太陽光発電の地球温暖化におけるメリットとは? 太陽光発電にはエコと環境破壊という2面性がある!

太陽光発電は、比較的導入しやすい再生可能エネルギーとして、国が保証する固定価格買取制度(FIT)以降、急速に普及が進みました。しかし、太陽光発電システムが環境に悪影響を及ぼす場合もあります。
環境への悪影響を防ぐには太陽光発電所を建設時に、環境問題に配慮した建設地や太陽光パネルの選択、廃棄・リサイクル費用の積立が必要です。
太陽光発電は地球温暖化などの環境面においてメリットはないのでは?と思う人も少なくないでしょう。今回は太陽光発電の地球温暖化におけるメリットについて解説します。

太陽光発電は再エネの主力電源化に重要な役割を果たしている

1880年から2012年にかけて地球の平均気温は0.85℃上昇しました。このまま地球温暖化が進行し続けると、2100年までに地球の平均気温は最大で4.8℃上昇の可能性があると予測されています。
地球温暖化の原因は温室効果ガスであり、その中でも二酸化炭素(CO2)は増加し続けています。全国地球温暖化防止活動推進センターウェブサイトによると、200年前の地球の二酸化炭素濃度は約280ppmだったのに対し、2013年には400ppmを超えています。

太陽光・風力・水力などの再生可能エネルギーは発電時にCO2を排出しません。そのため、地球温暖化防止に貢献できるエネルギーとして、普及が期待されています。

日本政府は地球温暖化防止に向けて、再生可能エネルギーの主力電源化を進め、2030年の日本電源構成の再生可能エネルギー目標は22~24%とし、その内7%を太陽光発電で占める計画を立てています。水力の8.8~9.2%に次いで、太陽光は再生可能エネルギー内で2番目の割合となるため、再エネの主力電源化に大変重要な役割を果たしているといえるでしょう。

太陽光発電は環境破壊とエコの面を併せ持っている

太陽光発電は環境破壊とエコ、両方の面を併せ持ちます。
・環境破壊面:メガソーラーシステム導入設置のために森林伐採などを行う
・エコな面:火力発電に比べて発電時二酸化炭素(CO2)の排出が少ない

この両面に配慮しながら設置や設備の取り扱いや導入を行えば環境への影響は最小限に抑えられ、環境破壊を招くことはほぼありません。設備の耐用年数も30年を超え、太陽光パネルは半永久的にクリーンに発電し続けることができます。
しかし、太陽光パネルの設置から解体までの過程を正しく対処できていない場合は、環境破壊につながる場合があるため、太陽光発電を始めるには十分な環境整備が必要となります。

太陽光発電が環境に影響を与える問題

太陽光発電が環境に影響を与える問題は以下の通りです。

森林破壊問題

1つ目は「森林破壊問題」です。

メガソーラーシステムの設置には広い敷地スペースが必要であり、確保のために森林伐採や周囲の生活環境を乱す場合があります。メガソーラー設置のために、様々な自然災害から土地を守ってくれる森林が次々と倒されています。中には地域住民からの同意を得ずに森林伐採を行う業者も存在し、大問題になっています。そのため、メガソーラーシステムの導入は環境破壊と隣り合わせであることを覚えておきましょう。

不適切な土地に太陽光パネル設置問題

2つ目は「不適切な土地に太陽光パネル設置問題」です。

安全性の低い場所に太陽光パネルを設置すると、地すべりや土砂崩れなどの原因となります。これは、コストダウンを狙った業者や投資家が太陽光パネルを不適切な場所に設置するからです。安全性の低い土地は地価の値段が安く、初期費用負担を抑えることができます。そのため、安い土地を探して太陽光パネルを設置するというケースは多いです。

そのまま放置・不法投棄問題

3つ目は「そのまま放置・不法投棄問題」です。

住宅用太陽光パネルは廃棄する時に建物と一緒に取り壊せば廃棄費用は別途かかりませんが、メガソーラーシステムの場合、適切な廃棄が必要となります。しかし、太陽光パネルをそのまま放置する、不法投棄を行う業者が存在します。この問題が大きくなる前に、10kW以上の設備の場合、廃棄費用を計画的に積み立てすることが義務化されるかもしれません。

目先の利益追求のあまり環境への配慮やモラルが欠如する問題

4つ目は「目先の利益追求のあまり環境への配慮やモラルが欠如する問題」です。

太陽光発電の需要が増えたため目先の利益だけを重視するあまり、環境への配慮やモラルが欠如するメーカーが現れだしました。
実際、太陽光発電の需要が増えた状況を商機ととらえ、手間を削減し、利益を優先するあまり、太陽光パネル製作中に発生した有害物質を河川に流出したメーカーがいます。こうした一部メーカーの行動が環境へ悪影響を与えています。

