皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、「太陽光発電と他の発電との比較②」と題してお送りします。今回は、水力発電との比較をしたいと思います。
水力発電とは
簡単にいうと、高いところから低いところへ落ちる水の力を借りてタービンを回し発電する仕組みのことです。ダムなどを使っている、日本でも比較的昔から使われている電力供給源です。少し古いですが、2013年のデータでは、世界の電力供給のうち水力発電の占める割合は16.6%でした。原子力発電やその他の発電方法が多くを占めているイメージがあるかもしれませんが、水力発電は根強いのです。特に、ノルウェーではなんと96%が水力発電によるものです。
日本は、もともと水力発電がメイン(水主火従)でした。大正4年には、福島県の猪苗代湖の水力発電所で発電した電気を200km以上も遠い東京まで送電線で送っていたほどです。日本の地形は起伏が大きく、高低差を利用した水力発電に適した地形が多いのです。
それが、戦後になり、電気需要が多くなってくると水力発電のみではまかないきれなくなってきます。次第に、火力発電の割合が大きくなり、昭和38年には火力発電による出力が水力発電のそれを上回るようになりました。
現在、資源エネルギー庁による「エネルギー白書2020」によると、2017年における既設の水力発電所は2,029か所にのぼりますが、電気の供給量は3%前後です。化石燃料を燃やして発電する火力発電は約86%となっています。
地産地消「マイクロ水力発電」
水力発電は、ダムなどを見てお分かりのとおり、設備投資が非常に高くつきます。そのデメリットを補う形で考え出されたのが、マイクロ水力発電です。「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法施行令」で1000kW以下の出力で発電する水力発電を新エネルギーと定義しており、これをマイクロ水力発電としています。
マイクロ水力発電は、従来からの水力発電とは違い、必要とする水の量が少なくても発電が可能です。ちょっとした小川、農業用の水路、側溝の水流でも発電をすることができます。手軽に、安く発電設備を設置することができるため、その地場で電力を供給し、使うことができます。
太陽光発電も、大規模な売電をするモデルから、各地域ごとに電力を作り、自分たちで使う「地産地消」モデルへと変換が国中で進められています。水力発電も自然の力を利用して作りだす再生可能エネルギーの1つであり、その流れに沿うものではないでしょうか。
ただ、マイクロ水力発電のみならず水力発電全般に言えることができますが、ごみなどのつまりなどに対するメンテナンスが必須です。また、川を利用する際には、魚道を確保し、護岸を整備し、堆積していく砂をどう排出するかなども対策を講じなければいけません。これらの対策は発電所の設備の大小に関わりなくしなければいけないので、マイクロ水力発電の運営者には、その費用負担がかかってしまうという難点があります。
水力発電と太陽光発電の比較
それでは、水力発電のメリットとデメリットをご説明しながら、太陽光発電との比較をしていきます。
メリット①温室効果ガスを排出しない
水力発電では、火力発電のように化石燃料を燃やす必要はありません。したがって、発電時に二酸化炭素などの温室効果ガスを排出することがありません。太陽光発電と同じくクリーンな発電方法です。
メリット②発電にかかるコストが低い
ウラン燃料を使用する原子力発電、化石燃料を燃やして発電するや火力発電では、その燃料を手に入れるのには費用がかかります。特に、原子力発電のウラン燃料は、発電し終わった後の使用済燃料の処理が問題となっています。手に入れるのも有償、そして原子力は使用後も費用がかかります。それに対して、水はお金がかかりません。日本ならではのメリットではないでしょうか。この点、太陽光発電もまた、費用をかけずに太陽光を受けることができます。再生可能エネルギーだからこそのメリットと言えましょう。
メリット③高いエネルギー変換効率
実は、水力発電はあらゆる発電方式のなかで一番エネルギー変換効率が高いのです。
原子力発電や火力発電は、水力発電に比べて効率が悪いのです。原子力発電では、核分裂を起こして得られる熱エネルギーで水を沸騰させて、それによる水蒸気でタービンを回して発電します。火力発電は、化石燃料を燃やすことで水を沸騰させる熱エネルギーを発生させます。それぞれ熱が発生するとき、実は廃熱となって発電につながらないエネルギーが出てきてしまうのです。
水力発電は、水が落ちるときのエネルギーをそのまま電気へ変換し、その効率は80%と極めて高いのです。また、水は水蒸気に比べて密度が高く、より少ない量でより多く発電することができます。この点、太陽光の10%前後という変換効率をはるかに超える断トツ1位を、水力発電では実現しているのです。
メリット④再生可能エネルギーである
前述したとおり、水力も太陽光と同じく再生可能エネルギーの1つです。今や再生可能エネルギーといえば太陽光と言われるくらいですが、そもそも自然に存在して繰り返し使えるエネルギーとしては、水力の方が先輩なのです。
太陽光や風力は、光が照っていたり、風が吹いている必要があります。風は貯めることができません。太陽光は蓄電池に貯めることができる点で、再生可能エネルギーとしては有用性は一段高いです。しかし、水力はそもそもダムなどで大量の水をせき止めるなど、簡単にエネルギー(源)を貯めることができるのです。太陽光の蓄電池が今よりも多く普及すれば、その有用性は太陽光も水力に迫ることができるのではないでしょうか。
デメリット①降水量が発電量を左右する
日本は雨水として安定的に水の確保ができる国ではありますが、それでも雨が降らない「渇水」という状況では、発電のしようがありません。降水量が発電量を左右するのは、ダム内の水が足りなくなるといったニュースでお分かりのことと思います。
それに比べ太陽光は、まず枯渇するということはありません。「雨が降らない」に対する「日射がない」という状況はまずありえないからです。火山が噴火し数週間や数か月の間空を火山灰が覆ってしまうといったことが起こらない限り、太陽光は地上へ安定的に供給されます。
デメリット②ダムの建設費用が高い
水力発電の象徴とも言っていい「ダム」。ダムを建設するには、莫大な費用がかかります。太陽光の「メガソーラー」であっても、相当大規模なものでないと、ダムの建設費用に肩を並べることはできないのではないでしょうか。マイクロ水力発電という例もありますが、太陽光発電は、他の発電方法に比べて個人レベルから導入が可能である点、水力とは違います。
デメリット③ダム建設による環境や生態系への影響
「ダム建設」と聞くと、「生態系の破壊」「環境への影響」といったワードが連想されるのではないでしょうか。また、建設予定地の住民による反対運動なども、もしかしたら記憶にある方もいるかもしれません。通常の水力発電の設備は、その物理的範囲は大きく、環境や生態系への影響は無視できません。そもそも、再生可能エネルギーは「地球にやさしいクリーンなエネルギー」というイメージがあるので、水力発電のこの側面は無視できなさそうです。
それに比べて太陽光発電は、環境への影響はかなり小さいと言えるのではないでしょうか。「営農型」という、農作物の栽培をしているその敷地の上に太陽光モジュールを設置する方法があります。まさに、自然との共存共栄ではないでしょうか。
以上のように、水力発電と太陽光発電は同じ再生可能エネルギーですが、個人レベルではじめるには圧倒的に太陽光発電に軍配が上がります。ただ、変換効率などの点で水力発電もまだまだ日本の発電には大事なものと考えられます。