽光発電パネル(17.4%)
パワーコンディショナー(4.4%)
架台(2.3%)
発電モニター(0.2%)
設置工事(6.0%)
保険
メンテナンスの重要性をわかっている
3つ目は「メンテナンスの重要性をわかっている」ことです。
事故を防ぐため、一定の発電効率を維持するためにはメンテナンスが必要です。太陽光発電は10年以上使用するものですので、長期的に安心して使えるよう定期点検を行うのがよいでしょう。
メンテナンス費用の安さに注目するのではなく、契約内容もよく読みしっかりと判断しましょう。
良心的な業者の場合は、設置費用の見積もりの中に設置後のメンテナンス費用も含んでいたり、メンテナンスを無料で行っていたりします。
見積もり依頼をする際に、一度メンテナンスについて確認するのがオススメです。
売電価格と設置費用の関係性を知っている
4つ目は「売電価格と設置費用の関係性を知っている」ことです。
売電価格が下がるということは、設置費用も下がっているというのをご存じでしょうか。
太陽光発電の買取価格は、実態の設置費用から逆算して10年前後の期間で投資回収できる価格に設定されているのです。
たとえば、5kWの設備の場合、2012年に233万円だった導入費用が2021年では約137万円まで低下しています。
また、技術の進歩により、発電効率など太陽光パネルの性能は上がってきているので収益性は向上しているといえるでしょう。
売電収益だけが太陽光発電のメリットではない
5つ目は「売電収益だけが太陽光発電のメリットではない」ことです。
売電価格が下がって、電力会社の電気代が値上がりを続けている現在では、売電よりも自家消費による電気代の節約が大きなメリットになりつつあります。
たとえば、夜の電気代が安くなるプランに加入し、昼間は太陽光発電からの電力を使用して夜は安い電力を購入して使うと、昼間の電気代を大幅に節約できます。
さらに、蓄電池を併用すれば、昼は太陽光発電、夜は蓄電池からの電気を使用することで、電気代をほぼ0円にすることもできるでしょう。
値上がりし続ける電気代を考えると、これからは売電収入にだけ目を向けるのではなく、自家発電自家消費こそが太陽光発電を導入するメリットといえるでしょう。
まとめ
太陽光をつけてよかったと思えるメリットについて解説してきました。以下、まとめになります。
・売電だけが太陽光発電のメリットではない
・太陽光発電購入に後悔しないようにするには、事前に太陽光の知識を勉強し、業者を相見積もりし、良い業者を見極める必要がある
・非常時に停電が起こっても電気が使える安心感が得られる
太陽光発電はそれなりの設置費用がかかるものの、その価格は年々下がっており、導入にあたる負担は小さくなっています。電気代の値上がりが止まらない現状では、売電収入のみを考えて太陽光発電を導入するよりも自家発電自家消費にシフトした方が大きなメリットを得られるかもしれません。また、非常時電源として停電が起こっても普段通り電気のある生活を送ることができますので、「停電になったらどうしよう」という不安感を消すことができるはずです。