太陽光発電を導入する際は、経済産業省に対して申請を行う必要があります。認定容量が低圧か高圧かにより申請方法が異なるので注意しましょう。現在、この手続きはインターネット上にある「再生可能エネルギー電子申請」というサイトで行うことができます。電子申請はパソコンやスマートフォン、タブレット端末などインターネットが使える環境であれば、お手軽に行う事ができるので非常に便利です。しかし、クリアする項目が多く、書類を用意するのに専門知識が必要となってきます。今回は太陽光と電子申請について解説します。
再生可能エネルギーの電子申請とは
2017年4月に固定価格買取制度(FIT)が改正されました。太陽光発電などの発電設備を購入し、発電した電気を売却する場合、電力会社や国からの認定を受ける必要があります。改正以前はこの申請手続きを(購入者に代わり)機材の販売業者が行っていました。しかし、改正以降は購入者自身が申請手続きを行う必要があります。
再生可能エネルギーの電子申請とは、この申請手続きをパソコンやスマートフォン、タブレット端末など一般的なインターネット接続端末から行うことができるサイトです。
以下の電子申請手続きが可能です。何れもリプレース設備は除きます。
・太陽光発電
・水力発電
・地熱発電
・バイオマス
ただし、2021年度より以下のものは入札区分となりますので、指定入札機関の一般社団法人低炭素投資促進機構のHPをご確認ください。
・250kW以上の太陽光
・250kW以上の陸上風力
・10,000kW以上の一般木質バイオマス・農産物の収穫に伴って生じるバイオマス個体燃料及び農産物の収穫に伴って生じるバイオマス液体燃料
電子申請することで、書面のダウンロードや記入、郵送といった手間がないため手続きをスムーズに行なうことができます。太陽光設備の運転開始時や電力増加時、毎年一度の定期報告もインターネットで行う事ができます。申請も定期報告も郵送で行うこともできますが、インターネットが利用できるのであれば、電子申請が早く、楽に手続きを行えるため、非常にオススメといえるでしょう。
低圧と高圧
太陽光発電を始めるには、経済産業省に事業計画認定申請を行う必要があり、認定容量が低圧(発電設備の容量が50kW未満)か高圧(発電設備の容量が50kW以上)かにより申請方法が異なります。事業計画認定申請の際には、電力会社に接続の申し込みをすることで得られる「接続同意書類」を揃える必要があります。事業計画書と接続同意書類の準備が整えば、認定申請を行うことが可能です。手続きの期限は電力会社によって異なりますので、事業計画認定申請の期日までに接続同意書類が用意できるよう、申込期限には十分に注意しましょう。
発電設備の容量が50kW未満である低圧は、全量買取制度が適用されないため、多くの場合が家庭用としての設備といえるでしょう。低圧の太陽光発電の場合、経済産業省・資源エネルギー庁の「再生可能エネルギー電子申請」ページから電子申請ができます。
発電設備の容量が50kW以上である高圧は発電所とみなされるため、事業としての維持・管理の義務が生まれ、導入の際の手続きは低圧よりも複雑です。投資対象としての事業や中規模・大規模発電施設としての運用が当てはまります。
太陽光発電の設備を設置する場合は家庭用であっても「事業」としての申請が必要です。
手続きを行わなければ 固定買取制度(FIT制度)の適用を受けられなくなるため、しっかりと確認しておきましょう。
電子申請のやり方
太陽光発電設備設置業者と導入設備について契約し、事業計画認定の申請を行います。家庭用太陽光発電設備に多い10kW未満の場合、電子申請のやり方は以下の通りです。
①新規登録
1つ目が「新規登録」です。
電子申請は設備設置者情報を新規登録するところからはじまります。改正以降は発電設備の購入者が行いますが、現在も基本的な情報の登録は設備販売業者が代行することも少なくないようです。
新規登録の流れは以下のようになります。
①再生可能エネルギーの電子申請の公式ホームページにアクセス
②トップページ右上の「新規登録」をクリック
③登録情報を入力(登録者が「個人」か「法人」か「公共法人」かによって入力する情報が異なるため、マイページに登録する際、使用する事業者名は電力会社との契約者と同名義にすることを忘れないでください)
④全入力を終えたら、内容確認をクリック
⑤間違いがないか確認し、登録をクリック
⑥入力したアドレスに環境省からメールが自動送信される(ユーザー名が記載されているので大事に保管する)
⑦メール本文に記載されたURLをクリックし、パスワードの設定
⑧「パスワードの変更」をクリックし、マイページに遷移すれば新規登録は完了
②認定申請等(申請内容の承諾)手続き
2つ目が「認定申請等(申請内容の承諾)手続き」です。
マイページでは、認定申請作業を行うことができます。