環境面における太陽光発電のメリット

太陽光発電は環境破壊問題を多く抱えていますが、正しく運用すればそれほど大きな環境への影響力はありません。
日本はCO2排出量削減を目指す「パリ協定」の参加国ですので、継続的にエネルギーを作り出し、多くの電力量を賄うことが期待されています。太陽光発電導入取組みはこれからも続いていくでしょう。
太陽光発電は社会全体のCO2排出量を少なくできるクリーンエネルギー源というだけでなく、様々なメリットがあります。環境面における太陽光発電のメリットは以下の通りです。

原子力発電に依存しなくなる

1つ目が「原子力発電に依存しなくなる」ことです。

現在の日本は、エネルギー源として原子力発電に依存している状態です。原子力発電は放射能や廃炉に関連する人体への不安だけでなく、環境に与える影響も大きいため様々な分野で依存しないエネルギー源確保が求められています。
太陽光発電は、ルールを守って設置、運用すれば地球環境に対して悪影響を及ぼしません。原子力発電に依存しないためにも、再生可能エネルギーである太陽光発電導入を今以上に進めていくのが良いでしょう。

耕作放棄地に設置で効率的エネルギー源確保、土地の問題解決も可能

2つ目が「耕作放棄地に設置で効率的エネルギー源確保、土地の問題解決も可能」なことです。

太陽光発電を耕作放棄地へ設置すれば、効率的にエネルギー源を確保できます。
耕作放棄地は害虫の発生源になるなど周囲への悪影響や土地の環境悪化を促すため、太陽光発電設置による有効活用は土地の問題解決にもつながります。
ただし、農作放棄地設置には農地転用の手続きが必要であり、農地転用はどの土地でもできるわけではありませんので要注意です。

農業と太陽光発電の2つの収入を得られる

3つ目が「農業と太陽光発電の2つの収入を得られる」ことです。

元々、農業として活用している土地に太陽光発電を設置することでソーラーシェアリングを行うことができます。
ソーラーシェアリングとは、耕作地の農作物に太陽光をあてるように発電設備を設置する太陽光発電の導入形式です。架台を地上3メートルくらいの場所に設置し、太陽光パネルを敷き詰めるのではなく、感覚をあけて設置します。
営農に使用している土地に設置するため、新たに土地を購入したり、森林伐採する必要がないので、環境に配慮した方法といえるでしょう。
ソーラーシェアリングを行う事で、環境に配慮した農業と太陽光発電という2つの収入を得ることができます。

環境保全貢献できる住宅設備を持つことができる

4つ目が「環境保全貢献できる住宅設備を持つことができる」ことです。

環境破壊が問題視されているのはほとんどの場合、大規模発電施設によるものです。普及が進んでいるのは環境破壊問題を起こしにくい住宅用太陽光発電であり、自宅の屋根に積載可能な分だけの太陽光パネルを設置することで、環境保全貢献できる住宅設備を持つことができます。

住宅用太陽光発電設備の耐用年数は30年以上であり、長期間創電ができます。さらに蓄電池と併用すれば消費しきれなかった余剰電力を蓄電することも可能です。太陽光発電と蓄電池の併用により電力のピークシフトにも貢献できるので、社会的な電力安定供給とクリーンエネルギー化の手助けになります。

業者選びのポイント

太陽光発電導入は一歩間違えると環境破壊に発展してしまいますが、基本的には環境に配慮できるクリーンなエネルギー装置です。環境破壊に発展しないよう導入するには、業者選びが最重要となってきます。

住宅用太陽光発電を導入する場合、保証サービスが充実しているかを基準にしましょう。太陽光発電設備の運用期間は長いため、保証サービスがしっかりしている業者であれば安心できます。そのため、保証と同時に定期的なメンテナンスや点検サービスを提供しているかを業者に確認しましょう。

また、分かりやすい見積書を作成しているかも重要なポイントです。平均的な見積金額よりもあまりに安く導入できると言ってくる業者は、後々オプションを追加して最終的に高額にする、アフターフォローの部分を削減しているなどがほとんどです。環境問題への配慮もずさんな場合が多いため、せっかく環境に良い設備を導入したにも関わらず、のちに大きな環境問題へと発展する可能性もあります。

優秀な業者を選ぶためには契約ばかり迫ってこないで、保証サービスの充実の有無と分かりやすい見積書作成を行っているかよく確認しましょう。

まとめ

太陽光発電の地球温暖化におけるメリットについて解説してきました。以下、まとめになります。

・太陽光発電は環境破壊とエコの面を併せ持っている
・環境に悪影響を与えているのは、森林伐採を行うメガソーラーシステムや利益追求ばかりでモラルが欠如している一部のメーカー
・太陽光発電のメリットは、原子力発電依存や耕作放棄地の問題解決と、環境保全住宅と2つの収入を得ること

太陽光発電にはエコな部分と環境問題に悪影響を与えるという2面を持っています。
しかし、環境破壊に加担している太陽光発電はごく一部のメガソーラーシステムであり、住宅用太陽光発電では環境へ悪影響を与えにくいといえるでしょう。太陽光発電の環境面におけるメリットはたくさんあるので、ぜひこの機会に安心して導入してみてはいかがでしょうか。

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