太陽光発電は後乗せするより新築の方がお得?それぞれのメリット・デメリットを調べてみた

太陽光発電を設置する場合、新築時に導入するケースと今住んでいる家に後付けで導入するケースがあります。これから家を建てようと思っている人は、最初から設置しておいたほうがいいのか、それとも家を建ててから必要に応じて設置するのがいいのか、悩む人も多いのではないでしょうか。そこで今回は新築時と後付けのそれぞれのメリット・デメリットなどを解説します。

太陽光発電を導入する前に考える事

太陽光発電を導入するための注意点は下記の通りです。

①年間の発電量が1,000kWhを下回るか

②設置する向きや場所

③相見積もりを行う

④売電収入のシミュレーションを行う

①年間の発電量が1,000kWhを下回るか

たとえば、5kWの出力で、屋根が小さすぎて周囲に障害物があって日陰になる面積が多く、年間の発電量が500kWhの場合。

・売電収入:19円×5kW×500kWh=47,500円(年間)

・初期費用:145,000円

・ランニングコスト:150,000円前後

・年間の収支:47,500-160,000=-112,500円

年間の発電量が少なすぎると初期費用を回収できなくなり、年間の維持費用コストで赤字になる可能性が高くなるため、再検討したほうがいいかもしれません。

②設置する向きや場所

太陽光発電を効率よく発電させるためには、太陽光パネルの設置角度が重要です。地面に対して低緯度は角度が低く、高緯度は角度が高いため、25度~40度で南向きに多くの太陽光パネルを設置すると、効率よく発電する事ができます。もし南向きに設置できない、25~40度の角度にできない場合でも、基本的に日光に対して直角にパネルを設置してもらうことは、立地状況に限らず原則可能です。しかし、発電効率は南向きに設置するのが一番良いので、効率的に発電できる屋根に太陽光パネルを設置してもらえるよう業者の人にお願いしてみるのがいいでしょう。

③相見積もりを行う

太陽光発電をお得に設置するには設置費用が安く、設置技術が高い業者を選ばなければいけません。たとえ設置費用が安くても、正しく施工できない業者は修理費用など逆に費用がかかってしまいます。それだけでなく、発電不良などのリスクが発生し、余計な支出が発生します。また、設置費用が高い場合は初期費用回収まで時間がかかってしまうでしょう。

そうならないために、相見積もりをお勧めします。相見積もりとは、複数社の業者へ同時に見積もりを作成依頼し、提示された条件を比較検討する方法です。同時に比較できるため、各費用項目の違いを一度に判断する事が可能です。

・購入までの準備に手間がかからない

・スピーディに検討、契約、設置可能

・1社見積もりと違い、ぼったくりに合わない

・悪質な訪問販売業者にひっかかりにくくなる

一般的に見積もりは無料ですので、まずは相見積もりで設置業者を探しましょう。

④売電収入のシミュレーションを行う

相見積もりをした後は、初期費用を回収できるくらいの発電量が得られるか、売電収入のシミュレーションをするのがお勧めです。

最近では、太陽光発電メーカーや施工業者が無料のシミュレーションツールを提供していますので、気になった方は各社ホームページをご確認ください。発電量や年間の売電収入を簡単に計算する事ができます。

太陽光発電を新築時と後付けで設置する時の違い

太陽光発電を導入する準備が整ったら、新築時と後付けの違いを知っておきましょう。

太陽光発電を新築時と後付けで設置する時の違いは3つです。

①依頼先

②固定資産税

③工事費用

依頼先

後付けで太陽光発電を設置する場合、専門業者のみが依頼先となります。しかし、新築時に太陽光発電を設置する場合、家の設計・建設を依頼するハウスメーカーや工務店、もしくは太陽光発電の専門業者に依頼することになります。

