太陽光でお湯を作り出す太陽熱温水器とは?太陽熱温水器は脱炭素化社会に向けた切り札の一つ!

愛知県三河地方発祥の太陽熱温水器はかつて屋根の上に多く設置されていましたが、太陽光発電が出てきた途端あまり見かけないようになりました。太陽熱温水器は再生可能エネルギーである太陽光を熱として利用し、変換効率と対費用効果の高さから、現在脱炭素社会の切り札の一枚としての可能性が見直されつつあります。今回は太陽光と太陽熱温水器について解説します。

太陽熱温水器とは

太陽熱温水器とは、太陽光の熱エネルギーを利用してタンクに貯めた水をお湯へと変え、日常生活に利用するための装置です。太陽光を利用するので、外気温や日照条件などによって給湯温度が変化します。太陽光発電と近い仕組みですが、両者の違いは以下の通りです。

太陽光発電 太陽熱温水器
用途 自家発電自家消費 給湯や床暖房など太陽熱を利用して温める
太陽光エネルギー変換効率 20%程度 給湯や床暖房など太陽熱を利用して温める
作り出したエネルギー 売る事ができる 給湯や床暖房など太陽熱を利用して温める
導入価格 高い 太陽光発電の半額以下

一般家庭が消費するエネルギーの内3分の1が給湯なので、太陽熱温水器を導入するとその分光熱費が節約できます。メーカーや種類によって月々のガス代削減の%数値は異なりますが、入浴時の給湯量をゼロに近づける程、ガス代の大幅削減に繋がるでしょう。

また、床暖房にも太陽熱温水器を活用する事ができるので、ガス暖房を使用している家庭はガス代も抑えることが可能です。

太陽熱温水器の給水方法

太陽熱温水器の主な給水方法は以下の通りです。

自然落下式

落下式は、屋根の上に乗せて水槽タンクから、温めたお湯をそのまま真下にある湯船に流して使用する方法です。高低差が最低でも3m必要であり、構造上沸かしたお湯をシャワーやキッチンなどで使うことができず、お風呂のお湯張りとして使用されています。

また、水道管直結ではないので、タンクから供給されるお湯の温度が低い場合、給湯機のお湯を用いて温度調節を手動でしなければいけません。追い炊き機能がないお風呂の場合、冬場などお湯の温度が低く利用できない期間が存在する可能性があります。

導入費用は20~30万円と安く、ほぼ動力を使わないため、太陽熱温水器の中で最も低コストで導入することができます。シンプルな仕組みなので自作する人も少なくありません。

各家庭ガス使用量で異なりますが、たとえば、240,000円の太陽熱温水器を導入し、毎日のガス代を5分の1に削減できた場合、以下のようにガス代を抑えることができます。

  • 一か月のガス代:5,000円
  • 太陽熱温水器導入後1か月のガス代:1,000円(4,000円の節約効果)
  • 太陽熱温水器導入後1年間のガス代:12,000円(48,000円削減)
  • 約5年前後で導入費用回収可能

特にプロパンガスなど高いガス料金を契約しているほど、初期費用を短期間で回収することができます。

水道直結式(ハイブリッド型)

水道直結式は水道管に直結するタイプなので、太陽熱温水器で沸かしたお湯を湯船ではなく、水道管の水圧をそのまま生かし、シャワーやキッチンなどの給湯設備に供給します。

ただし、湯沸かし器の故障を防ぐために、温度調節をするためのミキシング装置を経由させなければいけません。

水圧が強く、太陽熱温水器の温度過不足や給湯設備の温度調節をガスや電気などをほとんど使わずに自動で整えてくれます。たとえば、70℃のような暑すぎるお湯ができた場合、自動的に水で冷やして設定温度にしてから出してくれるので、安心して使うことができます。

しかし、導入費用が50~100万円と高額です。自然落下式と同じように、月のガス代を4,000円まで削減できたとしても、費用回収には10~20年と相応の期間を要します。

