太陽光発電と他の発電との比較④

皆さま、こんにちは。

ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。

今回は、「太陽光発電と他の発電との比較④」と題してお送りします。今回は、バイオマス発電との比較をしたいと思います。

「バイオマス」とは

「バイオマス」の意味、ご存知でしょうか。「bio=生物」+「mass=量」で「バイオマス(biomass)」です。化石燃料以外の生物による再生可能資源のことです。プランクトン、木材、海草、動物の死骸や糞尿、生ゴミ、紙などが主な資源となります。

バイオマスは、化石燃料とは違い、太陽光のエネルギーを使って、水と二酸化炭素から生物が作りだすものです。したがって、基本的に枯渇することがありません。地球温暖化防止、それと循環型社会の形成、農業や漁業などの活性化の観点より、農林水産省をはじめとした関係省庁が協力し、平成14年(2002年)に「バイオマス・ニッポン総合戦略」という閣議決定がされています。

平成18年(2006年)には、それまでのバイオマスの活用状況を鑑みて、国産のバイオマス燃料を本格的に導入したり、森林に残置されている木材などの未使用バイオマスの活用をするなどして、より一層のバイオマス活用の推進が加速化され、平成21年(2009年)には「バイオマス活用推進基本法」が制定されました。

平成23年(2011年)の東日本大震災による原発事故を受け、同年「エネルギー生産への農山漁村の資源の活用促進」「農山漁村資源を活用した分散型エネルギー供給体制の形成」を目的として「食と農林漁業の再生推進本部決定」がなされました。

そして、平成24年(2012年)、太陽光・風力・地熱等と共にFIT(固定価格買取制度)の対象となりました。それほど、バイオマス発電は国からも注目されているのです。

バイオマス発電の仕組み

バイオマス発電は、その発電方法により以下3種類に分かれます。

直接燃焼方式

木材などを燃やしてでたエネルギーで水を沸騰させて、その水蒸気でタービンを回して発電する方法です。火力発電等の一般的な発電方法とおよそ同じです。この方法で発電をすると、水を沸騰させ、必要な水蒸気を作りだすのにかなり大型の設備が必要になります。設備が大型になればなるほど一度に多くの材料が必要になります。木材を例にとると、その切り出し、運搬などについて手間がかかってしまいます。

熱分解ガス化方式

木材などを炭化させるときに発生するガスを使ってタービンを回す発電方法です。木材などは高温で蒸し焼き(熱処理)すると、炭化して「熱分解ガス」が発生します。直接燃焼方式は、熱分解ガスではなく水蒸気を使いましたが、熱分解ガス化方式では燃焼温度が比較的高い「熱分解ガス」を使用します。直接燃焼方式と比べて効率が良いため、発電所の規模は小さくて済みます。直接燃焼方式よりも経済的なのが、この熱分解ガス化方式です。

生物化学的ガス化方式

下水の汚泥や家畜のふん尿を利用します。これらのものは発酵しやすい物質で、発酵させるとメタンなどのガス(バイオガス)が発生します。このバイオガスを使ってタービンを回して発電する方法です。バイオマスの材料の中には、水分の含有量が多いものも多数あります。そういったものは燃やしにくいのです。しかし、生物化学的ガス化方式を利用すれば、水分の含有量が多いバイオマス、それこそ汚泥や糞尿でも有効活用することができます。また、そのままでは廃棄処分になっていたであろう物質も有効利用ができるのも特徴の1つです。さらに、バイオガスは発熱量が高いので、発電の効率も高いことも特徴的です。

バイオマス燃料の種類

バイオマスと一言にいっても、いくつか種類があります。それらを見ていきましょう。

木材

バイオマスといってまず思い浮かべるのが木材です。建築する際に排出される廃材、間伐材、その他山などで伐採をするときに捨てられていた端材などが対象となります。これらをまとめて「林地残材」といいます。これらの林地残材を乾燥して細かくして、燃やしやすいようにしています。

木材と石炭の混合燃料

石炭による火力発電所において、燃料の石炭の一部を木質バイオマスに置き換えて使用します。二酸化炭素の排出量が多いので環境への悪影響に言及されており、その環境負荷の改善に貢献します。また、バイオマスのみの大型発電所を新たに作ることなくすでに建設されている発電所が使えること、大量の木質バイオマス燃料を一気に供給できなくても、例えば少しずつ石炭から置き換えていくこともできます。

