太陽光発電にとって防草シートは雑草対策に最適?雑草が太陽光発電の害になる理由とは

太陽光発電を土地に設置する場合、雑草対策は必須となります。雑草はすぐに生い茂り、太陽光パネルを覆って発電率を下げるだけでなく、故障させる可能性もあります。雑草によっては太陽光発電のパワーコンディショナー内に入り込み、故障を引き起こすこともあります。雑草は太陽光発電を行っている人間にとって害でしかありません。太陽光発電を雑草から守るためにはどのような対策を立てればいいのでしょうか。雑草対策は5つあり、その中で一番効果があり、管理コスト軽減にも繋がるのが防草シートを敷く事です。今回は太陽光発電と防草シートについて解説しています。

太陽光に防草対策が必要な理由

太陽光に防草対策が必要な理由は4つです。

①雑草が太陽光パネルを覆う事によって発電効率が低下する

②近隣住民からの苦情がくる

③害虫や鳥が発生する

④機器内部に侵入し破損する

理由①雑草が太陽光パネルを覆う事によって発電効率が低下する

雑草は種類によっては人間の身長以上も伸びたり、絡みついたりするなど様々です。そうなると、太陽光パネルの一部分が雑草によって覆われてしまい、太陽光が当たらなくなってしまいます。するとホットスポットという現象が発生して発電効果は低下し、最悪の場合は故障してしまうのです。

ホットスポットとは、以下の手順で発生します。

①雑草がパネルに陰を作り、その部分が発電しない

②発電モジュールは直列で繋がれているため、発電しない部分は電気抵抗となり、その部分が発熱する

③発電の度に繰り返される発熱により、モジュールが破損してしまう

理由②近隣住民からの苦情がくる

雑草によってはただ生えるだけでなく、綿毛を飛ばすものもあります。するとその綿毛が近隣住民の庭や道路にまで飛び、雑草が生える原因となります。そうなると歩行や運転の邪魔となり、近隣住民の生活に迷惑をかけることとなり、クレームに発展してしまうかもしれません。

理由③害虫や鳥が発生する

雑草を放置すると、虫が集まってきます。するとその虫をエサにする鳥がやってきて、太陽光パネルにフンを落として行ったり、コードを引きちぎっていったりするでしょう。それだけでなく、セアカゴケグモやヘビ、スズメバチなど、害虫の巣窟になってしまう可能性もあります。近所迷惑であり、パネル機器の点検時に襲われる危険性もあります。そうなると害虫駆除のプロに依頼する必要性が出てくるため、草刈りの外注費用だけでは収まらず、大きな痛手になります。

理由④機器内部に侵入し破損する

つる属性の雑草が生えた場合、パワーコンディショナー(パワコン)の内部に雑草が侵入してしまい、機器の不具合を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。高い位置にパワコンを取り付けているから安心してはいけません。つる属性の雑草は周囲の構造物や雑草に絡みついて成長していくため、やがて高い位置のパワコンに到達するでしょう。

防草シートと他の雑草対策

太陽光発電施設向けの雑草対策は「除草」「抑草」「防草」という構造になっています。「防草」に向かうに従って効果は上がり、持続時間は長くなります。そのための有効な雑草対策は5つです。

①草刈り機による草刈

②種子吹き付け

③除草剤散布

④砕石(砂利)敷き

⑤コンクリート舗装

⑥防草シート

対策①草刈り機による草刈

小規模な太陽光発電設備であれば、肩掛け式や自走式の草刈り機を使って自分ですることができるため、1回あたりのコストは安くなります。【年間300円/㎡~(100円/㎡~×年3回)】しかし、刈り取っても雑草はすぐに生えてくるため、年に3~4回の作業が必要となってきます。また、草刈り機による飛び石でパネルを破損したり、配線を切断してしまう危険性もあります。

夏の炎天下での作業は熱中症になる危険性が強くなり、集中力が途切れると草刈り機の刃によって大怪我に発展する可能性がありますので、注意しましょう。

対策②種子吹き付け

クローバーなどを意図的に繁殖させ、雑草より優位に立たせる方法です。植物なので、耐用年数の心配は不要であり、植物ならではのクールダウン効果も期待でき、見た目も綺麗です。

しかし、初期費用は少々高めであり、水遣りなどの費用が掛かります。更に、効果の持続性・確実性に当たり外れがあるのを覚えておきましょう。

対策③除草剤散布

この作業も小規模の太陽光発電設備であれば自分で行うことができ、1回あたりのコストは安くなります。(年間約60円/㎡~(20円/㎡~×年3回))墳霧器を使用すれば容易に作業を行う事ができるでしょう。

しかし、除草剤には茎葉処理型と土壌処理型の2種類ありますので、目的や用途によって使い分ける必要があります。毎年継続して散布が必要であり、散布時期を間違えると効果が低くなってしまいます。

