皆さま、こんにちは。
ネミー太陽光ブログをお読みいただきまして、ありがとうございます。
今回は、前回に引き続き、太陽光発電システムを設置できる土地、できない土地のパート2をお送りします。今回は、「できる」「できない」というよりは、向き不向きと捉えていただければと思います。
土地の周囲の環境
極端な話、周囲が切り立った崖に囲われて、さらに木がうっそうと茂っていた場合は、まず日光が射し込まないので、太陽国府圧電システムを設置する土地としては、あまりお勧めできない、というのはお分かりだと思います。その他気を付けたい点についてお伝えします。
海岸線からできるだけ離れていると良い
青い海と照りつける太陽は、カンカンと照る日光のイメージにぴったりで、太陽光発電システムを設置するのにも好条件だと思うかもしれません。
実は、そうとも言えないのです。
海水には塩分が含まれています。その塩分は蒸発して風などで運ばれていきます。その塩分を原因として、太陽光発電システムを構成する機器に含まれる鉄部分のサビ、電気機器の故障などが引き起こされます。
潮風は気持ちいいものですが、太陽光発電システムにとってはあまり好ましくない状況なのですね。
なお、この海水に含まれる塩分による影響を「塩害」と言います。海岸線に近く塩害を受けやすい地域を「塩害地域」と言いますが、厳密にいうと次のように分かれます。
塩害地域
沖縄・離島…500m〜7km以上
北海道・東北日本海側…500m〜7km
その他…500m〜2km
重塩害害地域
海岸からの距離が500m以内
岩礁隣接地域
直接波しぶきが当たる場所
ただし、塩害地対策の部材も販売されています。
塩害地地域だから太陽光発電システムは設置できないと考える必要はありません。塩害地域かどうかの確認をした上で、塩害地域対応の部材を使用するといった対策をすれば良いということになります。
日射量
日射量が高いところと言ってすぐに頭に浮かぶのは、九州や沖縄などの南の方だと思います。たしかに、北よりは南、そして日本海側よりは太平洋側の方が日射量が高い傾向はあります。
ここで見落とされがちなのが、雨天になりにくい土地です。例えば、山に囲まれている山梨県は、日本海側や太平洋側でできた雨雲が山に阻まれて県内まで来ず、日照時間は多くなります。統計上も、山梨県は日照時間が多い都道府県の上位に必ず入っています。
ただ、日照時間が多いからといって発電量に比例するかというと、必ずしもそうではありません。一般に、太陽光モジュールの表面温度が25度のときに最も変換効率が高い(より発電出力が高くなる)とされてますが、それでは気温が25度がちょうど良いのかというと、そうとも限りません。照り返しの有り無しで表面温度は変わります。
そういった事情はありますが、明らかに曇天が多い地域よりも、太陽光発電システムの設置先としては有利かもしれません。
土地の傾斜
さらに設置条件に大きく影響するのは、土地の傾斜です。簡単にいえば、家と同じく南向きで日の当たりやすい土地だと設置に向いているということです。逆に、北に流れている(北に向かって傾斜している)土地だと、設置しづらいということになります。
なお、土地の傾斜に関連して、太陽光モジュール(パネル)の角度については知る人ぞ知る情報があります。
日射を考慮して、一番変換効率が良いのは30度。
しかし、多くの太陽光発電システムは、20度で設置されていることが多い。
なぜそうなるのでしょうか?
その理由は、風対策です。
特に裏側からの風にあおられて飛んでしまうことを想定しています。
昨年2018年6月18日に、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)、一般社団法人太陽光発電協会、奥地建産株式会社により発表された太陽光発電システム設計ガイドライン、地上設置型太陽光発電システムの構造設計例によれば、以下の設計例が提示されています。
- 一般仕様:アレイ傾斜角度:20°、基準風速34m/s以下、垂直積雪量:50cm以下
- 強風仕様:アレイ傾斜角度:10°、基準風速40m/s以下、垂直積雪量:30cm以下
- 多雪仕様:アレイ傾斜角度:30°、基準風速30m/s以下、垂直積雪量:180cm以下
太陽光発電システムは、「電気設備の技術基準の解釈」に従い構造設計を行いますが、一部には誤った設計なども見受けられる上に、被害事例の多くは不適切な設計による構造耐力の不足が要因となっていると考えられます。
そこでNEDO事業において、一般社団法人太陽光発電協会(JPEA)、奥地建産株式会社は、太陽光発電システムの自然災害や経年劣化に対して安全性と経済性を確保するため、構造安全性の課題に関する調査・研究・実証試験を進めてきました。
この実証試験で得られた知見をもとに、長期にわたり社会的財産となり得る構造安全性の高い太陽光発電システムを提供する方策の一つとして、架台・基礎の設計基準となる「地上設置型太陽光発電システムの設計ガイドライン2017年版」および「地上設置型太陽光発電システムの構造設計例」を策定しました。今後、地上設置型太陽光発電システムの導入または改修を検討している事業者などの設計に広く用いられ、安全性と経済性が確保されることを目指します。
(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構HP「太陽光発電システム設計ガイドラインを策定」より)
一般仕様でも20度、強風仕様ではより強い風に耐えられるよう10度と設定されています。特に、強風被害が増えている昨今、この角度の設定は設置する上でとても重要な要素となっています。
今回は、土地と土地の周辺環境に着目して、太陽光発電システムの設置についてお伝えしました。
この記事をお読みの方のお役に立てれば幸いです。