太陽光発電とグリッドパリティ!日本において太陽光が発展するためのキーワード

売電価格は年々低下していく一方、買電価格は上昇しています。売れる電気は安くなり、買う電気は高くなっているのです。このままでは損をするばかりになってしまいます。しかし、自家消費を活用する事で状況は一変します。

現在、技術の進歩により太陽光発電システム導入費用は低下し、発電量も向上しています。そのため、発電単価はぐっと抑えられるようになりました。その結果、同じ量の電気を使用する場合、電力会社から電気を購入するよりも(太陽光発電システムで発電して)自家消費した方がお得になるという状況が生まれています。太陽光発電単価が買電価格と同じ、もしくは安くなる状態のことを「グリッドパリティ」といいます。

買電に頼らず、自家消費でお得に電気を使うグリッドパリティを達成するにはどうすればいいのでしょうか。今回は太陽光発電が発展するためのキーワードとなる「グリッドパリティ」について解説していきます。

電気代は年々上昇していく

電気代は主に「基本料金」と「使用料」で構成されています。

携帯電話と同様、電気を使わなくても必要な基本料金と使った分の電気量を決められた単価に掛け算した使用料で主に構成されています。

「使用料」は「使った分の電気量」×「電気単価」で構成されます。

「電気単価」が値上がりすると「使った電気量」が変わらなくとも、最終的な「電気使用料」は値上がりしていきます。この電気単価は年々上昇していっています。

請求書として届く電気料金は以下のような構成で決定されます。

・契約アンペア数に応じた基本料金

・電力使用量に応じた契約単価を掛け算した電力使用料

・再生可能エネルギー賦課金

・燃料調整費

・その他(引き落としの場合の割引等)

再生可能エネルギー賦課金とは、再生可能エネルギーの普及を目的として「電気料金を支払っている方全員に一律に上乗せで課されている料金」のことです。再生可能エネルギーの普及に伴って年々単価が上昇し続けており、導入当時の2012年度(0.22円)と比べると2021年度(3.36円)はなんと15倍の単価になっています。

450kWh使用した場合は、450kWh×3.36円(2021年)=1,512円が再生可能エネルギー賦課金として請求されることになります。

再生可能エネルギー賦課金は、電気代の上昇する一因であり、無視できない金額になってきています。

グリッドパリティとは

グリッドパリティ(Grid Parity)とは、電気の送電網を指す「グリッド」と同等という意味の「パリティ」を合わせて作った造語です。

太陽光発電などの再生可能エネルギーで発電した電力コストが、電力会社から購入する電気代と同等、またはそれよりも安価になることを指しています。簡単に言えば、再エネ機器を設置することで「普通に電気を買うのと同じ」か、「普通に電気を買うより安い」状態になることです。

グリッドパリティになると、自家発電した電力を買い取ってもらうよりも家庭で消費した方がお得になります。電力会社から電気を購入するよりも自宅に太陽光発電を導入した方がお得とわかれば、更なる再生可能エネルギー導入拡大にも繋がっていきます。太陽光発電が今後拡大し、国内電力供給の一端を担うためには、グリッドパリティが必要不可欠となってくるでしょう。グリッドパリティになれば賦課金が不要になるだけでなく、それらの税金投入も必要なくなっていくかもしれません。

グリッドパリティの定義と段階

日本のグリッドパリティの定義は、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が策定した「2030年に向けた太陽光発電ロードマップ(PV2030)」の中で3つの段階に定められています。

第1段階「太陽光発電のコスト23円/kWhを目指す」

1つ目の段階は「太陽光発電のコスト23円/kWhを目指す」です。

一般的な電力会社から購入する電力単価と太陽光発電コストが同等になることを指しており、この段階になれば自然と一般家庭に太陽光発電導入が進むとされています。

第2段階「太陽光発電のコスト14円/kWhを目指す」

2つ目の段階は「太陽光発電のコスト14円/kWhを目指す」です。

14円/kWhは、商業施設やオフィスビルなどで仕様される高圧電力の単価と同等以下の電力コストです。発電コストがこれ以下になると、小中規模の事業所で太陽光発電を導入した方が電力を購入するよりもお得になるとされています。

第3段階「太陽光発電のコスト7円/kWhを目指す」

3つ目の段階は「太陽光発電のコスト7円/kWhを目指す」です。

これは、太陽光発電コストが発電所(電力会社)でつくる発電コスト以下になることを意味しています。

最終的に2030年の達成を目標とし、2004年時点では第1段階を2010年~2020年に達成することを目指していました。しかし、すでに2013年に家庭用電力価格と同等の23円/kWhを達成しています。

太陽光発電の急速な普及に対応するため、NEDOはさらに期間を拡大し2050年までのロードマップ見直しを行いました。公開された「太陽光発電ロードマップ(PV2030+)」の中では、2050年までに(日本国内だけでなく)世界的に社会貢献することを目的とした具体的な目標や取り組みが示されています。