下水汚泥・家畜糞尿、生ごみ

下水を処理する際に発生する汚泥や、家畜の糞尿、あるいは生ごみなど、発酵させるとメタンガスを生じるものもバイオマス燃料です。上で紹介した別海バイオガス発電所のほか、既存の下水処理場に発電設備を設けている例もあります。

廃油

廃油とは、主に料理などで使われ捨てられる油のことです。この油を発電に再利用します。家庭のみならず、外食産業でもこの廃油は発生します。その量は、およそ一日数百トン。廃油自体は発電に使えるほどではないので精製して利用します。人間がいる限り、「食」は絶えることがありません。再生可能エネルギーとしてぴったりではないでしょうか。

パームヤシ殻

パームヤシ由来の燃料です。その実からパーム油をとり、その残った「ヤシの殻」を燃やして使います。油が入っていただけあって、木材よりも燃えやすく、燃料としての効率は高いです。日本国内の木材によるバイオマス発電は、現在供給がなかなか追いついておらず、近隣であるアジアから調達できるものとしてパームヤシの殻は注目を集めています。

ただ、この輸送には二酸化炭素が排出されること、そもそもパームヤシの栽培には、熱帯雨林を切り開く必要があることで、環境問題につながりかねないという問題点もあります。

バイオマス発電と太陽光発電の比較

それでは、バイオマス発電のメリットとデメリットを、太陽光発電と比較しながら見てみましょう。

いずれも再生可能エネルギーの1つである

太陽光発電もバイオマス発電も、FIT(固定価格買取制度)の対象であることから、環境にやさしいエネルギー源として可能性を秘めているのは同じです。

発電の安定性

バイオマス発電は、その燃料は比較的安定的に供給されます。極端な場合、例えば「(病気などで)家畜がいなくなる」「山全体が突然枯れてしまう」といったことがなければ、発電量に合わせて燃料を供給すれば良いのです。しかし、木材を切り出す加工の手間や、汚泥やふん尿を安全かつ衛生的に運搬・処理する手段などの問題はあります。しかし、太陽光のように、時間帯や天候など、人間のコントロールの範囲外にあるものに左右されない点では、バイオマスの有用性は評価できるのではないでしょうか。

カーボンニュートラル

バイオマス燃料は、燃やすときに二酸化炭素が発生します。しかし、もともと大気中にある二酸化炭素を吸収した植物等を燃やして出たものであるので二酸化炭素はプラスマイナスゼロ(中立=ニュートラル)である、という考え方です。太陽光発電はそもそも二酸化炭素の排出量が極めて少ないので、バイオマス発電と太陽光発電の勝負は、この点ではどっこいどっこいではないでしょうか。

国内の林業の発展に寄与する

日本は、人口オーナス期(=人口が減り続け、増えることはない)に入っています。今後、建材の需要は多くはならない可能性が高いです。つまり、国内の木材は余りがちになってしまうものと推測できます。そのため、林業が衰退していく恐れがあります。しかし、木材を使ったバイオマス発電は、木材の需要を発生させるものなので、海外からの輸入に頼らず国内の林業に依存することができ、その発展に寄与するのです。この点、太陽光発電はとくに関係はありません。

コストパフォーマンス

コストの面では、太陽光発電に軍配が上がると言って良いでしょう。個人レベルで設置が可能な太陽光発電に比べて、大規模な発電所を建設することが必要なバイオマス発電は、地方公共団体や国、大きな企業が動かないといけません。また、木質バイオマス発電を例にとると、木材の切り出し、運び出し、チップへの加工など、発電自体にかかること以外にもコストがかかります。その割には、高い温度で燃えることはないので、発電効率が非常に高いとは言えず、他の発電方法と比べると、さらに工夫が必要と言わざるをえません。

環境への影響

また、こちらも木質バイオマスを挙げての話になりますが、環境への影響も見逃せません。自家消費型へ移行しつつある現在、太陽光発電は大きな森林を切り開いてメガソーラーを設置するといったモデルは姿を消しつつあります。それに比べて、材木を切り出す木質バイオマスは、利用すればするほど、木を切ることになります。端材中心の利用ではありますが、環境への負荷は太陽光発電の方が少ないといえるのではないでしょうか。

以上、バイオマス発電のメリットとデメリットを、太陽光発電との比較をしながら見てきました。比較はしましたが、バイオマス発電も利用のしかたによっては十分メリットのあるものです。個人レベル・企業レベルでは太陽光、巨大企業や地方公共団体・国レベルでは、バイオマスといった分け方もひとつかもしれません。

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