皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、「太陽光発電システムを設置すると、家は涼しくなる?」と題してお送りします。
猛暑対策に太陽光モジュール?
実は、太陽光モジュールは日よけになります……というと変に思われるかもしれません。日光を一身に浴びる太陽光モジュールは、高熱によりホットスポット(太陽光モジュールの一部が落ち葉や鳥のフンなどの付着物、または近くの木などの影により、発電できない状況が長く続くことで熱を持ってしまう現象)が発生する危険性があります。つまり、太陽光モジュールにとって熱は大敵なのです。
実際、暑いと太陽光モジュールの発電量は落ちます。太陽光モジュールはただの板ではなく、結晶シリコンという素材によりつくられた半導体の集合です。結晶シリコンは熱に弱いという特性を持っています。だから、太陽光モジュールは熱に弱いのです。
ただ、住宅用の太陽光発電システムは、その多くが「屋根置き」となっています。つまり、日傘の役割を果たしているのですね。そこで、家の中の室温が幾分か下がるということになります。
日射量と発電量の関係
ところで、そもそも日射時間(日射量)と発電量の関係はどうなっているのでしょうか。前述のとおり、日光をたくさんあびても、それが原因で熱を持ち、発電量が下がりがちになってしまうという太陽光モジュールの性質がありますが、その関係性をひもときます。
発電量(kWh)= 日射量(kWh/㎡)× 0.85
こちらが、日射量と発電量の関係性を示す計算式です。0.85という数字が気になりますね。この0.85という数字は「システム損失係数」と呼ばれます。温度の変化によりその発電量に変化(発電量の低下)があることをあらかじめ見込んでいるのです。年間通しての平均として、0.85という数字が出ています。
太陽光モジュールの結晶シリコンの含まれ方により、太陽光モジュールは「単結晶」「多結晶」に分かれます。単結晶は結晶1つ1つが大きく、多結晶は結晶1つ1つが小さい分多くの結晶が詰め込まれています。
単結晶の太陽光モジュールの季節別システム損失係数は以下の通りです。
冬 0.84〜0.88
春・秋 0.81〜0.84
夏 0.78〜0.81
多結晶の太陽光モジュールの季節別システム損失係数は以下の通りです。
冬 0.8
春・秋 0.75
夏 0.7
注目していただきたいのは、いずれも冬のシステム損失係数が夏のシステム損失係数よりも数値が高いこと。つまり、損失が少ない=発電量のロスが少ないということになります。
ただ、発電量は日射量とこのシステム損失係数をかけあわせて求めるため、日射量が少ない東北以北の地方の発電量の方が、日射量の多い山梨県などの発電量が少ないということにもなり、一様にはいえません。
夏場の屋根の温度
夏場に住宅の屋根に照りつける日光の威力は大きく、その温度は70度にもあるといいます。太陽光モジュールを設置した屋根の裏側にある野地板(屋根の裏側にある板)の温度を測定してみても、49.3度になります。ところが、太陽光発電システムを設置している住宅において、太陽光モジュールを屋根に設置している場合、野地板の温度を測ってみると、なんと38.4度まで下がります。約10度以上下がるのです。
野地板の温度変化が果たしてどれくらい室温に影響があるのでしょうか。一般的には、2~5度の違いがあのだそうです。ここで考えていただきたいのですが、クーラーの設定温度を5度下げると相当涼しくなるのはお分かりのことかと思います。それだけ、クーラーが消費する電力も多くなりますね。その役割を、太陽光モジュールを設置するだけで果たしているということになります。
それでは冬場は?
では、冬場はどうでしょうか。気温が下がり、屋根の温度が下がり、最終的には家の中の室温も下がりますね。このとき、屋根の上に太陽光モジュールを設置するとどうなるのでしょうか。
実は、太陽光モジュールを屋根に設置すると、冬場は室内は暖かくなることが分かっています。「あれ?」と思った人もいるかもしれません。せっかくの暖かい日光が太陽光モジュールに遮断されて、室温は下がるのではないかとお思いではないでしょうか。
実は、屋根に設置された太陽光モジュールは、室内の熱気が外に逃げるのを防いでくれるのです。放射冷却という言葉をご存知でしょうか。日中太陽光で暖められた結果生じた熱が、夜になって室外に逃げていくことをいいます。この放射冷却を太陽光モジュールは防いでいるのです。屋根の太陽光モジュールとの間に空気の層ができて、それが遮熱材の代わりとなっているということになります。
冬場の屋根の表面温度が-5度のとき、野地板の温度は、太陽光モジュールが設置されていない状態で8.1度、太陽光モジュールが設置された状態では、なんと13.4度になります。太陽光モジュールがあるだけで5度以上も上がっているのです。
温度への影響をどのように味方につける?
以上から、太陽光発電システムを設置して、屋根に太陽光モジュールを置くと、夏は涼しくなり、冬は暖かくなるという結果が出ました。さて、ここで「そうなんだ」「ふーん」で終わってはもったいないです。電気代の節約に生かしましょう。
例えば、夏場。太陽光モジュールの遮熱効果を利用して、冷房の温度を上げたり、運転時間を短くしたりするとどうなるでしょうか。夏場に冷房の温度を、仮に27度を28度に1度上げたとします。外気温が30度強、約2kwのエアコンを一日9時間ほど使用した場合、冷房の設定温度を1度上げることで月間約200円の節約になるといわれています。さらに、28度で1時間運転時間を短くすると、月間で約130円程度の節約になります。月間330円とあなどるなかれ、これが毎月積み重なっていくと、なかなか無視できない金額になります。温度1度でのこの数字ですので、もっと温度を上げるのであれば、それだけ節約できる金額も多くなります。
現在流行っているビジネスモデル「サブスクリプション」は、まさに「毎月積み重なる金額のインパクト」を重視しています。例えば、月額300円と聞くと「それだけか」と思い、簡単に契約をしてしまいます。ただ、その金額が毎月加算されて支出されていくので、年単位でみると結構な金額になっていてびっくりすることはありませんか。
屋根に太陽光モジュールを置くことで「逆サブスクリプション」をかけることが可能になると考えると、ちょっと興味が湧いてきませんか。
話を戻します。これが冬場ではどのくらいの節約になるのかも計算してみましょう。外気を6度、先ほどの夏場と同じく2.2kwのエアコンを9時間運転させているとき、暖房の設定を21度から20度に1度下げると月間で230円の節約になります。さらに、夏場と同じく1時間運転時間を短くすると、月間で180円の節約になります。合計すると月間で410円の節約になるのです。
今こそ住宅用太陽光発電システムの導入のチャンス?
このように、発電による直接的な電気代の節約効果だけでなく、間接的に電気代の節約に貢献しているのが、お分かりかと思います。特に、屋根に太陽光モジュールを置くことによるメリットは、十分にお分かりいただけたかと思います。猛暑日が続いたかと思いきや、季節外れの大雪が降ったりと、近年の気候変動はめまぐるしいものがあります。こんなときだからこそ、その大きな変動を逆手に取り、太陽光発電システムの導入のチャンスととらえてみるのも良いのではないでしょうか。