固定資産税

固定資産税とは、土地や家屋、償却資産に対して毎年かかる地方税です。

太陽光発電を後付けする場合、取り外しができる太陽光パネルを設置する場合が多いため、基本的に固定資産税はかかりません。しかし、新築として屋根と一体型の太陽光設備を取り付ける場合、あるいは一体型太陽光発電設備の新築住宅を購入する場合などは、家屋として課税対象になるため固定資産税がかかってしまいます。何故なら固定資産税は土地や家屋に「固定」された資産が対象だからです。太陽光発電パネルと架台は屋根の一部とみなされてしまいます。

工事費用

後付けの場合、設置工事に対して現金払いかソーラーローンを利用するため、工事費が割高になってしまいます。ソーラーローンとは、銀行や信用金庫、信販会社など、さまざまな金融機関が提供する、太陽光発電システム導入のためのローンを指します。無担保で最大1,500万円まで借入れ可能であり、抵当権設定費用などの諸費用が不要です。それに対し、新築の場合、新築工事と同時に設置工事を行うため、工事費を安く抑え、支払いを住宅ローンに組み込むことが可能です。住宅ローンの金利を下げて、浮いたお金で太陽光発電システムを導入すれば、自家消費や売電の収益で支出の総額を小さくすることも不可能ではないでしょう。

太陽光発電を新築時に導入するメリット

新築時に太陽光発電を導入するメリットは近年多くなってきており、設置する人も増えつつあります。メリットは2つです。

①太陽光発電システム設置を前提とした家づくりができる

②住宅ローンに組み入れる事ができる

①太陽光発電システム設置を前提とした家づくりができる

新築の場合、設計段階から屋根の形状、勾配、屋根材、太陽光パネルの種類などが選択でき、機能や外観を思った通りに仕上げることができます。家の設計段階で日当たりの最良なパネルの角度を計算し、太陽光パネルの設置面積を増やす事が可能です。屋根設計や向き、勾配は、太陽光パネルの設置スペースを最大化させるので、発電システムの効率性や費用対効果の向上が期待できるでしょう。パワーコンディショナーの設置箇所や売電のための引き込み線などの配線についても決める事ができます。

②住宅ローンに組み入れる事ができる

新築時に太陽光発電を設置して住宅ローンに組み入れた場合、ソーラーローンを組むよりも低金利で長期返済ができます。

太陽光発電を新築時に導入するデメリット

太陽光発電を新築時に導入するデメリットは2つです。

①普通に家を建てるより労力がかかる

②依頼先の業者選定が大変

①普通に家を建てるより労力がかかる

新築時に太陽光発電を導入すると、家の設計や建築だけでなく、太陽光発電についてじっくりと細部まで検討しなければならず、労力がかかってしまいます。

②依頼先の業者選定が大変

新築時に太陽光発電を導入する場合、依頼先の業者選定を慎重に行わなければいけません。何故なら、太陽光発電に詳しくないハウスメーカーや工務店に依頼してしまうと、後付けよりも設置費用が高くなる可能性があるからです。そのため、実績のあるハウスメーカーや緊密な連携が取れる専門業者を探さなければいけません。

太陽光発電を後付けで導入するメリット

太陽光発電を既に建築してある家に後付けで導入するメリットは3つです。

①時間をかけて製品を選ぶことができる

②リフォームと併せて設置すれば効率性が高いシステムを作成可能

③業者選びが絞りやすい

①時間をかけて製品を選ぶことができる

後付けの場合、すでに家は建築されているので急いで太陽光発電の製品を選ぶ必要がありません。そのためじっくりと時間をかけて製品の仕様を選ぶことができます。

②リフォームと併せて設置すれば効率性が高いシステムを作成可能

築年数が古い家の場合、屋根のリフォームと併せて太陽光発電の設置を行うという選択肢もあります。屋根のリフォームと太陽光発電を導入すれば、設計の自由度を上げる事ができるので効率性の高いシステムを作る事が可能です。

