家庭用蓄電池とは
地球温暖化ガスの排出量削減が世界的な課題となっており、日本は世界第5位の二酸化炭素排出国でもあるので、国内においても住宅の省エネルギー化は最重要課題のひとつとして位置付けられています。ゼロ・エネルギー住宅のひとつとして住宅業界では最新技術を活用した「スマートハウス」の導入が叫ばれるようになり、ここでも電気の自給自足を考える上で欠かせない大容量の蓄電池システムに関心が高まっています。
家庭用蓄電池は災害時の停電リスクへの対策にとどまらず、住宅のゼロ・エネルギー化推進事業を推し進めるための重要な電源装置としても認知されています。実際、蓄電池のグローバル市場は2030年に1.2兆円以上規模になるとの見方もあり、市場規模は2017年比6.6倍にまでに膨らむとの予測もあります。
日本ではFIT(固定価格買取制度)の固定価格による電力の買取期間完了が2019年11月から始まりました。これは卒FIT(2019年問題)と呼んばれていますが、一部のアンケート調査では54%が「蓄電池やエコキュートなどを購入して、自家消費する」と回答しており、多くが蓄電池の導入で自家消費ヘとシフトすることが見込まれています。
家庭用蓄電池の3つのメリット
①電気料金を安くできる
家庭用蓄電池の導入により、ほとんどの家庭では電力契約に実量制を選ぶことになるでしょう。電気料金が安い夜間に電気を蓄電池に貯めておき、昼間にその電気を使う方法です。蓄電池を用いて負荷電力を平準化する(ピークカットする)ことで、電気の基本料金を削減できます。そのためには、電力会社との契約プランを変更する必要があります。「時間帯別電灯」と呼ばれる種類の電気料金プランに契約すると、昼間と夜間で電気の単価が変わります。家庭用蓄電池は料金の安い深夜電力で充電し、日中に放電できますので、昼間の電気料金と夜間の電気料金の差が、経済メリットになります。
②太陽光発電と組み合わせて効率化
家庭用蓄電池は、太陽光発電やオール電化と併用すると、より効果的な使い方ができます。家庭用太陽光発電システムは、太陽の光で発電した後、余った電気(余剰電気)を電力会社に売ること(売電)ができます。卒FIT後も蓄電池と太陽光発電を組み合わせることで、自家消費でも大きく電気料金の削減を見込めることでしょう。
③ 災害発生に伴う停電時の非常用電源として有用
大規模地震などの災害時に停電が発生した場合でも、家庭用蓄電池があれば充電しておいた電力を活用することができます。近年日本では東日本大震災や熊本地震、北海道地震、大阪北部地震など多くの地震災害が発生しています。大きな震災などが発生すると長期間電気が使用できなくなり、当たり前だった習慣や生活様式がイレギュラーになります。非常事態に備えて蓄電池を準備することで、停電などの災害に強い家にすることができます。