更に天候に左右されやすく、散布後に雨が降ると薬剤が流出してしまいます。そのため、農地や用水路など周辺環境によっては使用できません。

対策④砕石(砂利)敷き

除草・整地後に防草シートと組み合わせることで、元々の土壌に存在していた種子が砕石の隙間から生えてこないようにする事が可能です。初期費用は1,500円/㎡からと安くできます。しかし、年数が経つにつれ、砕石の隙間に砂埃が溜まっていき、そこに飛んできた種が発芽すると雑草が生えてきます。雑草が生えてくると、草刈り機や除草剤散布の手間がかかり、更に太陽光発電をやめて別の用途で土地を利用する場合砕石の撤去費用がかかってしまいます。

対策⑤舗装

コンクリート舗装は、雑草抑制効果が最も高く、維持管理コストがほとんどかかりません。しかし、透水性がないので排水設備を整備する必要があります。初期コストがとても高く、価格が8,000~10,000円/㎡もします。更に、太陽光をやめて土地を別の用途で利用する際にコンクリート撤去費用がかかってしまいます。

対策⑥防草シート

雑草対策として一番オススメなのが、この防草シートです。防草シートは小規模な太陽光発電設備であれば、自力で設置する事ができます。直射日光下では序々に劣化するので砂利などで表面を覆うと、より効果が期待できます。また重ねる事によって、隙間から地面に光が入り込むことを防ぎ、雑草の成長を妨げます。

一般的なポリプロピレンの防草シートの耐用年数はむき出しのままで4~5年。ニードルパンチ加工がされている場合は8年以上もちます。砂利下では紫外線による経年劣化が抑えられ、より長く効果を発揮します。耐用年数で業界トップクラスなのは「ザバーン350G」です。むき出しの使用でも約10~15年、砂利下使用だと半永久的に効果が持続します。

15年耐久の全面防草シートを除草・整地後に設置すると、防草シートを土地に固定するために打ったピンの場所以外ほとんど草が生えてきません。そのため、数年放置しても安心して楽に管理する事ができるでしょう。しかし、防草シートの防草効果はシートの性能や施工の丁寧さに左右されます。また、管理車両の乗り入れ不可であり、通路を設ける必要があります。

15年耐久の防草シートは高価です。それを全面に敷くとなるとコストはかなりのものになります。広い土地の全面に良いシートを敷く場合、100万単位でコストがかかるかもしれません。それでも、10年20年先の事を考えると、草刈りや他の方法よりも防草シートを敷いてしまった方が費用対効果が高く、コストも下げる事ができると言えるでしょう。

防草シートはハサミやカッターで簡単に切ることができ、施工性にも優れています。

太陽光発電に必ずと言っていいほど存在する支柱周りの雑草対策も容易で、支柱周りの防草シートにはさみで切り込みを入れて、粘着テープで防草シートと支柱を接着してしまえば、支柱からの雑草も予防することができます。つる性の雑草は防草シートの重ねからも這いつくばって生えてきますので、そういった種類の雑草が生えている場合は防草シートの端部処理やシーリング材による重ねの処理に注意が必要です。

防草シートを選ぶ4つのポイント

防草シートを選ぶポイントは4つです。

①水はけがよいものを選ぶ

②除草剤が効きにくい強雑草でも防げるものを選ぶ

③雑草の光合成を阻止するため、遮光率が高いものを選ぶ

④駐車場や通路などの砂利下には、車両の重さや歩行の影響で破れない強度のあるものを選ぶ

防草シートの施工単価例

防草シートの施工単価は施工業者によって異なり、面積だけでなく、土壌条件によっても異なってきます。まずはいくつかの業者に見積もりを依頼するのがいいでしょう。

たとえば、32平米の土地の場合、以下のようになります。

工事内容数量単価金額
除草剤散布1式10,000円10,000円
草刈り1式4,000円4,000円
同上処分費1式2,500円2,500円
整地32㎡250円8,000円
残土処分費1式7,500円7,500円
防草シート敷き32㎡500円16,000円
砂利敷き32㎡1,000円32,000円
合計80,000円

除草剤散布や草刈りなど、自分でできそうな所は自分で行えば、更に安く施工することができそうです。

まとめ

太陽光と防草シートについて解説してきました。以下、まとめとなります。

・雑草を放置すると、太陽光パネルの発電率が下がり、破損させてしまう可能性がある

・5つの雑草対策の内、長期的な管理コスト削減を考えると防草シートが一番有効

・防草シートは、シーリング材を使って重ねると、隙間から地面に光が入り込むことを防ぎ、雑草の成長を妨げる

防草シートを使用すると雑草が生えなくなると思われがちですが、雑草は生命力が旺盛です。単に「防草シートを使用した」だけでは完全に防ぐことはできません。きちんと手入れをしないとすぐ元通りになってしまうでしょう。重要なのは、防草シートや補助資材、防草シートの性能が最大限に発揮される正しい施工方法と定期的な点検・メンテナンスです。

長期間の草刈りから解放される手間を考えると、防草シートは雑草対策として非常に有効です。少々値段は高いですが、たかが雑草と侮らずにしっかりと対策を行えば、後々の管理コスト削減に効果を発揮してくれます。太陽光発電設備を導入している方は、ぜひ防草シートを設置してみてはいかがでしょうか。

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