また、100万円あれば、自家発電できる太陽光発電が導入可能です。

太陽光発電は多くの消費電力を自家発電でまかなえるため、電気代の大幅削減と、余った電気は電力会社に売って収入を得られます。

さらに、100万円相当の太陽光発電はおよそ10年間で費用回収ができる計算なので、太陽熱温水器より太陽光発電の方が元を短期間でとれるといえるでしょう。

また、太陽光発電とエコキュートを導入し、オール電化にすることで、低価格でお湯も沸かすことが可能です。

太陽熱温水器の補助金

それでも高額な水道直結式の太陽熱温水器を導入したい場合、補助金利用を検討してみましょう。

自治体や国によっては、太陽熱温水器にも補助金が出る地域があります。

たとえば、2022年の太陽熱温水器に関する岡山県と東京都内の市町村の補助金申請条件や金額は以下の通りでした。

市町村名 対象と補助金額 申請期間 申請条件
申請条件
  • 太陽熱利用システム
  • 対象経費の1/10
  • 上限3万円
2021/4/1~2022/3/31
  • 倉敷市内に住宅を所有
  • 倉敷市の税金等の未納がない
  • 未使用のものであること
  • 電力会社と受給契約を締結
岡山県
津山市
  • 太陽熱利用システム(自然循環型)
  • 対象経費の1/5
  • 上限5万円
2021/4/1 ~ 2022/3/31
  • 津山市内に住宅を所有
  • 津山市の税金等の未納がない
  • 補助金の交付を受けたことがない
  • 太陽熱利用システム(強制循環型)
  • 対象経費の1/5
  • 上限8万円
岡山県
井原市
  • 太陽熱温水器
  • 対象経費の1/10
  • 上限3万円
2021/4/1 ~ 2022/3/31
  • 井原市内に住宅を所有
  • 井原市の税金等の未納がない
  • 助成を受けていないこと
岡山県
井原市
  • 太陽熱利用システム
  • 上限3万円
2021/4/1 ~ 2022/3/25
  • 早島町内に住宅を所有
  • 早島町の税金等の未納がない
  • 機器を家庭用として使用すること
  • 暴力団員・暴力団関係者でない方
東京都豊島区
  • 住宅用太陽熱温水器(自然循環式)
  • 一律2万円
2021/4/1 ~ 2022/1/31
  • 設置する機器は、未使用のもの
  • 豊島区内において、自ら居住または居住予定
  • 導入する設備の設置工事の契約者であり、領収書の名義人
  • 機器設置工事開始前に助成金の交付申請を行う
東京都三鷹市
  • 太陽熱温水器(自然循環式)
  • 一律2万円
2021/4/1 ~ 2022/1/31
  • 三鷹市内に事業所等を有する方
  • 市税に滞納がない方
  • 対象設備を自ら所有し、使用する方
  • 5年間は当該設備を廃止、譲渡、処分をしない方
東京都国立市
  • 太陽熱利用システム
  • 一律4万円
2021/4/1 ~ 2022/1/31
  • 国立市の住民基本台帳に記録されている方
  • 国立市内の住宅に補助対象機器を設置した所有者
  • 国立市からの電力等データの提供依頼に協力すること
東京都調布市
  • 太陽熱利用機器
  • 対象経費の10%
  • 上限10万円
2021/4/1 ~ 2022/3/31
  • 調布市内の個人住宅及び併用住宅
  • 対象住宅の所有者かつ居住者
  • 納期の経過した市税を完納している方
  • 過去に同機器の補助を受けていないこと
  • 住宅の住居の用に供する部分で使用されていること
東京都武蔵野市
  • 太陽熱温水システム
  • 対象経費の50%
  • 上限5万円
2021/4/1 ~ 2022/4/7
  • 2022/3/31までに助成対象機器を設置すること
  • 武蔵野市の住民基本台帳に記載されていること
  • 自宅に自家用として助成対象設備を新たに設置
  • 同じ助成対象設備を利用していないこと

太陽熱温水器の方式

太陽熱温水器の集熱器部分は大きく分けると以下の通りです。

平板型集熱器(強制循環式)