グリッドパリティの計算方法

家庭向け太陽光発電がグリッドパリティに到達しているかどうかは計算によって求める事ができます。

グリッドパリティの計算式

太陽光発電コスト(円/kWh)=(kWあたりのシステム価格+耐用年数中のメンテナンス費用)÷耐用年数÷年間発電量

太陽光発電にかかるコストは、大きく分けて2つあります。

システム価格(設置費用):太陽光パネル、パワーコンディショナー、その他付属設備の機器価格とシステム設置のための工事費

メンテナンス費用:定期的なメンテナンスにかかる費用や部品の交換費用

たとえば、システム単価40万円/W、メンテナンス費用6.4万円/kW、耐用年数20年、年間発電量1,044kWhとします。(メンテナンス費用は4年に1回の保守点検とパワーコンディショナー1回分の交換費合計です)

(40万円/kW+6.4万円/kW)÷20年÷1,044kWh=約22.22円/kWh

太陽光発電コストは22.22円/kWhとなり、第1段階のグリッドパリティ23円/kWhをクリアしていることがわかります。

グリッドパリティの値は国によって異なる

グリッドパリティの値は国によって異なります。その要因は2つです。

・国や地域や時間帯、契約方法によって電力料金が異なるから

・太陽光発電のメーカー価格や地域日照量などにも大きな差がある

グリッドパリティ達成により、太陽光発電産業のステージは変化する

火力や原子力発電を代替するために普及してきているのが、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーです。

日本でも東日本大震災をきっかけに再生可能エネルギーへの関心が集まり、蓄電池や太陽光発電の普及が伸びていきました。しかし、再生可能エネルギーはコストが高く、FITや補助金がなければ普及が進みづらいでしょう。グリッドパリティは優遇措置なしでも市場の普及が進むために達成すべき最低ラインです。この最低ラインを用意することで、電力市場の全体的な目標が定まり、運用を進めていけるようになります。

グリッドパリティの達成はゴールではなく、競争市場のスタートラインなのです。

グリッドパリティが達成されれば、今後FITによる売電に頼ることなく自家消費で採算が取れるようになります。そうなると、政策に依存せずに新たな市場形成が行われ、売り手優位の市場から買い手優位の市場へと変化していきます。太陽光発電産業は先駆者優位の市場から、マーケティング戦略の戦いへとステージが変わっていくのです。

グリッドパリティにより自家消費のメリットが明確になりつつある

太陽光発電で自家消費する場合と電力会社から電気を買い続けるのはどちらがお得なのか。電気の単価でいうなら、すでにグリッドパリティを迎えた住宅用太陽光発電の方がお得と言えます。

太陽光発電システムは高額な電気でした。しかし、世界規模で太陽光発電が普及するに伴い、設備価格やメンテナンス費用は安く、技術力の向上で発電量が増加しました。それにより、太陽光発電の発電コストが低下し、電力会社から買う電気の価格に並ぶグリッドパリティを達成しました。

一般家庭が電力会社から買電する時、平均電力価格は27円/kWhです。

FIT価格は毎年2円ずつのペースで下がってきており、2021年度の住宅用太陽光発電のFIT価格は19円です。

太陽光発電で発電した電力価格と、電力会社から購入する電力の価格が完全に逆転しています。グリッドパリティの進展により、自家発電・自家消費を積極的に行うことで、明確なメリットが得られる時代に突入してきているといえるでしょう。

まとめ

太陽光と日本のグリッドパリティについて解説してきました。以下、まとめになります。

・グリッドパリティとは、再エネ機器を設置することで「普通に電気を買うのと同じ」か、「普通に電気を買うより安い」状態になること

・グリッドパリティの第1段階は2013年に既に達成している

・グリッドパリティを実現できれば自家消費のメリットが明確化する

売電単価は、再生可能エネルギーの普及によって年々減少していますが、それ以上に電気代の高騰の影響が大きいのが現実です。

今後、電気代の高騰傾向が継続していくとなると、「電力会社から電気の購入量を減らしていくこと」が大事になってきます。現在の技術では、太陽光発電が最も効率的かつ割安に設置できるシステムといえるでしょう。

グリッドパリティはFITや補助金など、国の補助なしで太陽光発電を普及させていくためのキーワードといえる存在です。グリッドパリティが達成できれば、電力会社から電気を購入するよりも、太陽光発電で自家発電・自家消費した方がお得になっていきます。

地方になると送電線の容量が不足するため、技術的に売電できない場合があります。グリッドパリティを実現することで、そういった場所でも売電条件に依存しない太陽光発電の導入拡大が期待できるでしょう。

グリッドパリティの第3段階の達成は2030年を目標としていますが、それより早く達成できるかもしれません。今後のグリッドパリティに注目です。

関連記事

TOP