③業者選びが絞りやすい

依頼先が専門業者のみなので、業者選びが絞りやすくなります。

太陽光発電を後付けで導入するデメリット

太陽光発電を既に建築してある家に後付けで導入するデメリットは2つです。

①屋根への負担が大きい

②住宅ローンに組み込めない

①屋根への負担が大きい

後付けの場合、太陽光発電を設置する事が想定されていない屋根だと負担が大きくなってしまいます。対策として強度を上げる事は可能ですが、発電システムの最適化を望むのは難しいといえるでしょう。リフォームと同時に行えば負担を軽減できますが、その分コストがかかります。後付けの場合、設置方法によっては家自体の健全性を損ない、家の寿命が短くなる可能性もあります。

②住宅ローンに組み込めない

後付けの場合、住宅ローンに組み込めないため、現金払いかソーラーローンとなります。ソーラーローンの場合、金利が高いです。

太陽光発電を設置した後の落とし穴

新築で太陽光発電を設置するのか、後付けで設置するのか。メリット・デメリットを見る限り(新築時に)太陽光発電を設置する前提の家を建設するのが良いとわかりますが、実は太陽光発電を屋根の上に載せた時点で屋根の補償は無効になり、太陽光パネル施工業者による10~15年の施工保証となります。

ガルバリウム鋼板葺きの屋根の場合、水滴が落ちる箇所の劣化が激しく、その場所のみ錆ができている家が多数みられます。屋根の修理や塗装は、太陽光発電を外さないとできません。そのため、太陽光の板間から滴り落ちる水滴個所は劣化していくばかりです。

対策として考えられるのは2つです。

①新築時は太陽光発電装置を瓦一体型にし、後付けは上架型にする

②瑕疵担保責任が切れる10年後に導入を検討してみる

①新築時は太陽光発電装置を瓦一体型にし、後付けは上架型にする

新築でも後付けでも、雨漏りに十二分に考慮された設置方法を採択すれば、家の健全性は損なわれないでしょう。新築時に太陽光発電装置を設置し、設置方法に問題があって雨漏りした場合は、家を建てた建設会社が保証責任を負うので、長期的にも安心できるでしょう。上架型は、屋根に一切穴をあけない独自の架台を固定することで、屋根面より大きな太陽光パネルを設置したり、将来高性能なパネルへのアップグレードが可能となる工法です。あらゆる屋根に設置できるため、後付けの選択肢として最良と言えるでしょう。

②瑕疵担保責任が切れる10年後に導入を検討してみる

本来、新築住宅には、ハウスメーカーや工務店による10年間の瑕疵担保責任が「住宅品質確保促進法」として法律で定められています。保証内容には、屋根や外壁からの防水も含まれているため、万一の雨漏りにも安心して暮らすことができます。しかし、屋根に穴を開けて取り付ける太陽光パネルを設置すると、屋根の防水保証は失われてしまいます。そのため、新築時に太陽光発電設備を乗せられない場合、もしくは既存の家に設置する場合、10年以上経ってから乗せるのがいいでしょう。10年経つと家は少しガタがきてしまいます。設置の際に屋根のメンテナンスを行い、リフォームして設置すべきなのかどうかも検討することができます。

まとめ

太陽光発電を新築時・後付けで導入するメリット・デメリットについて解説してきました。以下、まとめとなります。

・太陽光発電を新築時に導入した場合、太陽光発電設備導入を前提とした家を建築でき、自由度や電力の効率が良くなるが、業者選びが大変であり、普通に建てるよりも労力がかかる

・太陽光発電を後付けで導入した場合、リフォームと併せれば効率性が良くなり、時間をかけて検討する事ができるが、住宅ローンに組み込むことができず、屋根への負担が大きい

・どちらもメリット・デメリットがあるため、導入する前に年間の発電量や売電シミュレーション、相見積もりなど前準備が必要

売電価格の下落などを考慮せずに太陽光発電を無計画に設置すると損をする可能性が高いです。そうならないためには、初期費用を抑えるために相見積もりを行い、本当に収益がでるのか売電価格を見直した上でのシミュレーションが必要となってきます。

後付けの場合、時間をかけて検討できるメリットがありますが、発電効率や設計の自由度を考えると新築時に設置した方がメリットは大きいです。新築を建てようと思っていて、太陽光をいつ導入するか迷われている場合は新築の方がいいのかもしれません。

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