平板型集熱器は最も単純な形式の集熱器であり、熱を集める部分が平らで黒色の集熱面に水や不凍液などの熱媒を直接接触させます。1970年代から普及しはじめ、価格も安く安定しています。集光側においてカバーガラスと集熱部との間の対流損失が大きく、100℃以上の高温を得るのは難しいとされています。

真空管型集熱器

真空管式はガラス管が無数にあり、斜めに設置され真空状態になることで、最高の断熱構造を作り出します。カバーガラスとの間の対流による損失がなく、高効率で集熱することが可能です。

熱効率と保温力が優れているので、太陽光が少ない冬でも30℃くらいのお湯なら作り出すことができ、熱媒は強制循環させます。

ガラス真空管の仕組み

ガラス真空管の仕組みは基本的に熱交換方式と直接加熱です。

熱交換方式:ガラス真空管内に水は入らず、もともと入ってる熱媒水が温められ「ヒートパイプ」と呼ばれる部分が高温になり、水槽タンク内の水に熱を伝えて湯が沸く

直接加熱:ガラス真空管内にも水槽タンクから水が流れ込み、直接温められ自然対流してタンクに戻る

太陽熱温水器のメリット・デメリット

太陽熱温水器のメリットとデメリットは以下の通りです。

太陽熱温水器のメリット

  • 太陽光があれば給湯できるので、ガス代を節約でき、環境にもやさしい
  • 災害などで壊れた場合火災保険で修理できる
  • 太陽光発電やエコキュートよりも初期費用が安い

太陽熱温水器のデメリット

  • 水道直結式は導入費用が高く、太陽光発電とそこまで変わらない
  • 曇りが多い地域など、日照時間が短い地域は最大恩恵を受けにくい
  • 屋根の上に200kg以上の物体を乗せるので、屋根の補強や地震のリスクが発生する

太陽熱温水器は脱炭素化社会に向けた切り札の一つになる

1980年頃にピークを迎えた太陽熱温水器は、太陽光発電の普及により設定台数が減少していきました。しかし、環境の観点から見ると太陽熱温水器は今の時代にこそ果たす役割があるといわれています。

世界が気候変動問題に対し、脱炭素化の動きを加速させている中、日本は2030年までに2013年度比で温室効果ガスの排出を46%削減する目標を掲げました。2050年までに実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を実現しようとしています。カーボンニュートラルには、大量に導入でき確実にCO2が減るという信頼できる技術が必要です。

太陽熱温水器は太陽光熱を利用してお湯を作り出すため、CO2を多く輩出する化石燃料を使用したりしません。何故なら、化石燃料など他にもっと使い手のあるエネルギーを燃やして40度~50度の温水を作り出すよりも、熱を熱のまま使う太陽熱を利用した方が合理的で効率的だからです。

太陽熱温水器は故障にも対応が簡単であり、脱炭素化社会に向けた切り札の一つになるのではないでしょうか。

まとめ

太陽光と太陽熱温水器について解説してきました。以下まとめになります。

  • 太陽熱温水器は太陽光の熱を利用し、エネルギー交換率や対費用効果は高く、給湯や床暖房などに使用されている再生可能エネルギー機器
  • これからのカーボンニュートラル実現に向けて、太陽熱温水器は切り札の一つになるかもしれない
  • 太陽熱温水器は種類によって太陽光発電と変わらない程高額になるので、費用回収などを考えると自家発電自家消費できる太陽光発電の方が良い

太陽熱温水器は小学でも導入で気、毎日のガス代を5分の1ほどにまで削減してくれます。ガス代節約や脱炭素化社会・環境への配慮など、設置する価値は十分にあります。しかし、あまりに高額なものを導入してしまうと、費用回収が困難になってしまいます。

太陽光発電は自家発電自家消費できるため、家電全般の電気代を大幅削減するだけでなく、停電など万が一の事態でも電気のある避難生活を送ることが可能です。そのため、予算が100万円以上などの高額な場合、太陽光発電に注目してみてはいかがでしょうか。

 

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