申請手続きで入力する主な項目は、以下のとおりです。
・発電設備の区分と出力区分
・発電設備の出力
・パワーコンディショナーの自立運転の有無と出力数
・給電用コンセントの有無
・設備設置の場所
・設置の形態
・太陽電池の型式や枚数、合計出力
・構造図、配線図の情報
・自家発電設備の有無
・電力会社への供給量計測の方法
・接続契約締結の情報
・設置工事の情報
・保守点検の情報
申請書と一緒に提出する書類は、設備規模により異なります。設備規模が10kW未満の場合、申請に必要な書類は下記のとおりです。
・土地の取得を証明する書類(土地の登記謄本など)
・建物所有者の同意書類(建物の登記謄本など)
・構造図や配線図
・電力会社の接続同意書類
・委任状や印鑑証明(代行事業者が申請する場合)
設備規模が10kW以上の場合、より多くの書類を準備する必要があります。
・設置者の戸籍謄本または住民票
・申請者の印鑑証明
・土地の取得を証明する書類
・建物所有者の同意書類
・発電設備の内容を証する書類(設備の仕様書など)
・構造図や配線図
・電力会社の接続同意書類
・事業体制を明確にする書類
・関係法令手続状況報告書
・委任状(代行事業者が申請する場合)
申請手続きを行う場合、個人か法人によって提出する書類が異なります。
個人:住民票の写し・住民票記載事項証明書・戸籍謄本・戸籍抄本のうち1点の書類提出が必要
法人:法人登記簿謄本、印鑑証明書、不動産登記簿謄本
電子申請では、上記の書類をPDFでアップロードし、提出します。申請を行う際は、以下のような流れになります。
①マイページ左メニューの「設備認定申請入力」をクリック
②「出力区分」と「設備利用者区分」を選択(50kW以上の太陽光発電については紙媒体での書類提出)
③情報を記入し、内容確認をクリックし、保存して次に進むをクリック
④必要書類をPDFかZIPでアップロードし、申請をクリック(うまくアップロードできない場合は、紙面での提出も可能)
(2017年3月31日までに売電を開始していた場合は「接続の同意を証する書類」のアップロードは不要です。ただし、2017年3月に売電開始した場合は事業計画の提出後に「接続の同意を証する書類」の追加提出をお願いする場合があります)
⑤設備設置者のメールアドレスにメール(メール本文に記載されている申請IDと承諾コードを控える)
⑥マイページトップの「認定申請一覧」をクリック
⑦申請IDを入力し、検索をクリック
⑧該当の申請を見つけたら参照をクリックし、承諾コードを入力し、申請終了
承諾の処理をしなければ審査は開始されません。申請後、審査が完了し、認定されるまで3ヵ月ほどかかります。そのため、確認メールが届くまではこまめにメールをチェックするのがいいでしょう。メールで認定通知が来た後、マイページにて認定通知書をダウンロードすることができます。
太陽光の電子申請における注意点
太陽光の電子申請における注意点は以下の通りです。
認定までに長い期間を要する
1つ目の注意点は「認定までに長い期間を要する」ことです。
経済産業省から、申請から認定まで約3ヵ月といわれていますが、実際には長引く可能性が高いです。
審査期間が長引く理由は以下の通りです。
・手続きや審査自体が複雑化している
・FITによる買取単価は年度ごとに変わるため、単価の下落を回避しようと申請が年度末に集中する
対策として、できる限り早く申請するようにしましょう。
多くの基準をクリアしなければならない
2つ目の注意点は「多くの基準をクリアしなければならない」ことです。
クリアしなければならない基準例の一部を挙げます。
・保守点検やメンテナンスが適切であることを伝える計画を立てる
・安定した売電性能を示すための計測
・太陽光パネルの品質を保証するために、変換効率が機種ごとに割り当てられている規定値を満たす
・発電設備の型番や使用する機器の具体的な情報を記載すること
まとめ
太陽光の電子申請について解説してきました。以下、まとめになります。
・太陽光発電を含む再生可能エネルギーはインターネット上で電子申請することができる
・太陽光発電の認定容量が低圧(発電設備の容量が50kW未満)か高圧(発電設備の容量が50kW以上)かにより申請方法が異なる
・審査には多くの項目をクリアし、更に完了通知を受け取るのに3ヵ月以上かかる
太陽光発電を始める際の申請には多くの書類の提出が必要であり、複雑で専門的な知識を求められる場面も多く、不備があれば申請は通りません。そのため、審査の流れを知り、入念な準備と費用に関するシミュレーションを徹底的に行いましょう。太陽光発電の申請に関して不安を感じている方は、専門業者へ相談することをオススメします。
電子申請は煩雑な太陽光発電を含む、再生可能エネルギーの登録申請手続きがスムーズに行える方法です。太陽光発電を導入し、売電を考えている方はこの記事を参考にぜひ利用してみてください。